東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

局所から大局へ、新しい発想を求めて、時代の先を読んで・・・(1/6)

2011年1月 6日 (木)

 新年早々ということなのか、いろいろなことで「企画もの」が多い。そんな中でおもしろいことを見つけた。何でもそうなのかもしれないが、最初はやっているそのポイント、やっていることしか見えない。いわゆる局所的にものを見ている。それがだんだん全体のバランスを見て、どうするべきなのかを判断できるようになる。つまり、大局観が出てくるということなのであろう。将棋のプロ棋士のコメントであった。なるほど、当たり前なのかもしれない。また、その中におもしろいコメントがあった。強くなるほど、考えない。つまり、このことはあり得ないという手を除いて考える。つまり、「経験と勘」でこれが最善というの導くのだろう。この「経験と勘」、育種・品種改良でもよく使う言葉である。これを選べば、よい品種になるというのが、10年も経験したら、わかってくる、という話を現場のひとから聞いたことがある。つまり、余計なものを排除して、これがよいと最善のものを選べるということなのかもしれない、どんなことでも、同じようなものなのかもしれない。

DSCN5294.JPG 「経験と勘」が重要であるという一方で、今までの常法に従って、何かを行えば、ありきたりのdataしか出ないという反面もある。では、全くあり得ない考え方、チャレンジングなこと、ということを考えることも大切であろう。いろいろな情報がなければ、あるいは、深く考えなければ、あり得ないことをやるのもできるかもしれない。しかし、そんなときに、逆に、「経験と勘」が邪魔して、そんなことをしてもしょうがないということが頭をよぎる。この相反することを、頭でどう整理して、葛藤に勝てないと、新しい発想は生まれないだろうし、ひとよりも先を見据えることは、難しいのだろう。

 新しい発想というのは、時代の先を読むということでもある。ただ、歴史でもそうであるが、あまりに時代の先を行きすぎると、それが受け入れられるまでに後の世までかかるということも有名であろう。遺伝学でいえば、メンデルの法則はそれに当たるのかもしれない。メンデルの法則ほど、大げさではないが、先日のとある会議で、新しい「食糧・農業・農村基本計画」についての話があり、平成32年、つまり、10年先には、食糧自給率を50%にする、つまり、今より、10%あげるということであろう。現在の世界状況を考えると、こうしたことの重要性は十分に理解できるが、現状のままではかなり難しい。そこで考えられているのが、「戦略作物」作付けの拡大ということである。ここでは、「戦略作物」として、飼料用米、コムギ、ダイズ等をあげているが、現状の作付けが少ないものをいっているのだろう。このterm、「戦略作物」を5年ほど前に、とある会議で使ったが、その言葉の意味、重要性が理解されなかったが、時代が変わったのだろう。このtermがもっと広く使ってみたくなったというか、使うことにしよう。

DSCN4160.JPG では、今年の研究室での活動において、こうしたことを頭に入れてトライすれば、今までにはなかった、新しいこと、10年先に芽が出ることの基盤がしっかりできるのであろうということを気がつかされたテレビであり、会議であった。


 わたなべしるす

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