東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終報告~理系大学生の第一歩~(理:山田和輝)

2022年1月20日 (木)

 

こんにちは。もうこの記事を書くのも終わりになるのですね。最初は本当に続けられるのか不安でしたし、正直やりきれるとは思わなかったですが、なんとかここまでこれました。最後まで頑張り抜けたのも、他の受講生の進捗具合、記事や先生方のフィードバックがあったからこそだと思います。

本当に半年間ありがとうございました。

今回の写真は、夏に実習でいった青森県の浅虫にある研究室からとった写真です。海陸と、この一年間で理系としての基本的なことは修得できたのではないかなあと思います。


今回の最終報告は以下の通りです。

 

(1)植物の栽培の過程で想像していたより大変だったこと、意外と上手くいったこと

(2)他の講義での波及効果について

(3)毎日の観察で身についたこと、感じたこと

(4)ゼミの前後での文章の変化について

(5)自然科学的視点について

(6)コメントについて

(7)中間発表で掲げた目標の達成率について

(8)まとめ

 

(1)植物の栽培の過程で想像していたより大変だったこと、意外と上手くいったことを書いていきます。

①たいへんだったこと

意外と大変だったことは、思ったように植物が育たなかったことです。私はほとんどの記事を実験やその結果考察について書いていました。そんなときに自分の予想通りに育たないとき、どうしようか、、、と悩み大変でした。

また、栽培し始めたとき、徒長に悩まされ、その対処がかなり大変でした。栽培といったら、播種、水やり、肥料、収穫くらいしかやることがないと思っていた当時の私にとって徒長は大きな壁でした。↓

IMG_9378.jpg

もう一つ今大変なことが起こっています。それはかいわれ大根が成長しないということです。原因としては温度が低いということがあげられるのかなと思いますが、発芽し伸張するのが普通だろうと思っていたので困りました。植物にはそれぞれ適温という物があるのも大変なことの一つだと思いました。↓IMG_0248.jpg

②意外と上手くいったこと

意外と上手くいったことはハクサイの栽培です。私はダイコンとミックス、ハクサイを育てたのですが、一番力を入れて育てていたのがハクサイです。いろいろ実験をするためにも、しっかりとした個体を作らなければなりません。だから、間引きや肥料あげ、水の量など様々なことについて意識した結果、満足のいく個体が作れたように思えます。また、ダイコンについては意外と上手くいってしまいました。二つは根を見ることでしっかりと育っているのだなあということがわかります。↓IMG_0068.jpgIMG_0071 (1).jpg

 

(2)他の講義での波及効果について

実際に影響があったのは理学部生物学科の専門科目の「植物生理学」です。観察をしていく上でオーキシンなどの植物ホルモンについて調べていました。私は高校で生物を習っていなかったので、大学で初めて植物ホルモンやその働きについて学習をしました。講義では植物の様々な植物ホルモンについて話をされていてすでに知っている物が講義内で出てきてうれしかったです。特に、オーキシンによる植物が伸張する理由や光によって曲がる理由などについては自分でかなり調べていたことだったので講義中もすんなりと頭に入ってきましたし、講義がより面白く感じられたような気がします。また、知らない植物ホルモンも出てきて、「これについて実験とか出来るのかなあ」とか、「どういう野菜だとこういうのが顕著に表れるのかなあ」とかいろいろなことを考えるようになりました。これは明らかに自分が野菜の観察や実験をしていたからだと思いました。


(3)毎日の観察で身についたこと、感じたこと

毎日観察をするということで身についてことは、コツコツと続けるということです。何度も記事で書いてあると思いますが、長期間続けてやるということがとても苦手でした。実際、3クウォーターの間ですでに1週間に1度記事を上げ続けるということができませんでした。私がこの講義を取ったのもあえて自分を追い込もうと思ったからというのが理由として一つあったので4クウォーターでは特にそこを意識しました。今振り返ってみれば、その点はしっかりとできたのではないかと思います。最初はつらいなあと思っていても、意識してやることで習慣化し、忘れることなく行動できるということを齢19にして感じ、実際にできるようになりました。
二つ目は、自分が感じていること、行っていることを言語化し、伝えるということが身につきました。私はSNSでいろいろなことを発信したことがないので、自分が日々感じていることを文字にするということをあまりしたことがありませんでした。だから、最初はどんなことを、どんなふうに書いたらいいのか全然わからず、先輩の記事をあさってこんな風に書けばいいのかと勉強していました。でも、いまでは一応自力で記事を書くことができています。ブログとして良い文章なのかはわかりませんが、自分の感じていることをキチンと発信できているという面では、成長してのかなあと思います。今後も個人としてはSNSを使うつもりはありませんが、研究の発信などをする機会があると思うので、この半年で身に着けた文章を生かしていきたいなと思います。
最後に、野菜への愛着や農業への興味が湧きました。これを感じたのはある日の朝のことでした。(11月16日の記事の冒頭でも書いています。)朝水やりをしていたら、「植物はえらいなあ」などいろいろなことを考えました。毎日水やりをすることで愛着が湧いたなあと思います。次は、農業への興味ということについてです。たまに、ホームセンターに行くのですが、だいたい入り口に野菜の種子が置いてありますよね。このゼミをとってからこのコーナーをじろじろ見るようになりました。そして今度はこれを育てても良いなあとか考えるようになりました。また、祖父母の家に帰省したときは畑を観察して、いろいろな野菜について観察したり、野菜の特徴から野菜の種類を当てるというような遊び?が出来るようになりました。

 

(4)ゼミの前後での文章の変化について

この半年間を通して私が変化したことは、初めて私の記事を読む人にもわかりやすく伝えられるような文章を書くようになったということです。今まで私は、相手がわかっている前提で話を進めていました。その癖が実際に出てしまいました。私の11月24日の記事についてです。この記事では実験の結果を発表をしたのですが、どのような実験をしたのかが書かれていませんね。これはこれの一つ前の記事で実験の方法を書いているから書かなくてもいいやという無意識の癖が出た証拠です。この記事で先生にご指摘をいただき、自分がいかに読者に不親切かがわかりました。どんなものでもそうですが、その人が書いたものをすべて読む人は全員ではありません。だから、記事を見た人が、その記事一つで理解させる記事でなければ、いい記事とは言えません。そんなことを感じ、終盤ではしっかりと前置きや復習的なことをいれて記事を書くことにしました。これはこの講義の前後で大きく変わったことかなあと思います。また、少し大げさにはなりますが自分の文章を世界に発信する勇気がつくようになったなあと思います。今までは、自分が感じていることを自分の文章で伝えることに意味を感じてなく、それが少し怖いような気さえしていました。しかし、実際はそこまで怖いことではないし、意外と誰かの役に立ったりもするのかなあと思うようになりました。これからの社会でさらにSNSでの情報発信が主流になってくる中このようなメンタル的な部分も獲得できたのかなあと思います。

 


(5)自然科学的視点について

この講義を通して獲得できた点でいえばいつも当たり前だと思っていることにも疑問を持って「何でこうなっているんだろう」と思うようになったということです。最初はただ野菜が育っているのを眺めているだけでした。例えば、「成長しているなあ」としか思っていませんでした。でも、そこに疑問を持照るようになったのはいつからかはわかりませんが、今ではこのような当たり前だと思っていることをミクロな視点で観察しようと思えるようになり、様々な疑問を持てるようになりました。具体的にそのような視点で観察できたことは、葉序や光屈折、などです。これらについて疑問を持ち調べたり、実験するということは良かったのですが、まだまだ足りないなと思ったのは、それを徹底して調べたり、実験があまり上手くいかないときに自分の考えを改めて次の案を考えるということが足りないなと思いました。私はよく実験を行っていたのですが、上手くいかないことがほとんどでした。そして大体自分の考えや実験装置について徹底して考え直すということが出来ませんでした。その点で見れば、小島さんの記事や疑問では細部までこだわって調べられていました。例えば、肥料の記事とかはとてもわかりやすく、疑問に対しほぼ完璧な形で答えられています。この記事の意義として自分が成長するというのもありますが、来年以降の後輩たちがわかりやすく、そして参考に出来るような記事をかく、というのもあると思います。そうなったとき、OOについて詳しく書くというというところは、私が見習わなければならない点だと思いました。


(6)コメントについて

毎回の記事にたいしてフィードバックをいただけるということはpositiveな面ももち、negativeな面も持っているのではないかと考えます。まずはpositiveな面から話します。最初の頃は特に、自分のやっていることに不安があったので、こうした方がいいというアドバイスやこれは良いというのをいただけると観察がとてもやり易かったなと思いました。特に、実験をしているときなどは調べても自分では見つけられなかった点について詳しく教えてくださったので実験の質や考察の質が上がったと思います。次にnegativeな面についてです。お互いがコメントをするということから、記事を投稿してからコメントまでに時間差があるということです。しかし、このnegativeな面もメールによって対応できているような気がしました。急を要するようなことを、コメントで待つしかない状況では少し困りますがそういうときはメールで相談することですぐに回答をいただけます。実際に私も何度か先生にメールで相談したことがあります。もし困ったことなどがあれば、記事に書くことも必要ですが、メールで聞く方が良いのかなあと思いました。

 

(7)中間発表で掲げた目標の達成率について

私は中間目標でread-friendlyな文章を書くこと、そして期限通りに記事をアップロードするということを掲げました。
まず、期限通りに記事をアップロードするということに関してですが、これは達成できたと思います。私は中間目標で期限を勘違いしていて遅れて提出してしまいました。他のゼミ生がしっかりと期限を守れているのに対し、私だけ期限切れというのはやばい!と焦りや情けなさを感じ、後半戦は期限はしっかりと守ろうと思いました。そして、毎週意識した結果、きちんと守ることが出来ました。これは1月3日の記事にも書きましたが、良い「慣れ」だと思いました。二つ目のread-friendlyな記事についてですが、これについてはあまり達成できなかったなあと思います。ある程度は意識をし、文字の大きさを変えたり、色を変えたりして見やすくしたのですが、他のゼミ生と比べるとまだまだだなあと思っています。特に、小島さんの記事佐藤さんの記事は見出しだけでなく、本文中の大事なことや伝えたいことまで色をつけて記事を書いていました。私も何度かそれを見習って記事を書いていたのですが、「どこが最も伝えたいことなのか」の取捨選択がなかなか難しく、この半年間では身につけることが出来ませんでした。


(8)まとめ

最後に、このゼミを通して学んだことを今後の生活に生かすことは出来ないかどうかについてです。私がこの講義を通して学んだことは、小さなことや当たり前のこともいろいろな角度から物事を捉えると世界が広がるということです。これは今後の学部での研究にいかせると思います。また、研究を自分の言葉でわかりやすく説明するという能力も少しはついたと思うのでその点についてもいかしていきたいと思います。

次に今育てている野菜の管理についてです。現在はかいわれ大根を育てていて実験を行っていたのですが、秋に育てていたようにかいわれ大根が育たなかったため、実験はやめてすこし伸びたら収穫して食べようと思います。

最後に今後育てていきたい物について話して最終報告とさせていただきたいと思います。まずはこの写真を見てください。↓

IMG_0156.jpg

これは祖父母の家で育てていた椎茸です。

椎茸はだしをとるのによい食材だから単純に育てた食べたいというのもありますが、キノコ類を育てるというのは全くしたことがないし、キノコが生えて成長するという機構についても全くわかりません。こういった観点から椎茸に挑戦してみたいなあと思いました。祖父母に聞いたところ涼しい所で日陰で育てると良いということを聞いたので仙台の気候にあっているなあと思いました。

最後になりますが、半年間ありがとうございました。

以上で最終報告を終わります。(5458文字)

コメント

理学部・山田さん

「徒長」するというのは基本、幼植物時に弱光で水のやり過ぎなどで起きやすいですね。理屈の部分は植物生理学が基本でしょうから。また、ダイコンそのものが胚軸が伸びやすいと言うこともあるので。そんな「理論」の部分と実際の「植物」で起きていることを連動できるようになるとよいのだと思います。実際、他の講義と連動していたことは最終報告にも書かれているとおりで大事なことであり、その大事さに気がついているので、是非、他の場面でも継続してほしい点です。

毎日続けるということ、慣れるまで大変だと思います。特に、観察するということ、維持・管理するということ、できそうでできないことです。つらいときでも意識してできるようになったことはこれからの学部での講義、実験でも活かされるのだと思います。何より身の回りの自然を見て、不思議に思うという所に、毎日観察を続けた成果があるように思います。また、野菜を栽培することで実際の「農業」への興味というのも大事なことです。野菜はスーパーで手に入りますが、どのように栽培されているのか、何を工夫するとよい野菜ができるかなど、色々なところに興味がでてくると思います。ホームセンターの植物のコーナーを見るようになったもの、興味を多角化していることの表れだと思います。是非、興味を深めつつ、広げてみて下さい。

観察結果を見える化するのが、文章表現です。書かれているようにどのような文章にするとreader-friendlyになるのかということを理解できたのはniceです。是非、その感覚をさらに研ぎ澄ませて、よい文章を書くようにして下さい。その文章を読む相手をより意識することで表現力もつくようになると思いますので。文章を書くときにどんな順番でということを考えるのと同じように、自然科学の実験をするときにも細部まで何をどの様にするのかを理解して、計画を立てるというのはスタート地点です。それがきちんとできていれば、あとは結果をどのようにfollowするかになってくると思います。そのためにも講義で基礎的なことを理解して、学部での基礎的な実験を行うとき、十分に条件が足りているのかなど、改めて考えるようにしてみて下さい。講義と展開ゼミを連動できているので、できると思いますので。

最後のシイタケの写真、よい感じですね。渡辺は田舎で育ったので、こうした原木での栽培をしている人が周りにいました。最近では菌を植えた原木を道の駅などで売っているのを見たことがあります。新しい事へのチャレンジというのは、展開ゼミのさらなる発展ということで、おもしろいと思います。是非、やってみて下さい。この講義で学んだことが何らかの形でこれからの生活、学習などに活かされることを期待しつつ。


わたなべしるす