東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表です。(農:岡田和花)

2018年1月16日 (火)


 さて、最終発表です。とうとうこの時が来たかと。
 冒頭の写真は、雪から植物を守るケース(右上)、収穫したレッドキャベツスプラウト(左上)、茎ブロッコリーのわき芽(右下)、元気なミニニンジン(左下)です。関連記事のリンクを入れてみました。(その写真が使ってある記事とは限らないですが...。)今回の最終発表を書くにあたって今までの記事をちらっと読み返したのですが、やはりなんかこう...感慨深いものがあります。たった数か月なんですけどね。

 最終発表はこちらの内容にそって書いていきます。また本文中のオレンジ色の文字はすべてここからの引用です。


(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

 想像していたよりも大変だったことは、「いろいろなことが予想通りにいかなかったこと」だと感じています。
 わかりやすいところでいうと、ミニニンジンが二株しおれてしまったことですね。きちんと面倒を見ていたはずなのにしおれてしまいました。原因はわからないままですが、猫の事が関係しているのなら、なおさら予想外の事が起こっていたといえます。というかそもそも猫にやられたことが予想外といえば予想外なんですけどね...。思ったよりうまくいかなくてちょっと悲しいです。
 ほかにも、作った温室のラップが劣化して破れてしまったり、リンゴとスプラウトの発芽の実験をしたときも条件を揃えるのに失敗して有意差を見ることができなかったり...。小さいことだと5号鉢と3.5号鉢で茎ブロッコリーの成長差が出てしまったり。

(一つ一つの出来事にそのことが書いてあるリンクを入れたかったのですが多すぎて見苦しくなったのでやめました...。)
 「まさかこんなことになるとは...」「なんでこんなことが...」ということが次々に起こって、その原因を考えたり、それに対処したりすることが大変でした。

***

 逆にうまくいったなと思うことは(少ないんですけど)、「基本的なことが最終的にある程度できたこと」だと思います。
 ごく初期のことでは、シャーレで種子を発芽させられたこと、きちんと双葉を出せたこと、徒長になんとか対処できたことなどがうまくいったなと思っています。最近では鉢の植物への水やりを無事に行えていることやきちんと日当たりが確保できていることなどですかね。
 またスプラウトは、一回目にしおれさせたけれど二回目は無事に緑化させられ、最終的にはうまくできたと思います。一回目の彼らの犠牲は無駄ではなかった...。

 それから、基本的なこととは別で、結果論として温室が雪から守ってくれたのはうまくいったことです。これは偶然の産物なのですが。



(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

 他の実験系の科目に大きな効果があったように思います。効果は大きく分けて三つ感じました。

 まず一つ目は、観察するときの条件に着目する力が付いたことです。観察とは、そのものがどう見えるということだけではなく、どういう環境(この講義の中だと植物が置いてある場所の日当たりや温度など)の中で観察をしたかということも重要なのだということを、この講義の中のわたなべ教授やオガタさんからの毎回のコメントで少しずつ学べたと思っています。何かが起こっているときの原因や解決策を探るのに、周りの条件をヒントにするということは今回の植物観察の中のかなり重要な部分なのではないでしょうか。
 このおかげで他科目(自然科学総合実験)のレポートをまとめるときに実験条件の何を記述する必要があって、何がそんなに重要でないかということの選別がやりやすかったです。

 二つ目は、毎回の観察の中の相互関係を見る力です。観察はその時で完結しているのではなく、前回の観察や、他の観察結果と比較して初めてわかることがあったり、考えたりできることがあるということをこの講義を通して感じました。例えば、(単純な話ですが、)紫色になったミニニンジンは、「茎が倒れていた」という観察の後に「色が変わった」という観察結果があったのでその相関を疑って「ほかの倒れた株も変色するかもしれない」と次の観察につなげることができましたし、スプラウトも、一、二回目で密度を変えた二つを準備して「発芽の早さが違っている」ということがわかったので、三回目のスプラウトのリンゴとの発芽実験につなげることができました。
 もちろんその観察結果や解釈がすべて正しいわけではないですが、このように関係性を見つけて次につなげるということをヒントをもらいながらでも自分の力でやってみたことは、他科目で実験を行ったときの考察をするときの力につながったと思います。

 三つ目は、観察眼とは少し違うかもしれませんが、観察したことをまとめる力が付いたことです。毎回の更新の中で、観察した内容を文章にまとめたり、スプラウトの観察では、計測で得られたデータを表や図にまとめたりしました。観察をただの観察として完結させるのでなく、それを人に見てもらうために工夫して焼き直す作業は正直面倒で労力のいることだったのですが、それだけ力はついたと思います。これは他科目のレポートをまとめるときにも大いに役立ちました。
 さらに、レポートはこのブログと同じように人に読んでもらうためのものなので、内容が長いときは小さい塊に分けるだとか、段落を程よく作るだとかの、今回習得した文章の作り方も活用することができました。



(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

 毎日の観察、大変でした。正直最後の方は忙しくて、完全に毎日というのはできなくなっていました。写真もあんまり撮らなくなってきていましたし...。

 そんなグダグダな感じだったのですが、身についたことは、些細な変化を楽しむことだと思います。本葉の出始めるところを実際に観察できたり、茎ブロッコリーにわき芽が生えてきたことを見つけられたりと、細かいところに気が付けたのは何かを育てていて初めてだったので、自分の中でかなりうれしかったです。自分で育てているものだからこそ、丁寧な観察ができて、その結果、細かい変化に気が付く敏感さが得られたと思います。
 逆に後半の安定してきてからは変化があまり見つからなくなって、観察をあまり楽しめなくなってきていたので反省です...。こういうときももっともっとよく見ていたらいろいろな他の事がわかっていたかもしれませんね。

 それから、この展開ゼミの中で植物に対しての責任というか...、「自分が生き物の管理をする」ということについてもかなり勉強になりました。私は一人暮らしであり、他でもない私が彼らの世話をきちんとしないと、その怠慢が直に彼らの生死にかかわってくるのをひしひしと感じました。中間発表でも述べたように、鉢植えの植物は自分で水を飲みに行ったり、肥料を取りに行けないのですし。お世話、頑張りました。



 (4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

 今までの更新の中で、文章の工夫として以下のような変更を加えてきました。

 ・段落の頭を一文字下げる。
 ・使用した写真の条件(撮影日時、撮影時の気温等)は黒太字にする。
 ・いただいたコメントなどの引用文はオレンジで示す。
 ・話題が少し変わるときに「***」または「」を挟む。
 ・話題ごとに小さいタイトルを付けてまとめる。

 それから、文章外ですが、

 ・タイトルに通し番号を付ける。
 ・写真の注目させたいところは赤丸で囲む。

 という工夫もしました。この前者は、菅原ののさん書き方を、後者は直江彩花さんの示し方を参考にしました。

***

 文章を書くという点で大きく変化したことは、上にあげたような、読み手を意識したまとめ方を考えるようになったことです。文章は、自分の頭の整理のために書くメモと、人に読んでもらうための二種類があると思います。講義前と比べると、記事を読んでもらうために、読みやすい文章構成を考えて、自分のメモでまとめたことをなるべくたくさん、正確に伝えられたらなぁと思って書くようになりました。

 このことを意識したのは中間発表辺りからだと思います。中間発表で、「誰の記事が参考になった、あるいは、なるほどということをに気がつかされたということを記して下さい。」というものがありました。これがきっかけで、他の人の観察だけでなく、文章構成にも注目するようになりました。また、他の人の中間発表で、自分の記事が紹介されているのを見て、初めて、「教授やオガタさん以外にも、私の記事を読んでくれている人がいるんだ!」と気が付いてモチベーションが上がったことも文章の書き方を工夫するきっかけになりました。中間発表の効果を最終発表で知るという...。

 余談なのですが、他の変化として、ちょっとタイピングが早くなりました。まだ完全なブラインドタッチはできないんですが、よく使うキーとかはかなり正確にできるようになりましたし、タイピングゲームの成績も上がっていました。うれしい。



 (5) 理系・文系を問わず、この講義を受講できるようになっています。植物を栽培して、観察するということは、客観的に物事を捉えて、自然科学的なものの見方を学ぶということでもあります。そうした点について、自分自身が習得できたと思う点、他の受講生と比較して、さらに、研鑽を積むことが大事と思う点を、考察して下さい。

 自分自身が習得できたと思う点は、今まで得てきた知識をいかに活用するかだと思います。

 中間発表でも書きましたが、今までは教科書に書いてある理論を実感のないままふむふむと頭に入れてきただけでした。それを、今回の展開ゼミで、「レッドキャベツスプラウトの発芽促進はエチレンのせいかも!」だとか、「ミニニンジンが倒れた後、枯れていないのはぎりぎり維管束が機能しているからだ!」だとか、「茎ブロッコリーのわき芽の成長が遅いのは、頂芽優勢があるからだ!」だとか、現実に起こっていることと今まで得た知識を結びつけて活用することができました。「実際に知識を活用できる」というどこかすっきりとする心地よい感覚を得られたのは大きな収穫だと思います。

 それから、(2)で述べた三つの事も習得できた力だと思っています。同じことの繰り返しになるので内容は割愛させていただきますが...。

ただ、もっと細かい観察をしたり、生育条件をもっと色々工夫していれば、もっとたくさんの不思議なことに出会えたのだろうなぁと、まだまだ至らないなぁと思います。
直江さんのような毎日のまめな観察や、井上さんのような面白い生育条件の操作ができていたら、またいろんなことが比較できて、いろんなことが分かったのだろうと。まめさ(継続力?とでもいいましょうか...)と発想力を身に付けたいです。



 (6) 以上の(1)~(5)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

 自分がこの展開ゼミで学んだり、反省したことから、今後に活かせると思ったことは大きく以下の二点です。

 まず一つ目は、「とことんこだわる」ともいうことです。
今回の展開ゼミの反省として、スプラウトの比較条件が緩かったり、最後の方の観察が手抜きになったりと、気の抜けていて勿体無い部分が多かったです。この反省を活かして、他の科目やこれからの生活で、何かに「とことんこだわって、とことん追求する」ということをしていきたいです。

 そして二つ目は「伝わりやすくまとまった文章を書く」ということです。
毎回ブログを書いていくうちに、文章を書くということには少し慣れることができたと思います。これからは、ただ書くだけでなく、読んでもらってきちんと伝えるために、うまくまとめた文章を書きたいと思っています。
 何かを書いたり伝達することは大学での勉強でも、それより先のお仕事でも、普段の生活でも必須になると思いますし、これは引き続き頑張っていきたいです。

***

 それから最後に、今後の植物についてです。

 現状、

・水やりは鉢の様子を見て(3〜5日に一回ほど)
・追肥は1週間に一回
・温室(開口部全開)の中に放置

という管理なのですが、(ミニニンジンは例外として)特に枯らす気配がないので現状維持で育て続けるつもりです。
 温室は改装予定ですが...。

 観察と報告について、水やりのタイミングを見計らわないといけませんし、日々の観察を止めるつもりはありません。ただ、写真を撮る頻度は下がるかなと。物差しを当てながら写真撮るのはかなりきついので...。でも、何か問題が起こったり、これは!と思う成長があったり、収穫できそうになったりした時はきちんと写真で記録して記事を書き、ご報告ができたらなと思っています。先の長さはわかりませんが収穫までたどり着きたいです。

 あ、そういえばまだ種子が色々余ってるので来年に第2弾とかできたらいいなと思ってます。特にレッドキャベツスプラウトは、スプラウトを無視して種からレッドキャベツを作ってみたいです。ミニニンジンもすでに心残りがすごいし、もう一度やりたいなぁ...。


最後に


 第一回更新と中間発表で書いた目標は、

・HP更新を挫折しない
 (HPの更新を放り投げない、内容の改善や工夫をする努力)
・作物の管理の徹底
・栽培に必要な情報収集(下調べ)

でした。


 更新...たぶんぎりぎり放り投げてはないと思います...たぶん。内容の改善や工夫は目標通りできたと思います。作物の管理は...うーん、少ししおれさせたものや葉をちぎってしまったものもありますが、枯らしてはないのでセーフ?かなと。それから情報収集は...どうなんでしょう。情報収集に限界はないので、なんとも言えないですね。

 何とも微妙な振り返りですが、総合的に達成度は中といったところでしょうか。まぁまぁ。
 これからも栽培は続けますし、達成しきれていない目標はおいおいということで。やっていきたいと思います。



 最終発表はこのくらいで。また更新はしますが、とりあえず。

 ありがとうございました!

コメント

農学部・岡田さん

 おはようございます、遺伝の渡辺でございます。しっかりした最終発表を拝見しました。最初の写真が、この後期の取組をうまくまとめてあり、色々なことがあったことを思い出せました。なかなかの企画力だと思います。まさに、この講義のまとめの表紙になっていると思います。このセンスを大事にして下さい。「ネコ」イベントは、ショックでしたね。動物に感染する何かが、植物にということはないと思うのですが。。。赤くなったニンジンは何をどうすればよいのか、こちらも初めての経験でした。あと、linkをたくさん入れると「うるさくなる」ので、ということでしたが、次年度からの受講生のことを考えると、あると、とても助かるんですね。まとめを読んで、なるほど、こんな風にうまくいったり、そうでなかったりすんだと、すぐにわかるので。全部でないにしても、かなり入れてくれている方です。niceです。

 渡辺は植物を育てているというか、学生さんが管理してくれているのですが、雪が降れば、場合によっては除雪の必要があるので。また、今年の実験のふれ具合が、どうなるか、春、秋の天気は気にしています。なので、天気を見るのは、渡辺には日常なのですが。。。これを機会に、天気を見て、というのを日常化するのもよいかと思います。高校までの活動で、植物に対しての基礎の部分があったとはいえ、色々なことにチャレンジングにやられたことは、こちらで見ていても高く評価できるところでした。また、こちらが書いたコメントの行間を読むというのか、その大事なポイントをしっかり理解できているのもよかったです。是非、これからもその力を伸ばして下さい。

 出張先で、手元に記録がないのですが、農学部で植物系を希望されていたような。。その意味で、今は、自宅での植物の栽培ですが、実験を始めると、自分の植物の世話をしっかり自分で行う。大事なことになります。研究室によっては、土日祝日は、誰かに水やりを頼む、shareするというところもあるようですが、自分の植物は自分で見るという習慣は、大事なことだと思いますので。自分が書いた記事は、こちらがコメントするだけではなく、他の受講生の方にも、参考にするようにと、ずいぶん書いたのですが、なかなか浸透しなかったですが、気がついて、意識をしてくれたのは、うれしいですね。その点も、他の講義とは違うところで、講義の内容について、他の人が考えていること、それについてのこちらの反応をshareできることです。ある種の透明化だと思いますが。。今回は講義を通じてでしたが、物事を透明化するのは、大事なことで。これからのこれということを透明化したとき、物事の通りがよくなったりすることがあると思います。そんな時、ふと、講義のことを思い出してみて下さい。

 教科書に書かれてあることを実際のもので確認する。簡単なことのようで、意外と難しいことだと思っています。電車に乗っていて、急に止まると、慣性の法則ということを考える人も少ないと思いますので。その意味で、頭で理解していることを、現実とlinkできる力をこの講義で学ぶことができたのは、農学部での専門の講義、実験、さらには、その先の研究に活かされると思いますので。大事にして下さい。

 音質のすごいのを作ったのも、岡田さんが先駆けだったと思います。それは結構、大変なことなので。また、残っている手持ちの種子を使って、栽培というのは、是非、やってみて下さい。ベランダのスペースがあれば、もう一回り大きな植木ばちと、土を提供できます。是非、それでチャレンジしてみて下さい。レッドキャベツは、楽しめると思いますよ。適期に栽培できるので。是非に。ニンジンももう少し早い時期ですね。こちらも是非に。それから、この肥培管理のレベルで、ギリギリと言われると、こちらとしては、頭が下がります。是非、この後も、その後、どうなったのか、さらには、次年度のチャレンジ、楽しみにしておりますので。この講義がこれからの大学、さらにはその先の色々なことに活かされることを期待して。


 わたなべしるす