東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(農:沼澤芽生)

2017年1月16日 (月)

今日は最終発表をしようと思います。

後期がはじまったばかりだと思っていたのに、もう最終発表とは...時が流れるのがはやい...

それでは早速始めます!

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(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなということ、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

 想像よりも大変だったことは、水やりの量と頻度を見極めることです。作物の栽培は小・中学校でも行い、その時は「1日に1回、朝に水やりをする」と教わった記憶があります。 それはミニトマトやオシロイバナの栽培でしたが、どの作物でもそれが当てはまるのだと、なんとなく思っていました。しかし、実際にミニハクサイとハツカダイコンを育ててみると、ハツカダイコンは3日に1回、ミニハクサイにいたっては4日に1回ほどで十分でした。 考えてみると自然の状態では毎日雨が降っているわけではないため、3、4日に1回の水やりは合理にかなっています。

 水をあげすぎたときには、しばらくの間、野菜はしんなりしているように見えました。そして作物がまだ小さいときほど、水やりの量により大きな影響を受けていたように見えます。しんなりしたのは、水をあげすぎると、土の中で根が呼吸できなくなるためです。土の中の空気を意識したことはなかったため、なるほどと思うと同時に、野菜が生き物であると、改めて感じさせられた瞬間でした。はじめのうちは、土の下や根のことは、目に見えないためおろそかにしがちでしたが、根は成長の源である栄養を摂取するところであり、とても重要な器官です。根の張り具合に気をむけることも大切だと知りました。そしてここでも水やりが要となり、水の量が多すぎると根がしっかりはりません。水やりの難しさをまた感じました。

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 また施肥のタイミングも難しかったです。植物は肥料がなくても育ってはいくので、ハツカダイコン第1弾ではほとんど施肥していませんでした。しかし、葉の色が薄めであったことから、第2弾では肥料の量を増やしてみると野菜たちが生き生きとし、大きさもひとまわり大きく育ちました。 肥料も水と同じで、あげすぎると根が呼吸しにくくなってしまいます。しかし、適切にあげれば生き生きとする。その微妙な加減が難しかったです。育ててみた感想としては、「少し多いかな?」と心配になるくらいの量を施肥するのが、一番上手くいったかなと思います。(ハツカダイコン、ハクサイの場合)

20170115223433-874a4acaf67fe60326dccc9082db90ebe05eb0fd.jpg 意外とうまくいったことは、気温の低い中での成長についてです。10月からの栽培となり、ハクサイもハツカダイコンも栽培適正時期より遅く、適正気温を下回っていました。(それぞれのまきどき ハツカダイコン→8〜9月 ハクサイ→8月) そんな中で収穫までうまく育つのか疑問でしたが、結果はどちらも立派に成長してくれました。

 私は11月中旬までは鉢の置き場所を、"日中→ベランダ 夜→室内"、11月中旬以降は、"日中→日の当たる窓際 夜→室内"とし、寒さ対策は特に何もしていません。 しかし自然の気温で十分成長し、意外にも気温にはそこまで厳密にならなくてもいいのだなと分かりました。それよりも、暖かくても日の弱い室内に置いていると、心なしか葉の色が薄くなったので、気温よりも日光のほうがより大切なのだと知りました。

 ですが、ハツカダイコンの第1弾と第3弾を比べて分かるように、栽培期間は気温でかなり違ってきます。(第1段・・・30日 第3段・・・約50日)この展開ゼミでは、自分で食べるための野菜の栽培で、収穫時期の目処もたてる必要がないため、栽培期間はそれほど問題ではありませんが、野菜の栽培・出荷で生計を立てる農家の方にとっては収入に関わる大きな問題です。 そのため、このゼミの様な特殊な例でない限り、やはり適正時期を守ることは大切なことなのだと感じました。

20170115223433-874a4acaf67fe60326dccc9082db90ebe05eb0fd.jpg(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

 このゼミは、毎週ブログとして記事をあげるという変わったものであり、野菜の栽培を自分1人だけで行うということも初めての経験でした。わからないことが多くあり、ゼミが始まって以来、発芽のさせ方、植え替えのタイミング、植え替えの深さ、水やりの頻度、、、あげたらきりがないほど、様々なことを自ら調べました。 植物を育てることの知識が少なかったため、していたことですが、多くの知識がある状態のほうが、記事が格段に書きやすいのだとも気づきました。そんな中で、分からないことを調べる癖がつきました。大学ではレポートを書く機会が多くありますが、癖がついたおかげで、書く際に、他の文献、情報を以前よりよく調べる様になりました。分からないことを分からないままにしないようになり、それは全科目で生かされています。  

 また、長い文章を書くのが速くなりました。大学では、高校までとは比べ物にならないくらい多く、レポートを書きます。私は自分の考えを人に伝えることが得意ではなく、文章を書くのに人一倍時間がかかります。この展開ゼミでは毎週記事を書かなくてはならず、かなり多くの時間を使いましたが、最初に比べると、かかる時間は2/3ほどに短縮し、長い文に対しての苦手意識がかなり克服されました。

20170115223433-874a4acaf67fe60326dccc9082db90ebe05eb0fd.jpg(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

 私は植物を育てることがもともと好きなので、「"毎日が展開ゼミ"で大変」とは一度も感じませんでした。種を頂いた日から今日までずっと、植物の成長を見ることは毎日の楽しみです。

 毎日の観察の中で身についたのは、変化に気づいたらすぐに改善する、ということです。例えば、徒長しているなと思ったら、そのとき土寄せをする。後にまわさない。(これがとても重要!) 葉が黄色いなと思ったら、肥料を足してみる。太ってきたハツカダイコンの根が土からでていたら、土をかぶせてあげる。水が足りなくみえたら、すぐに与える。植物の成長に大きな支障を与えないうちに、小さな変化に気づいて改善するということの大切さを学びました。

 植物は動かないけれど、生き物なので、現在進行形で常に成長しています。気づいたときには、もうすでに異変が始まって進行しているのだから、そのとき改善して、後にまわさないことは本当に大切だと思いました。最悪の場合、後にまわすと忘れてしまうこともあるので。 異変が小さいうちは簡単に取り戻すことができます。そして、小さな変化に気づく、というのは毎日しっかり観察しているからこそ出来ることです。植物に限らず、常にアンテナをはって、物事をよく見ておくことで改善できることは多いのだと分かりました。

20170115223433-874a4acaf67fe60326dccc9082db90ebe05eb0fd.jpg(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

 私が記事を書く上で最初から意識していたことは、"いかに簡単に伝えるか"です。難しいことも簡単に。簡単なことは簡単なままに。簡単なことを簡単なまま伝えることが、案外難しいことなのだと思っています。この展開ゼミは全世界で見ることができるので、(実際に見ているのは、同じゼミを受けている学生と渡辺先生、ラボスタッフの方だけかもしれないけれど、)小学生が見ても飽きない記事を目指しました。 具体的には、情報は多ければ多いほどいい、という訳ではないのだと、このゼミで学んだので、余計な情報は入れないように、また、まわりくどい表現はしないようにしていました。

 けれど同時に、老若男女すべての人に分かりやすい表現はないのだな、とも思い、悩みました。 難しい熟語を使えば、子供には分かりにくくなるし、けれど、単純な言葉を使うと、伝えたいニュアンスが少し違ってきてしまう。また、同じゼミを受けている学生さん達も、それぞれに、それぞれの分かりやすいと思う記事を書いているわけですが、その文章が十人十色なことから、どんな文章を分かりやすいと感じるかは、人それぞれなのだと感じていました。対象を明確にして(それももしできるなら対象を狭くして)、文章を書くというのが、伝わりやすい文章を書くことの根本にあるのだと思いました。

 20170115223433-874a4acaf67fe60326dccc9082db90ebe05eb0fd.jpg 展開ゼミ前後での変化としては、文章を書く順番にこだわるようになりました。ハツカダイコンの話とハクサイの話どちらを先に持ってくるか。さらにハクサイの話のなかでも、この文とこの文をどちらを先にするか。1つ1つ丁寧に考えて記事を作っていました。 自分の文を何度も繰り返し読む中で、これはまわりくどいかな、この表現はおかしいな等、自分で気づける様になり、自らの文をなおすことができるようになったと思います。

 またタイトル、写真にはとても気をつかいました。

 まず最初にタイトルについて。私自身、同じ野菜を栽培した昨年の先輩方の記事を、参考にして栽培していて、「ハツカダイコンの本葉がでてきたあたりの記事をみたい」「ハクサイの結球の記事をみたい」などと思いながら、記事を探していました。ですが、タイトル自体はとても惹きつけられるものの、タイトルだけでは、どの野菜のどういった状況の記事なのか、分からないものが多く、自分の野菜と同じ段階の記事を探すのに苦労しました。そのため、私は、目次のようなタイトルにしていました。来年の受講生など、記事を探しやすいよう、"野菜の名前と何をしたか"をできるだけタイトルにいれました。

 次に写真については、以下のことに注意していました。

・背景は1色、それも出来るだけ白で統一することnumazawa-0115-01.jpg・生活感のでるものや余計なものが映らないようにすること 

・対象を真ん中に持ってくること 

numazawa-0115-03.jpg・アップの写真でも出来るだけボケない様にすることnumazawa-0115-02.jpg ・パソコンで見たときだけでなく、スマートフォンで見ても、写真の向きが変にならないよう、正方形で撮影すること 

これらのことを常に意識して撮っていました。また、光の当たり具合なども考え出すと、撮影できる時間も限られてきて、そうすると写真の撮影にもなかなか時間がかかることに気づきました。伝わりやすい記事をつくるというのは文章以外にも計画、時間、試行錯誤が必要なのだと知りました。

(5) 以上の(1)~(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

 まず、分からないことは積極的に調べること。例え本でなくても、まずはインターネットの情報でいいから、調べてみることです。そして、常に周りをよく見ること。周りの変化によく気づくこと。これらは"大学"に限定しなくとも、普段の生活に活かせます。

 ハツカダイコンは第3弾も無事に収穫でき、無農薬・採れたての野菜を、三度もおいしく頂けました。栽培時期をずらしていくと、定期的に野菜を食べられていいなと思いました。 ハクサイは収穫まではまだ時間がかかりそうです。ここまでとても順調に育っていると思うので、引き続き、毎日の変化を見逃さず、大切に育てていきます。 目標はしっかりとハクサイの形に結球させること。先輩方の記事を見ていても、スーパーで見るハクサイの形になるまで、完璧に結球した例はまだないようなので、第1号を目指していきたいと思います!

 そして野菜の栽培は毎日の楽しみとなっていて、これからも続けていこうと思っています。今一番気になっているのは芽キャベツです。蒔きどきは4〜5月ということで、来年個人的に挑戦して、シチューにいれたいなと思っています。

 植物を育てることは好きでも、なかなかきっかけがないもので、これまで栽培してきませんでした。しかしこの講義のおかげで、やはり植物が好きだと改めて感じさせられました。これまでの大学の講義の中で最も積極的に取り組めた講義です。渡辺先生、ラボスタッフの方々、丁寧なコメントやアドバイス、ありがとうございました!

 また、ハクサイに成長が見られたら投稿しようと思います。

コメント

農学部・沼澤さん

 遺伝の渡辺でございます。現状から見て、一番頻繁に記事を投稿してくれました。20回近くになり、よく頑張っていたことが、これまでの記事からもよくわかりました。作物毎であったり、ちょっとした栽培環境の違いで、水やりの頻度が違うこと、そうしたことをこの経験から学んだのは、niceです。水やりが栽培の基本であること、畑で栽培したとき、つる性のカボチャ、スイカのようなものは、つるの先端まで、根っこが伸びているので、その当たりに肥料をやることと言うのを聞いたことがあります。どこまで事実なのか、掘り返したことがないので。ある種の経験則だと思いますが、いずれにせよ、根域をいかに大事にするか、栽培のポイントですね。あと、施肥量、これもかなりの経験がいりますね。確かに。葉菜のように、葉っぱの枚数を稼ぐ必要なものは、かなり肥料が必要と言われています。渡辺もハクサイのたぐいを栽培していますが、施肥量をお目にしておくと、そのあとの実験に使う「花」の咲く数が多くなってきますというか、たくさんの実験に使うことができます。少し話がそれましたが、栽培適期があることを数回の栽培で気づいたのもの、niceですね。9月くらいにこの展開ゼミを始めることができれば、ずいぶんよいのにと思うことは、時々あります。

 調べること、書く訓練をすることの重要性の認識もこのゼミの重要ポイントです。他の講義でもこれから、レポートを書くと思いますが、意識して、文章を書くことを大事にして下さい。パソコンのワープロで書くわけだと思うので、文章の推敲は慣れたのではないかと思いますので。5人目の最終報告でも、先の土肥さん鈴木さん田阪さんのように、毎日がゼミの大変さがないというのが、すごいです。たぶん、基礎ゼミ、展開ゼミをはじめて、4年目だと思いますが、はじめてだと。。。毎日の観察で変化に対する観察力をしっかり養成して、このゼミの中で、栽培を通じて、すぐに対応することの重要性を身につけたことは、素晴らしいことです。ぜひ、これからの普段の生活、大学での講義等、色々なことに応用されることを期待しています。小さな変化に気づくようになることは、動かない植物では、特に大事だと思います。この経験で身につけたアンテナを色々なところに張り巡らせて、情報に対して敏感に反応できるようにして下さい。

 文章をわかりやすくと言うのは、難しいですが、それにtryしているのは、評価できると思います。また、それぞれのcase by caseで考える必要があることに気がついているのもniceです。読み手が誰かと言うこと、大事な文章を書くポイントですから。また、開田さんも書かれているように、どの様なストーリーにするか、それを考える上でのヒントは、きっと撮影した写真にあったと思うのですが、ストーリー展開の記事を、目次をつけるなどの工夫で、次の世代に受け継いでいるところもすてきですね。来年度の受講生は、きっとたくさん参考にしてくると思います。写真について、背景であったり、なにより、読み手が、パソコン、スマホという設定条件が違うものを考えての対応は、すごいと思いますね。このあたりは、次年度、この講義をとる受講生にも参考になることだと思います。ハクサイを結球させることは、かなり大変だと思いますが、ぜひ、チャレンジしてみて下さい。その記事がuploadされるのを楽しみにしておりますので。また、芽キャベツへの挑戦、ぜひ、やってみて下さい。この講義で学んだことを活かせば、できると思います。植物が好きで大学に来て最も積極的に取り組めた講義であるというのは、うれしい限りです。講義を開いた側も。。。ということで、また、どこかでお目にかかれることを楽しみにしておりますので。。。


 わたなべしるす