東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

11*ミニニンジン&リンゴとスプラウト(農:岡田和花)

2017年12月18日 (月)


 忘れていた日没後の温室内の温度測定をしました。

 12月17日 外気温 1℃  温室内 6℃(±5℃)

 うん、まぁまぁなのではなかろうかと...。因みに日中は天気のいい日は温室外に出し、日没くらいに温室に戻しています。曇りや雨、雪のときは温室内に入れっぱなしです。



 さて、今回はまず、前回いただいたコメントを引用しながらミニニンジンの報告をします。

 前回のわたなべ教授のコメント「植物体全体が紫になったニンジン。これは、いつ頃からなりましたか。
⇒倒れたのが12月1日、初めて全体が紫になっているのを見つけたのが12月8日です。その後の変化は、もとから茎が割と赤みがかっている株だったので茎の色の変化に気づかず見落としていました...。おそらくこの見ていない間にじわじわ茎が色づいていったらしく、葉の変化でようやく気が付いたのが8日です。

***

 12月11日に倒れたもう一本の株も同じように色が変わってしまうかもしれないと思い、こちらは慎重に見ています。もう1週間たつのですが紫になりそうな気配はないです。

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 12月16日 16時ごろ 曇天 外気温7℃ 温室内10℃(±5℃)
 時間帯と天候のせいで暗く見えますが、紫にはなっていないです。

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 原因について、
わたなべ教授より「ぐったりしているニンジン。病名は分かりませんが、「萎凋病」、維管束系に細菌が詰まるというパターンかなとおもいました。他の植物では多いですが、ニンジンで検索して、出てこないようなので。。。
オガタさんより「敢えて考えれば、猫によってもはや茎は大きな傷を負ってしまい、弱っているので感染してしまったのではないかと。しかし類推でしかありません。
といただきました。
 猫、伏線だったのか...と思うとなんだかこう、ドラマチックなのはよそでやってほしいという気持ちなのですが、確かに猫事件時に直接やられてしまったり、それで若いうちに無理やり植え替えをすることになったりしたことが原因になっているかもしれません。
 あと、猫以外で考えると私の土寄せが荒々しかっただとか...。ありうるかもしれません。うーん...。


 それから前回のわたなべ教授のコメント「緑で、普通のニンジンは、何個体ありますか。
⇒残念ながらあと一株です。

 と、いうことで

わたなべ教授の「もう少し観察して、だめそうなときは、早めに除去するのがよいかと思います。病気は蔓延する可能性がゼロではないので。。。

オガタさんの「もしもこれが病気であれば他に累が及んでしまうのを防ぐのが何より大事ですから。

というコメントの通り、倒れたものを除去するのがよいのだろうとは思うのですが、とりあえずはオガタさんのコメントの「残り株数が少なければ継続して様子を見た方がいい」という方向でいきたいと思います。

***

 最後の一葉ならぬ最後の一株の様子をご報告いたします。

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 12月16日 16時ごろ 曇天 外気温7℃ 温室内10℃(±5℃)
 これです。(木曜日にめちゃくちゃきれいに写真が撮れていたのに気温とかメモするの忘れていました...くそぅ...。)
 写真にあるように子葉も枯れていませんし、分かりにくいですが葉に少しつやがあります。それから三枚目の本葉がしっかり見えています。
 それから、この写真ではわかりませんが、この株では茎の根元がほかの二株より少し太く、しっかりしていました。頑張ってほしいです。

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 実は倒れた株を除去しないのはもう一つ理由がありまして...。

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 12月16日 16時ごろ 曇天 外気温7℃ 温室内10℃(±5℃)
 写真は見てわかるように、紫になってしまった個体です。茎の根元が折れてしまっていたのに葉がまだ枯れていません。もう一つの倒れた個体ももまだ生きています。ある程度維管束がまだ機能しているということだと思います。この状態で紫さんはどこまで生きていけるのか、こいつの生命力に個人的に興味があるので(ミニニンジンの無事な収穫までは望んでいませんが、)これからも見守っていきたいのです。

 これで原因が私の土寄せだったら申し訳ないなぁ...。すまねぇ...。



 さて、続きましてリンゴ同棲スプラウトの報告です。

 蒔いたのが9日でその後の発芽数と発芽率は以下の通りです。

 10日 リンゴあり 0(0%)
       なし 0(0%)

 11日 リンゴあり 0(0%)
       なし 0(0%)

 12日 リンゴあり 14(70%)
       なし 8(40%)

 13日 リンゴあり 17(85%)
       なし 13(65%)

 14日 リンゴあり 18(90%)
       なし 16(80%)

 15日 リンゴあり 19(95%)
       なし 18(90%)
 
 リンゴ一緒に発芽させたもののほうが若干早く発芽しました。

 ここで15日の写真を。

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 左がリンゴと発芽させたもの、右が普通に発芽させたものです。パッと見た感じで右のほうが根の色の面積が広いです。

***

 しかし...15日になって大事なことに気が付きました。今回の結果、リンゴと発芽させたもののほうが発芽が早かったのですが、これは一概にリンゴのエチレンのおかげとは言えないのです。
 というのも、リンゴと発芽させたものは、エチレンが逃げないように袋に入れていたのに対し、そうでないものはただ段ボールにいれただけであったので、発芽条件のうちエチレンと湿度の2つが異なってしまっていたのです。このためにリンゴと発芽させたものの方が水分を吸収しやすい環境になり、発芽が早かったとも考えられます。

 そこも考えなければだった...と悔しい気持ちです。またリンゴが手に入ったら今度は両方ビニール袋に入れつつ比較をしたいです。

 ちなみに、発芽がほぼ終わってしまったのでもうリンゴとビニール袋は撤去しました。あとは普通に育てるつもりです。

 そういえば、第2弾のスプラウトを14日から緑化させているのですが、いまだいい感じに色が付きません。水を絶やさないようにしながら収穫を楽しみにしています。



 ううむ、最後の一株を最後の一葉に例えると縁起悪いですね。強く生きます。
 では、11回目の更新はこのくらいで...。

コメント

農学部・岡田さん

 こんばんは、遺伝の渡辺でございます。こまめな管理をしていますね。niceです。実験に使う植物はガラス室、いわゆる、ガラスで覆われていて、無加温の部屋ということですが、太陽光は当たるだけの。そこで、ほったらかしです。もちろん、気温が上がりすぎるときは、部屋の天井などをあけるなどしますが。外気温よりも少しでも暖かいのは、よいことかと思います。自然に近い状態で。

 なるほど、紫色に全体が変化したのが、1 weekですか。意外と早い変化ですね。この株だけが何かの要因で紫になったと考えるのが、自然ですね。たぶん。いずれ、他への影響を見ながら、しっかり対応してみて下さい。今のとこは、感染性のものではなさそうですね。ぐったりしているのは、前よりは回復したような。。。なので、しばし、様子見でしょうかね。何より、残っているのが、1株ということを考えると。もちろん、紫のもこの写真から見る限り、元気はあるという感じですね。このまま、様子見ですね。3個体の変化をしっかり観察して下さい。

 あとは、スプラウトですね。実験系としては、確かに、湿度の制御ができてないのがありますね。ただ、種子がこれだけ、wetな状態になっていることを考えると、リンゴの影響は考えられますね。ただ、リンゴを使っているので、エチレンの可能性もありますが、CO2の可能性もありますよ。渡辺よりも20級上の先輩が自家不和合性を打破する実験をしていて、リンゴと一緒に入れると、自家不和合性が打破されるのですが、エチレンでは、だめということがあって、結局。二酸化炭素でした。いずれ、これからですね。生長は。根っこの長さは分からないですが、裂開して、広がっている様子を見ると、左の方が、黄色の面積は大きいような。。様子を見てみて下さい。他のコメントは、ラボスタッフのオガタくんがまた、別途書くと思いますので。それも参考にして下さい。


 わたなべしるす




ー 追記 ー

 温度の話です。上のコメントにもありますが、無加温でも今回の作物には充分です。研究室の無加温のものでは、12/18の温度、最高で18.8℃、最低で何とー2.4℃でした。日照の無い夜間は温度を上げる効果はありません。なので、そちらも温室への入れ替えはそれほど細かくなくともいいかもしれませんね。

 さてニンジン、最後の一株ですか。いやいや、縁起悪くないですよ。野球でも逆転サヨナラホームランがカッコいいではありませんか。ポーカーでも役無し手札が最後ストレートに変貌するのが劇的です。

 関係ないですがお正月でオミクジ引きますでしょうか。仙台でも二柱神社で、何と血液型別オミクジなるものがありました。微妙です。。繰り返します。微妙です。。。

 スプラウト、よく考察されました。実験結果のみならずそれに至る原因まで考えていますね。気が付かれたのは見事です。確かに湿度も影響されてしまいます。上のコメントにもある通り、他のガス成分の影響を排除できない実験系ですね。

 ではまた報告お願いします。

 ラボスタッフ・オガタ