東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

イノベーション、使い倒す、次世代(7/2)

2014年7月 2日 (水)

 遺伝学を使って、植物の遺伝子機能を決めるということを初めて、25年くらいだったと思う。時代の流れに乗って、その時代に使えるものを使って、アブラナ科植物の自家不和合性のことをできるだけ解明してきたと思う。たぶん。その点では、それなりのことができたのかもしれないが、渡辺の研究が何かのイノベーションに貢献したか。。。これは結構難しい。技術開発をしているわけでなくて、その恩恵を受けている方が大きいからであろう。DNAの塩基配列を決めるにしても、最初は、32Pでラベルした核酸を使っていた。その後、蛍光標識されたもの、細いキャピラリーを使うもの。このあたりまでは実験機器として使ってきたが、いまや、次世代シークエンサーといわれ、ゲノム全体を読むことができる。もちろん、値段も下がってきた。そうなってくると、大事なのは、何を遺伝学の世界でやるか。それがイノベーションなのかもしれない。使いたい作物を使って研究をして、苦労もしてきたが、ようやくもっと自由度が出てくるような気がする。そんなイノベーション100というのが新聞にあった。その時代でこれはすごいというもの。新幹線、ウォークマンずいぶん、お世話になった。その中に、マンガ・アニメというのがあった。アニメを見て、博士、教授、科学力というのをすごいと思った。それが科学をやろうと思ったきっかけのような気がする。イノベーションは心の友というか、心のきっかけを作ってくれたものでもある。

DSCN2638.JPG 新しい機器は、その時代時代に使えるものは、可能な限り使ってきた。師匠の日向先生が新しい物好きだったのも影響されたような気がする。パソコンの最速機は常に教授室のであった。ブラインドタッチで、300タッチ/分で打っていた。速かった。勝てなかった。。。という思い出がある。単なるソフトを動かすだけでなくて、計算機として、シミュレーションをされていたこともあった。そんなのを見て、教授室から格下げになって、学生の部屋に来たパソコンはよく使いこなされたものが来ていたような。。。一方、共同研究をするとある先生がよく使われる言葉。「ぜひ、使い倒して下さい」と。共同研究をするために、自分たちので切るだけのものを提供しますので、ということだと思う。パソコンのソフトでもそうであるが、新しい機能が追加されても、相変わらず、昔ながらの機能だけを使っている。新しい機能を使えば。。。それは植物、作物でも、新しく加わった機能を持つようになったのは、どの遺伝子がちがう機能をするようになったからかを明らかにすればよいのでは。というのは簡単であるが。。。そんなことをしっかりと考えないといけない。

 先に書いたとおり、遺伝学というより、ゲノム全体を読んで何とかする、ゲノミクスという単語もある。そのために、次世代シークエンサーをどの様に活用して、何を求めるのか。そこにideaとしての工夫があると思う。そんな機械の次世代だけでなく、人材も次世代育成はずっといわれてきた。アウトリーチ活動もそんなことの一端をになっているのかもしれない。出前講義をすると、児童生徒さんから手紙、レポートをもらう。質問などたくさん書いてある。それを見ると、励まされ、こちらもがんばらないとと思う。そんな中に、渡辺が卒業した小学校6年生からの手紙を読んでいて。品種改良に興味があると。それくらいは、小学生の手紙にはあること。すごかったのはその先、ウマとロバからラバができるとか。日本のイネ育種のルーツとして、「亀の尾」のことがかかれ、単なる知識だけでなく、カイコのように飛べなくするまで育種をする必要があるのかと。。。それをどう思いますかと。。。あまりの鋭さに、。。。こうした次世代をきちんと次の世代を背負って立つ人材にするのも大学の大事な仕事。というのを改めて認識させられた先日の出前講義の手紙でした。ありがとうございました。というか、我が後輩がさらなる進歩というか、進化を遂げることを期待して。。。。

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 わたなべしるす


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