東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2009年10月の記事です。

今治市立美須賀小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(10/6)

2009年10月 7日 (水)

 今治市内の小学校での「出前講義」に新しい小学校、美須賀小学校が加わり、初めての講義でした。5-6年生をあわせて、40名弱という小さな小学校です。渡辺が子供の頃には、町中の小学校ですが、もっと多くの児童がいたのではと思いつつ、。藤堂髙虎が築城したといわれる「今治城」に近く、また、今治港にも近い小学校でした。

 理科室での講義でしたが、児童の皆さんに加えて、保護者、ご近所の方も参加頂き、地域で児童さんたちを支えていこうという学校の試みに感動しました。初めての講義だったためか、児童の皆さんも最初は硬い表情も、講義が進むにつれて、手を挙げて応えてくれる生徒さんたちも増えたのは、なによりでした。

美須賀小学校での出前講義も、「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」ということで、リンゴをモデルとして、花が咲き、受粉、受精して、リンゴができる。その過程には、花粉管が伸びる、自家不和合性という、花粉の自他識別があるという、植物のダイナミクスを、話しました。花粉管が伸びたり、自家不和合性反応が、柱頭の表面で起きると、「へーーー!」という歓声がおきました。最初の花とリンゴの対応関係を考えてもらって、花が咲いている状態とリンゴが逆さまになっているのを気がついてもらえたのは、身の回りの不思議の大切さを感じてもらえたのではと思います。講義のあとには、はじめ、なかなか質問が出なかったですが、保護者の方が質問の口火を切っていただき、終了まで10名近い児童さんから、とても純粋な発想の質問をたくさんもらいました。感想文が届くのが楽しみです。

 講義を用意頂いた先生方には、最後になりますが、感謝したいと思います。また、ぜひ、来年も講義ができればと思いますので。


わたなべしるす

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今治市立今治小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(10/6)

2009年10月 7日 (水)

 10/6の午後には、今治小学校・理科室で、45名の児童と先生方、保護者・近所の方々もお見えになり、講義でした。今治小学校は、昨年の「キャベツとブロッコリー」の講義、春先のアブラナ交配実験に続いての3回目です。春先の交配では、実験を行ったとき、ハクサイ、カブの仲間であるBrassica campestrisしか、開花していなかったのですが、その後、岡田先生、渡邊先生の指導の下、キャベツとブロッコリーの雑種種子を得ることに成功しており、岡田先生、渡邊先生の高い指導力と、難しい実験にもかかわらず、一生懸命実験をした児童の皆さんに感心しました。この秋には、ぜひ、両親とこの雑種を植えて、どんな新しい植物ができたのか、報告が楽しみになりました。

 さて、講義の方は「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」ということで、リンゴをモデルとして、花が咲き、受粉、受精して、リンゴができる。その過程には、花粉管が伸びる、自家不和合性という、花粉の自他識別があるという、植物のダイナミクスを、話しました。花粉管が伸びたり、自家不和合性反応が、柱頭の表面で起きると、「へーーー!」という歓声がおきました。最初の花とリンゴの対応関係を考えてもらって、花が咲いている状態とリンゴが逆さまになっているのを気がついてもらえたのは、身の回りの不思議の大切さを感じてもらえたのではと思います。

 講義での質問にもたくさん答えてくれました。とてもたくさんの皆さんが手を挙げて応えようとしていたのは、とてもすごいと感心しました。講義の最後に、ことわざのようなものとして「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのを話したところ、1人の男の子が手を挙げて、このことわざの意味するところを、正確に答えてくれました。これが、最初の感動でした。小学生がこのことわざの意味を知っていたのは、初めての経験でした。この言葉の意味を、大切にして、これからも学習してください。

 講義のあとには、10min近く質問の時間があったのですが、ここで驚くべきことを質問する生徒さんと出会ったのは、衝撃でした。「自家不和合性」の講義をしたときに、めしべの上で、自己と非自己の花粉が識別され、自己花粉だけが発芽、花粉管侵入するところを見せました。そうしたら、「1つの乳頭細胞の上に、自己と非自己の花粉を乗せたら、どうなるのでしょうか????」。われわれも、この実験をしたいと常々思っているわけで、実際には、乳頭細胞上の局所的な認識反応と思っているのと、今までの論文から考えると、自己花粉は侵入できず、非自己は侵入できます。と答えました。そうしたら、もっとたくさんの花粉、自己ではなく、非自己の花粉をたくさん乗せるとどうなるのかと。もちろん、入るわけですが、90minの講義で、どのような発送をして、こんな自家不和合性の先端的な問題に気がついたのか。おどろきでした。

 質問は、一度ここで終わったのですが、校長先生、岡田先生と校長室でお話をしていたら、その生徒さんが訪ねてきて、多くの質問をくれたのですが、その中に、「めしべの上には、例えば、リンゴの花粉だけでなくて、その頃に咲いている他の種の花粉も着くだろう。それは、非自己なのか???」。これこそ、特定領域研究「植物ゲノム障壁」で研究している、「種の障壁」とはなにか。ということを的確に着いてきた質問でした。このことに、回答したあと、ぜひ、一緒に研究をしましょう。大学で待っていますと。それ以上のことを言えないくらいの感動でした。

 自然のあふれる「今治市」。その自然の不思議をたくさん観察して、成長したみんなにまた会えるのが、楽しみになってきました。 講義を用意頂いた先生方には、最後になりますが、感謝したいと思います。また、ぜひ、来年も講義ができればと思いますので。


わたなべしるす

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今治市立日吉小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(10/5)

2009年10月 6日 (火)

 一昨年から始めた、今治市内の小学校での「出前講義」も今年で3年目。日吉小学校では、春に「アブラナの交配」を指導し、校庭には、キャベツを始め、多くのアブラナ科植物が栽培されていました。キャベツとブロッコリーの雑種ができるのも、近いのではと感じました。

 5, 6年生、51名に、校長、教頭先生を始め、6名の先生方も参加頂き、体育館で講義を行いました。四国という温暖な地であることもあり、「リンゴの花」を知っている生徒さんは少なく、でも、「ミカンの花」は見たことがある生徒さんが多かったのは、さすがと思いました。しかしながら、普通の花は色が違うだけで、「バラの花」もわからなかったのは、少々残念でした。

 今回の出前講義は、「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」ということで、リンゴをモデルとして、花が咲き、受粉、受精して、リンゴができる。その過程には、花粉管が伸びる、自家不和合性という、花粉の自他識別があるという、植物のダイナミクスを、話しました。花粉管が伸びたり、自家不和合性反応が、柱頭の表面で起きると、「へーーー!」という歓声がおきました。最初の花とリンゴの対応関係を考えてもらって、花が咲いている状態とリンゴが逆さまになっているのを気がついてもらえたのは、身の回りの不思議の大切さを感じてもらえたのではと思います。講義のあとには、10名を超える生徒さんから、とても純粋な発想の質問をたくさんもらいました。感想文が届くのが楽しみです。

 入り口の案内板、講義の垂れ幕、看板を作って頂いた先生方には、最後になりますが、感謝したいと思います。また、ぜひ、来年も講義ができればと思いますので。

 キャベツとブロッコリーの雑種を作ること、ぜひ、がんばってください。


わたなべしるす

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地球温暖化、異分野交流。。。。

2009年10月 5日 (月)

129 東北の仙台、先々週の札幌も、ずいぶんと秋の様子でした。ところが、鹿児島、愛媛はまだ、夏の終わりとも言えるような暑さです。日本が南北に長いことを実感すると共に、地球温暖化の影響なのではと思う次第です。

様々な共同研究を行い、異分野交流を行ってきました。県の農業試験場とは、宮城県に続き、鹿児島県。現場を学ぶのには、とてもよいところだと実感しています。それとは別に、JST・「未来の科学者養成講座」プロジェクトに今年度から採択された関係で、運営委員を担当しています。このプロジェクトも北は北海道から、南は九州まで幅広く展開されています。このプロジェクトでも、よりよい交流ができれば、プロジェクトの発展も大きくなるのではないかと思っていたら、愛媛大学のプロジェクトと交流ができました。さすが愛媛大学という取り組みのポイントなどを、異分野交流を通して、吸収できたことが、何よりでした。


この異分野交流で次世代を育成し、「地球温暖化」という複雑な問題を解決できる人材育成ができればと思った今日この頃でした。


わたなべしるす


PS. 関連記事が科学者の卵のHPにあります。あわせてご覧ください。
http://www.ige.tohoku.ac.jp/mirai/activity/2009/10/07112103.php

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愛媛県立松山南高校でのSSH特別実験「ダイコンの栽培と遺伝的多様性」(10/2)

2009年10月 4日 (日)

 SSH九州地区発信の「ダイコン多様性プロジェクト」が採択され、その指導委員を務めることから、第1回目の特別実験を、松山南高校で行いました。夏に錦江湾高校が主催して、講義、実験を行いましたが、それがどこまで浸透しているのか、また、どの程度実験が進んでいるかを、視察し、指導するということでした。

 松山南高校では、すでにアブラナ科植物のBrassica oleraceaを材料として、キャベツとブロッコリー、ケールなどで雑種をこの春に作製しており、秋には両親とF1雑種を栽培する計画をし、着々と準備をしていたのは、田中先生の指導、生徒さんたちの努力のたまものと思いました。さらに、今後の両親とF1について、どのような形態観察をすることが、鍵となるかを議論できたのは、とても有効でした。

 一方、ダイコンについては、発芽させて間もない、種子を冷蔵庫で低温処理し、春化処理を行っていました。多少、徒長気味の発芽種子をうまくポットに植えるのか、また、そのあとの栽培をどうするのか、等を指導しました。10種類を超える品種を処理し、これから1ヶ月栽培することで、開花することが期待され、この冬が来る前にF1種子がとれることが期待されました。このあたりは、他の高校よりも1年早く、交配実験をやっていたことが、大きく力になったのではないでしょうか。ぜひ、この促成栽培を生かして、来春には、F1個体の開花をさせてもらいたいと思いました。

 1, 2年生が協力して、研究を発展させている感じがとてもすばらしいことだと感じさせられた1日でした。12月のコンソーシアムでの発表が楽しみです。


わたなべしるす

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