東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ゲノム研究の広がり

2013年3月27日 (水)

この時期は例年学会ラッシュのため,色々な学会の定例大会が開催されています.
私も先週22日(金)に小集会のみですが,古巣の園芸学会に参加してきました.
場所は新宿からJRでおよそ30分,ほどよく都会から離れた東京農工大小金井キャンパス
でした.

そしてニュースでも報道されているように,東京は桜がちょうど満開でした! 
気温も暖かく,絶好のお花見日和だったと思います.
大学構内の桜も満開.沈丁花もちょうど咲いていて,よい香りに癒されました.

IMG_2535.JPG

さて,参加した小集会は「次世代の園芸研究を見据えた先端ゲノム研究」と題され,
異なる専門分野の方々がそれぞれの視点でゲノム研究を語る会でした.
第一回でしたが参加者は50人以上いたんじゃないかと思います.

園芸学は言葉通り,園芸作物全般(野菜,果樹,花卉)を対象にした研究分野です.
私も学生時代からユリを対象に遺伝学,生理学,生態学などの面から研究を行っていました.
ただ,園芸作物は種類そのものが多いため,どうしても密度濃く研究を進めることが難しく,
他分野とは違って個々の研究スピードは必ずしも速いとはいえません.
また,基礎研究よりも農業への実用化を念頭に置いた研究を行う傾向が強い分野です.
そのためなのか,ゲノム研究もようやく始まりつつある,というのが現状です.

今回の話題もどちらかというと,ゲノム研究に関する最先端情報を駆使するというより,
基本的な部分を応用して農業に役立てるための手法に関する内容が主でした.
今のところ園芸分野で最もゲノム情報が活用しやすいのは,客観的評価のしやすい病理関係
であり,品質や外観に対しては,ゲノム情報を活用するよりも自分の目で見て選抜育種する
ほうが効率的でかつ優れている場合が多いそうです.
花色に関する育種などは育種家個人のセンスも問われますからね.
園芸業界においてはまだまだ人間による評価は欠かせないようです.

ゲノム研究で得られた知見をどう生かすかは,今後の課題であると思います.
同じ知見であっても見方によってその活用法は大きく変わります.私もなるべく広く
多面的な視点を持ち続けたいと思います.

さか

≪ Prev  | diary Top | Next ≫

ARCHIVE