東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終報告~私にとってのリフレクション~(工:木村陽来)

2021年1月20日 (水)

こんばんは、木村陽来です。今回は最終報告となります。思い返してもけして短い期間ではなく、自分にとってはかなり印象深いセメスターとなりました。この授業その一つですが、ハードな授業が多く毎週毎週大変だったなあという思いです。よくのりきったな、と。これからテストもあるので大学というのはかなりスパルタな機関ですね。

それでは本編に参りましょう。8つの質問に自分なりにこたえていく、という形式になっています。

(1) 植物栽培において大変だったこと、うまくいったこと。

大変だったことは、周りの環境を常に気にかけなければいけないことです。気温がいくらだとか、雨が降るかどうかだとか、計測するには昼でなければいけないとか多くの制約がある中で植物の栽培をするのはヘビーな仕事でした。このことは他の受講生も言及していますね。栽培とは直接関係ありませんが、周りの環境を気にかけるという点で特にヘビーなこととして挙げられるのは帰省時の準備でした。全く記事では触れていなかったのですが、実は私は帰省時の実験として毛細管現象を取り扱おうかと考えていました。


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このように様々な材質で出来た糸を水に浸して、どの物質が最も水を吸い上げられるかという実験です。これはもともと、帰省中どのように水に水分を挙げるか、に悩み毛細管現象で水をあげることにし、ならば最も効率の良い材質を探そうではないか、という思いから始まりました。しかし、仙台に帰ってきてみると、↓
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鉢も毛細管現象用の水の器も雪に埋まっています。これでは水の減少量もわかりません。そのような経緯で私は寒波により実験を一つ潰されました。100円均一ショップに糸を買いに行き、水の器をどのようにおけばいいかも工夫したのに雪であっけなく潰されたのはかなりショックでした。

そして潰されたのは、実験だけでなく植物もです。私のミニハクサイはおそらく凍傷により枯れてしまいました。
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これもやはり年末年始のケア不足だったのではないかと思います。例えば、北川さんは他の人に世話を頼んでいたので、自分も素直に他の人に世話を任せらればよかった、と今となっては思います。それと、年末年始に雪が降ることを承知していれば、屋根のついた場所に避難させることも出来ました。実際、川口さんは世話を他の人に任せないでも葉がしおれた程度で済んでいました。以上のように、私は周りの環境を常に気にかけなければいけない点が大変だと思いました。

一方、上手くいったことは、年末までミニハクサイを順調に育てられたことです。私の初期の記事(リンク)を見ると発芽から根がひょろひょろであり、きちんと葉が出てくれるかどうか怪しい状態でしたがむしろかなり元気に育ったのではないかと思います。それは記事を書いていく中で栽培技術を身につけたり、気候などをこまめにチェックできるようになったからだと思います。それでも気候チェックを年末年始は怠っていましたが。

(2) 他講義への波及効果

私が波及効果があると感じた講義は、火曜3限「課題解決型PBL演習B」です。この授業は、SDGsの観点から仙台の住みやすさを考える、という授業なのですが、最終プレゼンとして自分で考える住みよい仙台を発表しなければいけませんでした。ここで、展開ゼミのブログを書く、という経験が役に立ちました。この場面ではこのような図や写真を使ったら、見る人はわかりやすいだろうなということが意識できるようになったと思います。
また、他の講義全体への波及効果として挙げられるのが、生活リズムがつき、学習ペースが整ったことだと思います。この展開ゼミでは、週1投稿をする、ということが奨励されているので週1投稿をすることで規則正しい生活を送ることが出来ました。

(3) 毎日の観察で何が身についたか。

毎日の観察をするうえで身についたと感じたことは、ひとつの対象を様々な観点から評価するという技術だと思います。これは主に葉の生長をデータ化する際に身に付きました。私は記事を書く際に毎回、どのような内容を書けばいいか悩んでいて後半はいわゆるネタ切れとの戦いでした。そこで私がネタを生み出すために用いたのが葉の生長を様々な観点から評価する、という手法です。初めて用いたのは、私の2020/12/4の記事です。葉の長さを4週間計測し続け、一つの葉が縮んでいることに気づきました。そこで、横幅が増えたんじゃないか、とか葉脈の強化に使われたんじゃないかとかいろいろな推測から計測をしました。結果として、のちに葉の長さが多少上下することはあまり珍しいことではない、と判明しましたがこの経験からさまざまな推測を立てて計測を行うことによって、少し面白い記事が書けるのではないかと思い始めました。もう一度、この手法を用いたのは、私の2020/12/29の記事です。葉の長さがいっこうに変わらないので葉の枚数で成長を評価しようと試みました。今回の評価は、実践的にも間違っていなかったようで、オガタさんから葉の長さは成長初期ほど伸びない、というコメントを頂いて、やはり視点を常に変え続けることが重要なのだと感じました。

(4) 文章を書くという点でゼミ履修前と現在でどのような変化があるか。

このゼミで長い文章を何度も書くことによって、アウトラインを作る習慣が出来ました。前期でレポートを書いていたときは、何も考えずに書き進めながら考える、みたいなことをしていたので文章の構成がうまくいかないことも多かったですが、アウトラインを作ることで構成も整い、何より文章が早く書けるようになった、と実感しています。また、それと関連して論理的構成を意識して文章を書く技術が身につきました。論理的構成というのは、結論→導入→本論→結論という流れです。この構成で文章を書くためには、テーマを1つに統一する、ということが必要になってきます。テーマを1つに絞る重要性に気づいたのは北川さんの2020/11/30の記事に対するオガタさんのコメントを見てからです。内容を絞らないと読み手に取って大半の情報は無駄になる、とコメントされていてそこから自分もテーマを1つだけに設定することを意識しました。
また、他の方が触れている文章を書くことへの抵抗ですが、自分はなくなりませんでした。300字でも600字でも1000字でも、文章を書くことには抵抗があります。走り書きなら書けるのかもしれませんが、やはり論理的に整った構成を求められるとある程度時間は架かります。しかし、上述した通りアウトラインを作れるようになってからは、これくらいのことを取り上げて記事を書けばおよそ何字くらいかな、という感覚が身に付きました。これによって、書くことがなくなったとか、過剰に書きすぎた、ということはなくなり、そこは成長した部分だと思います。

(5)客観的に物事を捉えて、自然科学的なものの見方を学ぶという点について、自分自身が習得できたと思う点、他の受講生と比較して、さらに、研鑽を積むことが大事と思う点。

私が修得できたことは、データの扱いです。私は2020/11/27の記事以来、一貫して植物の生長を数値で評価する、という記事のスタイルをとってきました。その中で、どのようなデータを集めるべきか、という技術の一端を学ぶことが出来たと考えています。2020/12/4の記事の冒頭に書いたように、データを集めるというのは地味ですがかなり苦労の強いられる仕事です。例えば、葉の縦の長さを計測する際には、ハクサイは葉が折り重なっており計測しにくいので、葉の根元をどことみなすかという統一した基準を設けて計測することが求められました。また、外が明るいときでないと見えにくいので、明るい時間に観察しないといけない、でも平日は昼間授業あるし、、、といった感じで時間的な制約もあり、その中でどのように計測するか、といった折り合いをつける技術のようなものを学ぶことができたかな、と思っています。
研鑽を積まなければいけないと感じたのは、予測する力です。自分は(1)にもある通り、凍傷によりミニハクサイを枯れさせてしまいました。また、その他にも今は成長初期段階だから頻繁に世話をしなくてはいけない、とか今は葉がだいぶ成長してきているからそこまでこまめに世話をする必要がないだとかも予測という言葉に含まれています。それがわかっていれば、無理のない生活を送りながら植物を栽培できたのかなと思います。その予測の例は、2020/12/12の佐々木さんの記事で見られます。本葉が出てくるまではほうれん草を室内で育てる予定だったが、長時間明るい室内において徒長してしまったため早めに外に出すことにした、とこの記事にはあり、きちんと予測をして結果が予測と違った時の行動も用意しておくという姿勢がわかります。
以上のように、私はデータの扱いを修得できましたが、予測という点で研鑽が必要だと感じました。

(6) 双方向性について、followできたか、意味があったか。

まず、双方向性について自分にとってnegativeな点は何一つありませんでした。Positiveな点は、ひとつにまず植物の栽培についての種々のアドバイスを頂けたことです。自分は植物栽培についてはド素人なので、専門家の方に助言を頂いていたおかげで大きな失敗もなく記事を投稿できたのかな、と思っています。特にそれに助けられたのは前半です。例えば、2020/11/6の記事では、他の受講生の記事に対してのオガタさんのコメントをふんだんに利用して栽培技術を勉強しました。どの程度followできたかというのは、中間発表の前と後で話が変わってきます。中間発表の前は、私はオガタさんに経過日数を書けだとか、温度を書けだとか本当に基礎的なことを指摘されていたので、その点は概ねfollowしていることを考えると、follow度は7割くらいでしょうか。経過日数は、よく見たら後半の記事でもあまりかけていなかったので、100%はfollowできていないですね。次に、中間発表後ですが、私は中間発表後は葉の生長を数値で評価するというスタイルを続けていたので、後半のオガタさんのコメントはこうしろ、というものではなく、私が行った計測について良いとか悪いとかの判定をしてくれるものになりました。しかし、後半もコメントを取り入れることはできていた、と思います。例えば、2020/12/18の記事では、葉の生長がほとんど止まっている、というコメントを頂き、そこから2020/12/29の記事の葉の生長を葉の長さではなく葉の枚数で評価するという視点を見つけました。このように、前半も後半もコメントによって、記事の質が向上したのではないかと考えています。
また、記事の書き方という点でも双方向性である点は良かったと思います。自分の文章がきちんと科学的なものか、またはただの観察日記なのかというのもコメントにより気づく部分が多かったので、コメントをfollowしていくことが、科学的な文章を書くことにつながりました。中でも印象的なのが、2020/12/12の記事がオガタさんに酷評されたことです。ネットの情報を基に推論したことで、グレードが奈落に落ちている、というコメントをいただきました。このことから、少なくともネットの記事を引用して仮説を立てることはなくなりました。ただ、元の情報がないと大した記事も書けないこともまた事実なので、機会があったらきちんと本などで勉強して推論した記事を書きたいなと思います。

(7) 中間発表で目指した点がどれほど達成できたのか、できなかったとしたらその理由。

自分が中間発表で目指した点は次の2つです。
①数値を用いてグラフにまとめる
②後輩の参考になるような記事を書く。

①については、質はどうあれ達成出来たと思います。中間発表の後は、直近の2021/1/9の記事を除き、毎回表とグラフを掲載し、葉の生長を評価してきました。惜しむらくは、葉の生長だけでなく、気温とかも継続して記録したら別の観点からの評価もできたとかな、と思う点です。
②については、100点満点中50点くらいでしょうか。例えば、2021/1/9の凍傷について扱った記事や、2020/12/4の葉が縮む現象について扱った記事は、凍傷にならないようにこのような対策をしよう、とか葉が縮むというのは前例があるからあまり気にすることではない、など後輩が見て参考になる点もあると思います。しかし、普段のデータ計測の記事は参考になるかと言われたら、怪しいところです。普段の計測でも計測の方法などをもう少し詳しく書けば誰でも真似できるようになるのに、と反省する次第です。

また、栽培に関するテクニックのようなものも参考になるものを残せませんでした。理想的には、同期の受講生では例えば北川さんの虫についての記事のようなものは、実践的な記事を残したかったのですが、いまいち自分の鉢は何も問題が起きず、また知らぬ間に凍傷でダメージを受けていたのでタメになるテクニックは得られませんでした。加えて、それが出来なかった理由は元をたどれば時間をうまく使えていなかったからなのかなと思います。私は部活に所属していたので、課題と部活で時間が削れてしまうことが多く鉢の観察や考察にあまり時間を割けませんでした。しかし、部活に適した生活リズムを早期に掴んでいればまとまった時間をもう少し確保出来たろうと思います。これからは、自分の生活を定期的に振り返り、評価することを心がけたいです。

(8) 以上の(1)~(7)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいか。

この展開ゼミで学んだことは本当にたくさんあります。データの扱い方や、コメントを見たり、他の受講生の記事を見ることで他人の意見を取り入れることの重要性や、自分で考察する力、などパッと思いつくだけでこれだけですが非常に多くのことを学びました。それをどのように活かすか、もまた多岐にわたると思うので部分的に記していきたいと思います。まず、授業選択の面においての話です。この授業で双方向性により自分の文章力やプレ全力を挙げることが出来ると気づいたので、今後のセメスターでもゼミ型の授業を履修して、他者の意見を取り入れることが出来ればな、と思います。また、学習の面ではこのゼミで修得した継続する姿勢が役に立つと思います。このゼミで得た継続するコツは、他人の目があることと、自身のスケジュールをきちんと把握することでした。よって、学習の際には友達や、学習の団体などの他人と協力し、また学習のスケジュールを立てたいと思います。さらに、課外活動の面では他人から盗む技術が活かせる、と思います。実際私の記事も最初に2020/11/3農学部の佐々木さんの記事のレイアウトを真似してから、クオリティが上がった、と自分では感じており、真似することによって自分の技術が向上することを実感しました。ここが私の転機でした。私は運動部に所属しているので、他人のプレイを真似することを意識して練習や試合に臨みたいと思います。


また、まだ収穫していないミニハクサイに関してですが、(1)にも書いた通りすでに枯れてしまいました。
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この様子は詳しくは別途記事を作ってまとめたいと思いますが、枯れたことに対して残念だとは思いつつも、あの寒波にやられればそうなるかな、、、という変に納得した気持ちもあります。これで終わりでは悲しいのでまた植物を育てることを現在計画しています。何を育てるかはいまだ未定ですが。

これで最終報告となります。不躾な質問かもしれませんが、これで単位認定はクリアということでよろしいでしょうか。今まで、読みにくい記事、見辛い写真、お粗末な考察をたくさん投稿してきましたが毎回真摯にコメントをくださったオガタさん、またこの授業を開講してくださった渡辺先生、本当にありがとうございました。また、一緒にこのゼミを受講した皆さん、本当にありがとうございます。皆さんの記事はどれもユニークで面白かったです。私の記事も読んでくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。

全6433文字。最後の謝礼と冒頭の世間話を除けば6002文字。

コメント

工学部・木村さん

育種の渡辺です。最初の写真で展開ゼミ、お疲れ様と思ったところ、3, 4枚目を見て、・・・。今年の寒さと積雪の結果なのだろうと。これから受講する後輩の方々が参考になるようなショッキングな写真でした。一方、最終報告はしっかり自分を見て、色々なことを学んでくれているとこちらも実感しています。工学部というと、植物のような自然の変化をあまり気にしなくてもよいということかも知れないですが、今回の講義を通じて、自然の変化に対応することは、自然科学ということにおいては大事なことというのを理解してもらえればよいのですから。雪が降ったら、早めに除雪することを伝えたのが、12月初めでイメージを持つことが難しかったかも知れないですね。その時に書いたように、アブラナの仲間の起源地は中央アジアの乾燥したところです。なので、乾燥した環境はある程度、耐えることができますが、湿害にはとても弱い植物です。また、この氷点下の寒さもあわせての表現型かと。拡大して写真を見ると、中心部は大丈夫かも。水やりを控えて、寒さをできるだけ避けてみて下さい。

20210121091424-dc4962bf712f8c9bb1b49e35dab08e8fdbb5097d.JPG この講義が生活リズムを作ることに機能したのは、何よりです。よいタイミングで定期的に投稿しているのは、こちらも見ていてよくわかります。この生活リズムを継続、さらには、どこかでリズムを失っても復活できるようにして下さい。多角的に物事見る、これは植物の観察だけでなくどの様なことにも応用できることかと思います。何かうまくいかないとき、逆にうまくいきすぎているとき、ちょっと違う観点から見てみて下さい。きっと、見過ごしていたことに気がつくと思います。reader-friendlyに文章を書くこと、以外と難しいのだと思います。ある種のストーリーを持って書くという点は、まさに、最初にどんな骨格にしようかということを考えること。最初は、それをすることは大事かも知れないですね。一方で、今のレポートはパソコンを使って、Wordなどで書くことができます。つまり、書き終わったあとに、読み直して、cut and pasteして、自分で推敲するのも簡単です。骨格を作って、文章を肉付けして、文章を入れ替えるだけで、ずいぶんとイメージも変わってきますので。是非、トライして下さい。

 予測をすること、ある種の経験値が必要になってくるので、そのためにも色々なことを学び、自然の変化に気がつくようになることかと思います。今回の観察がきっかけで自然の変化に気がつくようになって下さい。それで経験値も上がりますので。経験値という点では、他の受講生の記事をたくさん見て、それを自分のものにしようとしているのは、よいことだと思います。「習うより慣れよ」という言葉もあるとおり、まず、最初はこれというものを見つけたら、それをまねてやってみることだと思います。農学部の佐々木さんのformatを参考にしてから、スムーズになったというのは、その通りかと思います。これからも同じようなことに出くわしたら、やってみて下さい。もちろん、文章を書くこともそうしたことで、上手になってきますので。他の講義で、これほど一緒の受講生がやっていることを公開しているのは少ないかと思います。困ったなと思ったとき、自分から積極的に周りにアクセスして、どんなことをしているのかなど、聞くような習慣をつけてみてはどうでしょうか。

20210121091505-1cff2bc6c234caa18deef2710eebce2f55d182a4.JPG 最後の青文字の直球の質問。webというところではじめてですね。さすがに公開されているので、コメントできませんが、改めて、シラバスの採点・評価基準を見てて下さい。今年はコロナ禍もあり、少人数で密なものを提供できたと思っています。この展開ゼミがこれからの工学部でのまなびの参考になることを期待しています。


 わたなべしるす