東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業))

東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

科学者のひよこ

科学者のひよこ養成講座の活動を記録しています

2021.11.21

OB/OG交流会の感想と自己紹介―○○精神を忘れるな―

 こんにちは、「科学者の卵養成講座」メンターの髙澤直己(たかざわ・なおき)と申します。今年でメンター2年目になります。今更ですが、よろしくお願いします。

 

0)はじめに

 まずは先日の「OB・OG交流会」お疲れ様でした。多くの受講生とメンターの皆さんとお話しすることができ、とても楽しかったです。この「科学者の卵養成講座」において「教育学部」がマイノリティなのは何となく察していましたが、まさか1人とは思いませんでしたw。でもそれは受講生側も同様であること、科学や医学だけでなく教育学に興味を持っている人がいるというのを知れたこと、それらを比較・検討しながら自分の道を探そうとしていることを知れたことは、私にとって大きな気づきでした。受講生の皆さん、ぜひ色んな所に目を向けて、たくさん悩み、納得のいくまで考えてください。その軌跡が後々生きてくるので。
 本当はもう少し早く(なんなら第1回講義の後に)書きたかったのですが、課題やらイベントの準備やらで忙しかったり、文章を書くのが面倒くさかったりでこんな時期になってしまったことをお許しください。またあちこち追記しながら書いたので、同じようなことを2回言ってるかもしれませんが、そこは流してください。

 

1)自己紹介

 さて私は埼玉大学(皆さんご存知ですか?)の教育学部・学校教育教員養成課程・中学校コース・自然科学専修・理科分野という所に属しています。名前がやたら長いですが、要するに中学校の理科教員を目指して勉強するための学科です(ちなみに理科という名称は学校特有の分類で、学問的には科学と教育学の2つに跨っています、自論ですが)。なんで教師になろうと思っている人が、「科学者の卵」のサイトで記事を書いているのか疑問をお持ちかもしれませんが、ご安心を。これから説明します。
 そもそも私が最初に見つけた、なりたい職業は「小学校の先生」でした。当時の担任の先生が今まで見た大人・職業の中で一番魅力的に感じたからです。自分の親でもないのに、親身になって相談にのってくれたりする先生という存在に感動したのが始まりでした。その後、中学校に進学してからも小学校の先生になろうと思っていたのですが、ある時、中学校の数学や理科の内容って面白いなと思い始め、「中学の数学か理科の先生になろう」と目標を変えました。その後も紆余曲折はありましたが、今でも「中学校の理科の先生」を目指して勉強中です。高校の時、科学者もいいなと思い、この講座に応募しましたが、やはり自分は「調べる」ことより「伝える」仕事がしたいと思い、教育という道を最終的に選択しました。
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(クリックすると拡大されます)

 

2)卵との繋がり

 私と「科学者の卵」とのつながりは、今から3年前、私が高校2年の時に始まります。私は「研究推進コース生」として本講座に参加していました。研究テーマは、液中における発光物質の生成です。分野で言うと、光化学ですかね。あと界面化学とか無機化学、物理学とかも関わっているかもしれません。詳しいことは秘密です。
 私も一時は、地球温暖化をどうにかしようと思い、エネルギー関係の化学者を目指していたのですが、高校3年の出願先を決めなきゃいけない時に、改めて「自分は何をしたいのか」について考え直してみたとき、「未来の子どもたちに科学の楽しさや面白さを伝えたい」「私に科学の楽しさや面白さを教えてくれた学校という場に恩返しをしたい」という思いが最終的に強かったため、教育学部という道を選択しました。今思うと自分勝手な理由ですが、自分の中で納得がいってないと長続きしないので、これで良いのではと思っています(反対意見もあると思いますが)。しかし科学者を諦めたというわけではありません。教材研究として「理科室でマグマをつくる」など教科書には載っていない事象を試行錯誤しながら実験を行うことがあるからです(いわゆる教育と研究の二刀流ですねw)。自分の描いた理想に向けて試行錯誤をし続けることが「科学者」の本質・使命だと私は思います。

 

3)教育学部とは

 ここで少し「教育学部」について、やや主観まじりですがお話ししようと思います。教育学部には大きく2つのタイプがあります。1つは「教員養成」タイプです。小中高校の教員になるためには「教員免許」が必要なのですが(大学の先生は不要です)、このタイプではその免許を取得することが卒業の要件になっており、時間割も教員免許に関するルールに基づいて、ある程度決まっています。教員養成タイプと聞くと、卒業したら絶対に教員にならなければいけないイメージを持つと思いますが、そんなことはなく、科学館や工学系の会社など、いわゆる一般企業に就職する人も一定数います。まぁ少数派なんですけどね。教員養成タイプの学校は「東京学芸大学」のほか、「埼玉大学」「秀明大学」「宮城教育大学(東北大・青葉山キャンパスの近くにあります)」など様々です。教育学部の殆どがこのタイプにあたります。学ぶ内容としては「指導法」「教育心理学」「地学実験」「現代物理学」など様々です。もし教育学部のオープンキャンパスに行く機会があれば、大学生に「どんなことを勉強するんですか?」と聞いてみるといいかもしれません。Fig2_takazawa.png

 もう1つは「教育研究」タイプです。河合塾さんは「教育科学」と分類していますが、教育学は文学部の一部として扱われていることがあるので(東北大の教育学部を河合塾さんは「文・人文学系」に分類しています)、それを含めると教員養成はしないけど教育についての研究はしているという点で、こういう表現にしました。このタイプは教員になるために学ぶのではなく、教育に関する課題・問題について広く学び考えるものです。教育と言うと「学校教育」をイメージする人が大半だと思いますが、ここでの教育はそれに止まらず、家庭教育や社会教育と言った「生涯」における学習・教育を扱います。また学習評価について研究する所もあります。
 実はうちの大学にも評価について研究している先生がいらっしゃったりして、厳格に2つに分かれているというわけではないのですが、大まかに見るとこの2つということです。

 

*余談「学部・学科の名前に騙されるな」
 皆さんが志願する大学を探す時、よく「学部」や「学科」の名前で検索すると思います。多くの場合、それは適切な手法なのですが、時には注意も必要です。例えば「環境社会デザイン学科」と聞いて、皆さんはどんな内容をイメージしますか? 森林、海、絵画・彫刻、情報、社会など、いろんなものを想像すると思います。実はこの学科はうちの大学では工学部に属する学科の一つで、内容に即してネーミングすると「土木工学科・環境工学科(ドラッグして見てください)」にあたります。皆さんのイメージと一致したでしょうか? このように名前のイメージと実際の学習内容が乖離することがたまにあります。また大学の授業はその学科に属する教授らが担当するため、授業の内容が教授らの専門分野に偏ることもあります。大学を選ぶ際は、学部・学科だけでなく、どんな研究室があるかもぜひ調べてみてください。ただ大学の先生にも定年がありますので、自分の興味関心のある研究室の先生が、自分が受験・在籍している間に退職しないか確認することを忘れずに。

 

 そもそも大学は学ぶ場所ではなく「研究する場所」です。大学3年あたりになると、必ずどこかの研究室に属することになります。その時「自分がやりたかったテーマを研究している研究室がない!」となるとまぁまぁ大変なので、自分が学びたい・研究したいことは何なのか、自分はどんなことに興味・関心があるのか、高校に通っている間でも、大学に入っていろいろ学んでみてからでも間に合いますので、何か一つ見つけておくと良いと思います。必ずしも将来の職につなげて考える必要はありません。自分が「これ良さそう」と思った商品を手に取ることから始めましょう。それを買うか否かは、複数の商品を「比較」してからです。中には「自分が何をしたいのか分からない」という人もいるかもしれません。そういう場合は、とにかく色んなことにチャレンジしてみてください。プログラミング、課題研究、アルバイト、描画、小説執筆など目についたもの、出来うること全てが対象です。大学に入ってみて「違うなぁ」と思えば、お金はかかりますが、別の大学に入り直したりすることも出来ますので(条件は厳しいですが転学部も出来ます)。また大学には大きな図書館があり、いろいろな分野の本を読んで学ぶことが出来ます。「深く探究したいわけじゃなくて、ただどんな感じなのか知りたい」という場合にはオススメです。いろんなものと関わって、自分の感性と対話(メタ認知)してみてください。

 あとはSNSやオープンキャンパスなどを利用して、大学生に「今までで一番キツかった授業は何ですか」「この学科の先生の中で、性格が悪いなぁと感じた人はいますか」など、パンフレットには書かれていない裏側も探ってみると、入ってから後悔せずに大学生活を楽しめると思います(言いましたからね私は)。

 歳を重ねると、いろんなものが体に伸し掛かってきます。勉強、仕事、責任、期待、ローン、税金、子どもや親の体重、疲労、そして脂肪。身軽なうちに、多くのことにチャレンジすることをおススメします。(大学生が言うセリフではない気が...)

 

気づいたら3800字を超えてしまいました。本当は大学生活の事とか、交流会で受けた質問について共有しようと思ったのですが、今回はこの位にしておきます。
何か質問などがあれば、事務局を通して私までご連絡ください。できる限り回答します。
ではまた来月、お会いしましょう。

 

P.S.青葉山キャンパスの紅葉を撮ってみました。この黄色やオレンジは何という色素か覚えていますか?Fig3_takazawa.jpg

投稿者:髙澤直己/ひよこさん1号

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