東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2013年2月の記事です。

【出前講義】岩手県立盛岡第三高等学校・SSH発表会・SSH運営指導委員会(2/20)

2013年2月20日 (水)

 昨日は仙台三。それなりに寒いと思っていましたが、盛岡の今朝の最低気温は、-8.9oCとか。。。8年ほど前まで、盛岡にいたのが影響したのか、思ったほどではなく、空気が痛いというイメージはなくてほっとでした。

 盛岡三のSSH発表会は、今年度拝見した、鹿児島・錦江湾高校石川・小松高校香川・観音寺一と異なり、ディベートの全校大会があり、その決勝が当日の午前のmain event。論題は「日本国は理系教育を拡大すべきである。是か否か。」開始前半は、エネルギー問題についての1年生の発表を見ていて、最初から見ることができませんでしたが、「倫理面」、「新エネルギー」、「自然破壊」などをkey wordにして、論を戦わせていました。高校生なのでということはあるかもしれないですが、ディベートの先進国というか、欧米であれば、相手のミスを徹底的に突いて、勝ちを導くと言うことだと思うのですが、そこまで、徹底していなかったのは、少し残念でした。また、高校生らしいと言うのは、最初に、「お願いします。」から始まっているのは、ちょうど、高校野球の最初の挨拶。確かに、教育的にはそうかもしれないですが、これから、雌雄を決するという場面であれば、そうした配慮もなしで、相手を論破する論理力の要請があってもよかったのではと思いました。

DSCN5613.JPG 課題研究の発表では、日本語、英語でのプレゼンがあり、多様性もあり、興味深いものでした。津波で生じた沿岸部の松から「松根油」の実験というのは、時代を反映しているのだなと。課題研究の発表の途中で、「エコノミー症候群」防止のために、ストレッチということで、野球部が乱入。ストレッチを指揮したというのは、これまでの発表会で初めてのことで、おもしろい試みでした。昼食時には、関係の先生方と、今後のことと言うことで、「論理性」、「思考力」、「疑問に思うこと」、「国際性」について、今後の発展を含めて議論できたことは、何よりでした。発表会の講評では、「考える力」、「責任」、「質問力」等の重要性についても。

 運営指導委員会では、7クラスで5クラスが理系志望とか。また、生物・化学志望より、物理・化学志望が増えているとか。自分が高校の時には、生物を履修したら、行くところが限定されるので、物理志望がほとんどだったのが、いつの間にか、生物志望も多くなって、また、時代が戻っているのかなと。論理的に考えるという「物理」が見直されたというか、そのようになりつつあるのは、よいことなのでは。生物・植物・遺伝学を研究していても、物理的基礎があることは、発展性を考えた時、大事だと思いますので。今後の発展のために、「文章力」、「構成力」、「国際性」、「空間把握能力」、「想像力」、「生活力」ということがkey wordsとして。。次年度が中間年。さらなる発展を祈念しております。もちろん、次年度も、運営指導委員は、承りますので。

 最後になりましたが、校長先生をはじめとする関係の先生方、岩手県教育委員会の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。

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 わたなべしるす

 PS. 発表会には、他の高校の先生方もいらしていましたが、先週の観音寺一の時に、浦和一女の伊藤先生とお会いしました。今回は、浦和に伺ったときにお世話になっている生物の菅野先生でした。SSHの取組でも珍しい「ディベート」への着目だったそうです。なるほどと。。次年度は、浦和一女に講義に伺えればと思いました。


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【出前講義】宮城県仙台第三高等学校・SSH運営指導委員会(2/19)

2013年2月19日 (火)

 今年はずいぶん寒くて、雪も多いです。四国関西出張の時の土曜日には、真冬日で、雪も相まって、道路が昼から凍結していたとか。。。仙台では結構珍しいです。生命科学研究科という大学院だけのunitなので、卒論発表会などがなく、年度末まで、大学としての大きな仕事は、。。。研究と教育というか。。。年度末のばたばたというか。。。今年度に積み残しをしないように、目の前にあるやるべきことを、可能な限り片付けているというのが、実情かも知れません。。。

 SSHの運営指導委員をいくつもお引き受けしていることもあり、年末から、年度末にかけては、運営指導委員会が多数あります。年末には、コアSSHで鹿児島へ。先週は、通常枠ので、観音寺一。今週は、今日から、仙台三、盛岡三、福島。コアSSHの発表会が土曜日に水沢。となります。ぎゅっと詰まった、今週になりそうです。

DSCN5612.JPG 今年度は中間年。11月には、コアSSHの取組である「第1回みやぎサイエンスフェスタ」を開催し、先日も、北海道・東北地区のSSHの合同会議をorganizeされ、中間評価も「おおむね達成」。よい方向に進んでいるのではと。もちろん、いくつかの指摘もあり、「国際性」、「学会などでの発表」、「高大接続」を残り2年で改善というのは、大事なのだと。できるだけ、こちらもサポートしたいと思いますので。運営上の問題点として、通常枠とコアの予算分離。どこまでがどちらの予算なのかというのは、実際に運営される他SSH校でも、大変なのではないでしょうかということを、仙台三でも。。この前の観音寺一でのSSHの運営指導委員会でも、このことについてコメントがあり、一体運営が可能になることを聞きましたので、次年度は、よりよい方向に進むのでは。。。大学との連携をどれだけ上手にやれるかが、「学都仙台」を活かすことになるのだとというコメントもあり、なるほどと。。。また、将来を見据えた「キャリア教育」。高校では、大学で何をやりたいのか、さらにその先の職業観をどのようにサポートするか、高校だけでなく、大学、大学院でも同じことを十分、考えないといけないのだと。。。最終的には、どのように子供たちの「質の保証」というのをどうやって行うか、。。教育としての大きな問題のような気がしました。

 最後になりましたが、校長先生、教頭先生、粕谷先生をはじめとする関係の先生方、宮城県教育委員会の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。

 わたなべしるす

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起源、進化、選抜 (2/18)

2013年2月18日 (月)

 野生の植物がヒトによって栽培化され、どの様な過程を経て、今の作物になったのか。いわゆる、今の作物の起源は何かというようなことである。最近のゲノム研究から、容易にゲノムの比較ができるようになったが、実際の過程をタイムマシーンに乗って、見ると言うことができないので、本当にそうなのかと言うことは、どこまで行っても本当なのだろうかと思う。大学時代の講義でも、この作物の起源地はここというようなことを植物育種学の時間に習ったような気がする。そのときは、なるほどと思って聞いていたが、今となって、研究をしようと思うと、そんなに簡単な話ではないような。。とはいえ、そうしたことにもチャレンジしたいが、。。。15日に、ロシアに落下した隕石はどこが起源で、どの様な経路を経て、地球に来たのか。。。広い宇宙から、針の穴を通すより遙かに狭いとところを通って、ヒトが観測できるところに落ちる。確率からしたら、どれくらいになるのか。。。先日の星の話しではないが、どうも、見ていてすごいとは思うが、宇宙の大きさが、想像を邪魔しているのだろうか。。。

 栽培化というのは、進化と言うことももちろんできる。農学系のヒトがどちらかと言えば、栽培化というのを好み、理学・生物系のヒトが、進化という言葉を好むような。。。もちろん、感覚だけであるが。。。進化と言えば先日の新聞に「新幹線の進化」というのが。大学で仙台にきてから、いろいろなことで、新幹線にはお世話になる。昔は単に乗るのがうれしかったが、いまは、乗る時に、仕事ができるように電源の有無を考える。ノートパソコンの電池の機能がよくなったとはいえ、電気があるところでは、ある程度のレベルにしておく方が、何が起こるかわからないので、安心できる。こうした進化だけでなく、これからの新幹線は、センサーを埋め込んで、自分で考えて走るとか。。。何とも不思議な気分である。2013年度末には、営業運転が、320km/hrになるとか。。。最初に受験に来た時に、大宮・仙台間を乗った時の速度がいくらだったか覚えてないが、搖れがなかったのだけは覚えているが、200km/hr台の前半だったのだろう。そう考えると、早さは、時間短縮でもあり、仕事で乗ることを考えると、ありがたい話しである。

DSCN5136.JPG パソコンもずいぶん進化している。というか、学生の時初めて買ったコンピューター。ポケットコンピューター、いわゆる、ポケコン。液晶画面が1列だけあって、ブラインドタッチするには、キーの間隔が狭すぎ。。。もちろん、その当時は、そんな芸当もできず、。。文字を見ながら。。。平均、分散を計算するくらいのプログラムを書いて。。。レポートを作成したのを覚えている。その当時のパソコンの値段が、40万くらいだったろうか。とても買えなかった。。。最初は中古のデスクトップ。そのあとは、20万くらいのノートパソコン。。。あれからずいぶん時代も変わり、OSも、MS-DOSから、Windows。そのversionもずいぶんとupして、タッチパネルになっていたり。。。まだ、タッチパネルを使ったことはないのだが、ブラインドタッチするには、キーボードの上の決まった位置に指を置いて考えないといけないので、それには不向きなのかなと思ったりする。もちろん、使う前から、何とかというのはよくないが。。。学生の時の指導教員の日向先生は、新しいパソコンになり、早くなると喜ばれていたのを思い出す。もちろん、1 weekから1 monthでなれてしまう訳であるが。。。MS以外のOSという点では、Appleを一時期、実験の関係でお世話になった。キーボードの細かな配置が違ったりで、どうもなれないまま、終わった。今でも苦手である。こちらがそのOSを選抜したのか、OS側にこちらが選抜されたのか。。。よくわからないが、自分もOSも残っていると言うことは、その選抜圧に耐えたのであろう。たぶん。。。こうした進化に適応して、取り残されないようにしないといけないと思った新聞記事であった。


 わたなべしるす

  PS. そういえば、先週は、バレンタインデー。いろいろなところから、いろいろなものを。。。ありがとうございました。どこというのは、最近の個人情報になることもあって。。。お許し下さい。何より、お礼をと思いまして。。。。ありがとう!!!!!!!!!!!

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【出前講義】大谷高等学校・EDUワークショップ・グループ学習「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性」(2/16)

2013年2月16日 (土)

 一昨日は、香川県観音寺市。1日おいてですが、京都府内での出前講義は今回が初めて。以前、京都大学のアウトリーチ活動をされている方々とお話ししたことがあり、そうしたことが今回の出前講義につながったのかもしれません。世の中、狭くできています。当日、その先生とお目にかかれたのも何かのご縁でしょうか。今回の取組は、グループ学習に重きを置いてやると言うこと。また、本来なら、前学習の時間にも訪問して、講義と言うことでしたが、地理的に遠いこともあり、mailでお願いをして、生物担当の先生、植物の花を解剖、観察したり。質問をしたのですが、いずれの生徒さんも久し振りのことのようだったのは、どこの高校でも同じことなのかもしれません。文系・理系の様々な分野の先生が講義を行い、total 14の講義枠の1つを担当ということでした。秋に同様の企画を大谷高校の田村先生からお願いされたのですが、すでに出前講義が入っており、伺えず、今回の講義となりました。

DSCN5604.JPG 講義には、30名ほどの生徒さんが参加。いつものように花の名前とその作物の関係。これを個人でなくて、グループで考えてもらいました。今までにこうしたことはしたことがありませんでしたが、以外と知らないことも多いことを考えると、次回以降の講義のやり方のヒントになったような気がします。同じように、ヒマワリとハチの写真も。自家不和合性等、いくつかの動画を見てもらいましたが、何れもこうしたのは初めてのようで、感動していたのも、どこでも同じ。1つの感動を味わってもらえたのは、よかったのでは。また、グループというもので、1つの問題を考えることも、生徒さん相互によい刺激となったような気がしました。最初の頃は、しゃべることに少し抵抗があった生徒さんたちも、最後の方では、ずいぶんと積極的に。最後のリンゴの不思議、受精の不思議のところもこれまでにないことを考えるきっかけになったのではと思いました。最後は、いつものように世界に向けて、集合写真。

DSCN5610.JPG 最後になりましたが、三觜先生、進路指導部長・田村先生、校長先生をはじめとする関係の先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。次年度、また講義にうかがえるのを楽しみにしております。


 わたなべしるす

 PS. 講師の中に、Jリーグガンバ大阪ユーストレーナーという方も。トレーニングを科学すると言うことでしょうか。実際の実習もあったのかと思うと、こちらが講義をしていないで、その講義枠に参加したいと思った次第でした。。。。

 PS.のPS. 講義のあとで、系列の大学の先生とお会いして、昨今の出前講義のあり方などを議論できたのは、これからのアウトリーチ活動を考える上でのよいヒントになりました。ありがとうございました。様々な刺激を頂いた1日でした。

 PS.のPS.のPS. 学校までの途中に小さな春というか、バラ科のふくらみかけた蕾を見つけました。春は少しずつこちらに来ているのだな。。。そんな感じを受けた京都でした。

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星、妥協点、繰り返し(2/14)

2013年2月14日 (木)

 小学校、それより前からであろうか、自然は好きであったというか、自宅は自然の中にあった。田舎である。有線放送というのがあり、朝は桜井地区で何かがある、例えば、どこかで家の新築のイベントでもちまきがあるとか。それを聞いて、自転車をこいで、ずいぶん遠くの餅まきというか、餅拾いにも行った。そうした自然というか、理科の中で、どうしてもというか、今もかもしれないが、fitしないのが、星の動きというか、星座板。春の星とか、何時頃の星とか。子供時代を過ごしたのは、1960-70年という高度経済成長期というか、「公害」というのが騒がれたり、怪獣映画に公害のキャラがいたり。。。そんな時代であったが、田舎では空気も澄んでいて、多くの星が見えた。光る程度も違うというのもよくわかった。ところが、星座板とつきあわせると、どうもうまく見えない。。。そんなこともあり、「星」、「星座」、「天体望遠鏡」に対する興味はあまりないままに過ごしてきた。友達のところで天体望遠鏡に、「月のクレーター」、「土星の輪」が写っていても、そうなのくらいだった。その代わりというのは変かもしれないが、「星」というと、テレビアニメの「○人の星」。プロ野球チームで、子供の頃に好きだったのが、川崎球場を本拠地にしていた「△洋ホエールズ」で、その野球帽をかぶっていたこともあって、。。あの当時は、へたでも草野球をしていた時代だったので、まねをしてというわけではないが、軟式テニスボールを使って、稲刈りの終わった田んぼで野球をしていた。「○人の星」も見たが、それ以外の野球アニメも見た。そうした中で、今でも有名なのは、「ちゃぶ台返し」。子供頃は、丸いちゃぶ台ではなかったが、正座して、食事をしていたので、あのシーンはよく覚えている。実際にひっくり返すのは、そうは簡単ではないような気がする。結構重たかったし、何より、後片付けが大変だと思う。元に戻すのかもしれないが、全く同じに戻すことは不可能なので、結局やり直しというか。。。子供の頃には、あのシーンを見て、こんなことを考えなかったが、実際にはどうなっていたのか、今頃になって気になる。

DSCN5088.JPG 先日のテレビでとあるプロ野球チームの監督が「君たちの妥協点は低すぎる。。。」と。確かに、何年だろう、連続で最下位になれば、という気がする。これが、昔自分が野球帽をかぶっていた「△洋ホエールズ」が、名前を変えて「□浜ベイスターズ」となったとなると。。スター、つまり、星はついているが、目標が高くないと言いたかったのだろう。確かに、最下位に甘んじると、そうなるのかもしれない。というか、プロ、つまり、職業であれば、なおさらであろう。ただ、プロという職業でなくても、この言葉は重要な気がする。常に高い目標、優勝という星をgetするというか。。。もちろん、こうした目標達成のための体調管理、基礎体力などということは、サイエンスに限らず、どんな職でも大事なポイントであろう。ただ、妥協点と言うことを考えた時、単に上へ、上へと言うのではなく、今の自分の環境、コストということをあわせて考えることも大事であろう。費用対効果という言葉は、あまり好きではないが、様々な場面で言われるようになった。費用をどこまで考えるかによるが、時間というのはあまり費用に数えないのかもしれないが、時間は買うことができない。そう考えたとき、時間を考えた時、どこで妥協して、その後、どう展開するのかというも大事になってくるのではないだろうか。

 田舎では有線放送があると書いた。そこでは、地域の情報に加えて、農業に関する情報が毎日のように流れていた。今の時期なら、イネの管理はこうとか、こんな野菜の播種時期であるとか、病害虫が出るので、こうした農薬で駆除するとか、こうした肥料を田んぼ一反あたり、これくらいやるとか。。そうした中に、もちろん、商品名であるが、殺菌剤、殺虫剤の「キタジンP乳剤」、「マラソン乳剤」というのを覚えている。小学生だった自分に乳剤の意味もわからなければ、名前の意味もわからない。ただ、毎年、同じ頃になると、同じように繰り返して、ラジオ放送される。これなら、覚えることができた。というか、知らないうちに、頭に入った。「マラソン」には、なんで、田んぼで走るのか。。。そんなことももちろん、想像した。ただ、農学部に入り、農薬学というのを学んだとき、この2つの農薬の作用機作、つまり、どのような物質で、どのように機能することで、植物を病害虫から守るのかと言うことを、容易にイメージできたのは、この子供時代の繰り返しのおかげなのかもしれない。繰り返していれば、何でもよくなるかというと、繰り返しているのに、一定のところで同じような失敗をするということも経験する。一定のところまでうまくいくので、それで満足するのか、。。。。そんなとき、「歴史は繰り返す」というのを思い出す。同じようなことが起きるので、それを覚えておくこと。3.11の震災も、これまでの長い歴史の中で大きな地震があったことを、ふと忘れていたのかもしれない。ただ、それとは逆に、うまくいったので、それがかえってあだになるという意味で、「歴史は繰り返す」ということにも使うのだそうな。四国の冬空の「星」を見ていて、そんなことを思ったりした。。。「星」だけでなく、四国という風土がこうした一連のことをイメージさせてくれたのかもしれない。。。

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 わたなべしるす


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