東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

悩まされた生長速度(経:富樫泰杜)

2016年1月21日 (木)

 栽培を通じて、個体ごとの生長速度の差にだいぶ悩まされました。今回はそれらをまとめ、改めて考察、もし次に栽培する機会があればどのような工夫、実験ができるかを考えてみます。冒頭の写真は、一番悩まされたトウミョウの個体差。ほんと、なぜこうなったんでしょう......。


トウミョウ

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 まず、シャーレ上で発芽させた時点で生長速度に差がありました。1つだけ、一向に発芽しない種子がありました。この種子については、他の6個体が発芽、コップに移動した後も、ホウレンソウの種子とともにシャーレ上で発芽を待っていましたが、ついぞ発芽には至りませんでした。
 これについては、なぜそうなったかは分かりません。ただし、発芽率なんて言葉が存在することから、種子は必ず全部発芽するわけではないということが推測されます。この種子は、何らかの事情でそもそも発芽できなかったのかもしれません。
 こればかりは、自分で注意して防ぐ、ということは難しいように思われます。逆に、○○さんが行ったように、種子を水に入れたときの浮き沈みのような特徴から、発芽率を求めるような実験ができると思います。

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 次に、暗所での生育時。茎や根の生長にかなりのばらつきが出ました。これもまた原因は不明で、どうしたら改善されるか、どんな実験ができるかも思いつきません。ただこの件から感じられたのは、個体ごとに競争力があり、その差が生長速度に現れるのかもしれないということです。根の生長が芳しくなかった個体ですが、よく生長した個体とは分けて生長させたところ、最初こそそれまでなかった側根が出現するなど生長が見られましたが、結局それ以上は生長しませんでした。元々育つ力が弱かった個体なのかもしれません。そうだとすると、逆にそういった個体をよく生長させるにはどうすればよいか、味に違いはあるのかなどを比較してみると面白いかもしれません。
 ただし、トウミョウの生育過程の途中で、スポンジの導入という環境の変化があったので、これが何か影響をもたらしたのだろうかも考えなければなりません。ほかの個体を取り除いたから根が少し生長したのか、それともスポンジを導入したから生長したのか。比較事件をしてみる必要があると思いました。
 余談なのですが、他の受講者がスプラウト栽培でスポンジを使っていたので、わたしもスポンジを使いましたが、そもそもなぜ生育にスポンジを使うのだろうとふと思いました。根を張らせるため?となると、根の太さと自分が使ったメラニンスポンジを考えると、根をしっかり張らせることは失敗でした。根の太さに対してメラニンスポンジは細かすぎました......。次は普通のスポンジも使って比べてみたいです。

 とまあ、次また育てるのが前提のような書きぶりではありますが、トウミョウについては種子があと6つしかなく、また実験するなら追加で種子や栽培道具などを購入しなければならないので、今はまだ検討中です。


ホウレンソウ

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 まず、発芽にあたって。一つだけ生長がかったのですが、「全部発芽したら植え替えよう」などとのんびりしていたら、水の上で幼植物体になってしまいました。そしてそれ以上は育たず......。申し訳ないことをしたなと今でも思っています。中間発表でも記しましたが、生長速度の異なる食ずつそれぞれに適切に手を施さないと栽培は失敗する、と実感した次第です。

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 次に、植え替えの後。発芽した状態の種子を土に植え替えたわけですが、長らく1つしか子葉が出現せず、だいぶ焦らされました。先生の指示通り種子を探し、浅いところに植えなおしたところ、無事子葉が出現しました。
 このことから、、植えた深さが植物の成長に影響があるのだろうと推測されます。今育てているホウレンソウを収穫して、また育てる余力があれば、今度は深さを変えて土に植え、生長の違いを調べるなんて実験ができるかなと思いました。

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 最後に、子葉出現後の生長にて。やはりこちらも、生長速度が異なりました。タンポポなどが有名だと思いますが、植物は生長にあたって、効率よく光合成をおこなうため、葉同士が重ならないように広がって生長するものと認識しております。今回ホウレンソウを育てていて、上からホウレンソウを見てみると、確かには同市が重ならないように生長していました。ただ、そのように面積をとる育ち方をするためか、個体同士が重なるときがあり、改めて写真を見ると、よく育たなかった個体は良く育った個体の陰に入っていることがありました。これが生長速度に影響したのでは、と考えています。種子の袋のコピーに「密生している所〔中略〕間引き〔以下略〕」とありますが、なるほどこういうときのためか、と納得した次第です。結局育ちの悪い個体は間引きしました。
 ここでも、密生具合で育ち方がどう変わってくるのかを比較する実験がでいるかもしれません。かなりの土と鉢が必要そうですが......。


 このように、個体の生長速度にだいぶ振り回された栽培過程でしたが、改めて振り返り、ここからどんなことができるかを考えるのはとても楽しいことでした。実際実験するとなると、種子やら鉢やらといろいろ買う必要があるため、実行できるかは不安ですが、ぜひ挑んでみたいです。

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