アスパラガスとキジカクシとの種間雑種(Interspecific hybrid between A. officinalis and A. schoberiodies

 

アスパラガス属植物 (アスパラガス科)
Genus Asparagus (Asparagaceae)

 アスパラガス属植物は、ヨーロッパ・アフリカ・アジアなど旧大陸に広く分布しており、その属内には100種以上が知られている。その中で最も重要な種が野菜として食べられているA. officinalis(食用アスパラガス)であり、それ以外の種についても、観賞用園芸品種として利用されているA. asparagoides(ブライダルアスパラガス)、A. densiflorus(スプレンゲリー)や、漢方薬として利用されているA. cochinchinensis(クサスギカズラ)などがある。これらのアスパラガス属植物には、両性花植物と雌雄異株植物とが混在している。Lee ら (1997)はこれらのアスパラガス属植物について、葉緑体DNAのRFLP分析をもとにした系統学的解析から、雌雄異株のアスパラガス属植物が単系統群となっていることを明らかにした。
 その結果から、ヨーロッパ原産の食用アスパラガス(A. officinalis)と最も近縁なものが、日本・韓国・中国などに自生するキジカクシ(A. schoberioides)であった。そこで、この2種間で正逆交雑を行なったところ、両交配組合せにおいて種間雑種を作出することができた(Ochiai et al. 2002)。また、両親の2種ともに雌雄異株植物であり、その種間雑種後代も個体ごとに雌雄が存在したことから、分布域が異なる食用アスパラガスとキジカクシの2種は、同じ性決定機構を有すると考えられる。

Lee et al. (1997) Breed. Sci. 47:375-378.
Ochiai et al. (2002) Acta Horticulture 589:225-229.

2005.8.29.