東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2009年11月の記事です。

宮城県立宮城第一高校・SPP特別講義「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性、博士になるとは?研究者とは?」 (11/17)---追伸(11/25)

2009年11月20日 (金)

JSTがサポートしているプログラムとしては、SSH, 科学者の卵養成講座の実施、運営、サポートなどを行っていますが、3つ目として、SPPというプログラムのお手伝いをしました。宮城県立第一高校で、以前までは、宮城県立宮城第一女子高校と呼ばれ、SSHを実施していた時期もあったそうです。理数科があり、その理数科の1年生の生徒たち、80名に11/17の午後を使って、「自家不和合性」というサイエンスの先端を講義するとともに、「キャリア教育」も行いました。東北大学に近いこともあり、学内の多くの理系の学部に講演依頼、研究室訪問をしているようです。「キャリア教育」は、科学者の卵で行って以来、すでに、5回目となります。来月にも2回予定しており、こうした教育の重要性を感じて、いただいていると言うことではないかと思っております。

http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/31134236.php

http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/29134359.php

http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/27151345.php

http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/17152413.php

 受講した生徒さんの中には、科学者の卵の受講生もおり、プログラムが広がりを見せていることを実感するとともに、その受講生さんたちが、クラブ活動として、実験をしている内容についての発表も拝見しました。花粉の発芽実験に、塩(NaCl)と糖(ブドウ糖、ショ糖など。)がどのように影響するかというものでした。1年生でしたが、いろいろと考えて、きちんとプレゼンをしていたのには感心しました。花粉の発芽培地には、ホウ素(B)を入れるのが、必須のようでしたのでそうしたコメントをしておきました。次回の発表での発展が楽しみです。

 11/21には、10名近い生徒さんと担当の小松原先生で、研究室見学といくつかの実験でいらっしゃいます。そのときに、実験の相談など、また、議論できることを楽しみにしております。


わたなべしるす

PS. 本日、受講された生徒さんのコメントをまとめたfileを担当の小松原先生から頂きました。80名近い生徒さんですので、感じ方も様々だったようですが、サイエンスの講義を楽しんだという生徒さん、キャリア教育が自分の進路を決める上で役に立ったという方、研究者になりたい、遺伝学を学習したい、自家不和合性に興味を持った、農学部・植物・食の大切さを理解したなど、多様なコメントと頂きました。

講義をしたことが、様々な形で刺激になったことを確認でき、渡辺としても幸いでした。とても良い1日でした。コメントをくれた生徒の皆さん、ありがとうございました。また、どこかでお会いしましょう。(11/25)

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キャベツ・多様性・人のつながり。。。。

2009年11月18日 (水)

143仙台も随分と寒くなり、あっという間に、11月も半分以上終わったことに気がつき、今年書き残した論文をなんとか今年中にと思って、日々、こうしたことに追われています。「もったいない」というのは、国際語のようで、ご飯粒を残すのは、作ってくれた農家の人に申し訳ないと教えられました。というわけではないですが、やはり、実験をしてくれた人、協力してくれた人に、感謝する意味でも、積み残しをしないで、たくさんの論文を書きたいと思うのでした。

 

今年もずいぶんたくさんの出前講義などに出かけました。また、日本各地で、アブラナの多様性、ダイコンの多様性の研究のお手伝いもしております。そんな折、そんな出前講義を大きく発展させるきっかけを頂いたJSTのとある方から、とても興味深いHPのURLを教えていただきました。

http://sciencewindow.jp/

なんと、そこには、研究材料である、Brassica oleraceaというラテン語名のいわゆる「ハボタン(花キャベツともいうそうです)」が大きく写っており、また、その脇に、ちゃんと、その花が添えてあり、とても感動しました。この種には、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、コールラビー等、多様性に富んでいますし、食卓でも見かける身近な野菜です。

 

そんな野菜も、ちょうどこの時期、お正月前には、ハボタンの生け花をしたり、マツなどと一緒にはち植えにして、お正月らしさを出すのに使われるものです。種をまいてすぐは、キャベツと変わりませんが、大きくなるにつれて、葉っぱがまかないで、ただただ広がり、中心部が白くなったり、赤くなったり。たぶん、アントシアニン系の色素が欠落した変異体、あるいは、その色素ができる変異体なのだろうと、町中で見つけると、うれしくなるものでした。

 

それがなんと、JSTから出ている「科学するこころを開く Science Window」の表紙を飾るとは。。。早速、A4に印刷して、そのきれいさに感動するとともに、自分が実験に使っている材料をこの様に取り上げてくれるところがあったこと、それが、サイエンスつながりで、高校生のSSHであったり、大学の未来の科学者養成のサポートをしているJSTであったことに、人のつながりは、なんと不思議なことなのかと。

 

誰かの言葉だと思いますが、「集団は多様だから、進化する」というようなニュアンスの言葉があったような気がします。キャベツがもっている自家不和合性も、多様性を獲得する重要な形質であり、それの分子機構を解明しようとしているわけです。研究室だけに限らず、できるだけ外の様々な方と接して、また、共同研究を行ってきたことが、大きな広がりになったのだと思っています。これも人のつながり、そして、新たな多様性を生むことになるのだろうと。

 http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/concept.html

そんなことを思ったとき、出前講義で多様性の講義を始めるきっかけを頂いたJSTの方に感謝の心でいっぱいになった次第で、とりとめのない文章を書いたのでした。さらに人がつながり、研究をする楽しさを伝え、それがまたどこかでつながれば、良いと思っています。ありがとうございました。

 

わたなべしるす

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静電気除去と冬じたく

2009年11月16日 (月)

142.gif冬の便利グッズシリーズ。

今回は冬の風物詩"バチッ!"からあなたを守る!静電気除去グッズをご紹介します。

 部屋が乾燥してくると、突然 "バチッ!" とくる静電気。気になりますよね。

ただ痛いだけではなく、静電気によって大事な精密機器に被害が及ぶ可能性も。。。

そんなときにお使い頂きたいのが、ぺんてるの静電気除去キーホルダー"ビー・スルーニー"です。

根本の金属部分を持って帯電ゴムで金属部分にタッチすれば、体に帯電した静電気を除去する優れもの。

シースルーの液晶画面から静電気除去の確認が出来、満足感もバッチリです。

車のドアや、金属ノブを触る前にお使い頂ければ、あなたを"バチッ"から守ります!

お求めは文具店、バラエティショップ、大学生協片平店にて(定価682円)。

そんなこんなで(どんなだ)渡辺グループ全体でも冬じたくが始まっています。

温室では秋のアブラナシーズンも終盤を迎え、先日収穫したイネの種整理も進み、居室や実験室にも暖房が入り。。。冬がはじまるよ、といったところ。

大掃除の準備もそろそろ。

忘年会の計画も着々進行中のようです(がんばれおだ幹事長!)。

個人的には新型インフルエンザにかからないように過ごしたいです。

 

ますこ

 

ついしん:

写真2枚目は、静電気除去シートです。

導電樹脂の働きで体に溜まった電気を逃がす。。。エレベータ前で良く見るアレです。

現在、ラボの入り口とアラビ部屋の入り口にて試験運用中ですが。。。

最近あんまパチっていわなくなったような気が。

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宇都宮大・農学部・c-Bio招待セミナー「アブラナ科植物の自家不和合性--花粉と雌ずいにおける自他識別分子機構--」(11/12)

2009年11月15日 (日)

宇都宮女子校でのSSH研究指導の翌日に、宇都宮大・農学部の高橋先生にc-Bioセミナーにご招待いただきました。高橋先生は、数年前に東大の西澤先生のところから、異動され、新たに、植物栄養を考える上で欠かせない、重金属と生殖過程との関係を新たなテーマとして研究を進めていると言うことで、研究面で意見交換ができると言うことで、そちらも楽しみで伺いました。

 セミナーでは、花としての一般的なことから始まり、自家不和合性の分子機構までお話ししました。発表が終わったあとには、たくさんの質問をいただき、また、こちらがこれから考えなくてはいけないような質問も飛び出し、こちらとしては、良い刺激を受けました。ありがとうございました。

 次回は、ぜひ、高橋先生をお招きして、生殖過程における重金属の話をお願いできればと思います。重金属である微量元素の重要性は、学部生の時に植物栄養学で学んだのが、最後のような気がしますので。ぜひ、よろしくお願いします。


わたなべしるす

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栃木県立宇都宮女子高校でのSSH特別実験講座「身近な花をじっくり観察してみよう!!」(11/11)

2009年11月13日 (金)

先月、SSH実施高校である、宇都宮女子高等学校1年生全体への特別講義、「植物科学研究における最近のトピックス--自他識別が起きる自家不和合性とは。。。--」を行いました。そのうちの生徒さんが、宇都宮大などでの実習と平行して、渡辺をはじめとする3名の大学の教員が高校を訪問して、出前実験を行いました。渡辺は、生物を担当し、「身近な花をじっくり観察してみよう!!」と言う題目で実験を行いました。新型インフルエンザの猛威で、本来なら20名近い生徒さんとの実験でしたが、7クラス中、5クラスが、学級閉鎖と言うことで、先生方を含めて、8名での実験となりました。

 まず、キクの花をピンセット、カミソリなどで分解してもらい、実体顕微鏡で観察し、形態的特徴をつかんでもらいました。花粉に着目する生徒さんもいれば、維管束に興味がある生徒さんも。それぞれが、それぞれの興味で観察、記録をとってもらいました。渡辺も形態観察は苦手で、特に絵を描くのは、へたでした。その当たりも生徒さんでばらつきがあるのは、今も変わらないのだと、実感しました。その後は、各自で準備した花を観察したり、シクラメンの花粉発芽を寒天培地の上でトライしてもらったり。宇都宮と言えば、餃子。その餃子に欠かせない「ニラ」の花を観察したり。あっという間に実験が終了しました。もう少し実験を続けたいという生徒さんも多く、終わったあとも、熱心にやっていた姿は、とてもうれしかったです。ぜひ、このスタンスを続けてください。

 来年は、ぜひ、より多くの方に、「観察することの大切さ」、「何を観察するのか、何に着目するのか、と言うことの難しさ」、「記録をとること、書くときに特徴をどう記すのかと言うことのたいへんさ」も学習してほしいと思います。観察は生物学の基本ですから。

 なお、キクの花、シクラメンの花などを供給していただいた栃木農試の天谷室長には、この場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。


 わたなべしるす

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