東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

セミの声・その種類・環境と。。。

2009年8月16日 (日)

 四国・九州という西日本での出前講義に出かけると、仙台とは大きな違いを感じる。当たり前であるが、気温差は大きすぎる。昼間の気温差もそうかもしれないが、夜間の高温には、ずいぶん悩まされた。夜温が低いと、お米の食味がよいというの、作物の講義で聴いたことがあるが、確かに、東北地方のコメの方がおいしい。

 東北にいると、セミが鳴き始めても、いきなり、ヒグラシとツクツクボウシで、四国に育った小生からすると、夏休みの終わりを感じる。しかしながら、西日本では、昼間に、アブラゼミ、クマゼミの合唱である。それも見えるところにいる。容易に捕まえることもできる。ヒグラシ、ツクツクボウシとなると、そうは簡単にはいかない。なにゆえ、アブラゼミ、クマゼミは比較的低い木にもとまるのか。ヒグラシ、ツクツクボウシはそうでないのか。すみわけをしているのか、とまる木の種類が違うから、このようになるのか、それらを制御している遺伝子は何なのか。など、子供のころには、気がつかないようなことに気がつかされる。もしかしたら、すでに誰かが、調べて、わかっているのかもしれないが。。

 そういえば、地球温暖化で、「クマゼミ」の生息域が北上しているらしい。毎日の身の回りの観察で、わずかな環境の変化もわかるようになるのかもしれない。こうしたわずかな変化に気がつくことが、サイエンスをする上で重要であり、新しい発見をすることにつながるのであろう。あるいは、江戸時代に松尾芭蕉が詠んだ、「静けさや、岩にしみいる、蝉の声」の「セミ」は山形県・立石寺が背景と考えれば、ヒグラシ、ツクツクボウシなのかもしれない。「セミ」1つをとっても、過去のこと、現在のこと、将来のことを考える、ヒントなのかもしれない。

わたなべしるす

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