東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2014年8月の記事です。

技、記号、改良(8/3)

2014年8月 3日 (日)

 四国、九州は台風の影響で、とんでもない雨になっている。仙台でも先週雨降りがあったが、そんなレベルではない。実験ではないが、日本全体に平均的に降ってくれれば、。。偏りがあるというのは、何にしてもよくない。そんな風に雨を平均化するような技はない。というか、開発されると、よいのか、悪いのか、わからないが、いずれかより過ぎている。実験をするには、基本的な技というか、技術をまずは習得して、それを組みあわせて、何をすると、おもしろいのか。ということになる。もちろん、何をするかということを考えること、それが実験では大事である。ただ、技が評価されるとも聞いたことがある。どこかへの海外出張の時に、とある研究所を見学したとき、テクニシャンに対する評価というのが、。。。というのを聞いたことがあった。確かに、電子顕微鏡など、これという技がある。そういえば、ずいぶん前の新聞になるが、「左官」への体験入学というのがあった。簡単そうに見えるかもしれないが、簡単ではない。土壁の建物は減ったが、コンクリートの床をまっすぐにするのは、こうした技術なのだろう。何とか、この技術を継承したいものである。というか、われわれは、1990年代からの分子生物学の基礎実験の技術をこの夏休みに少しでも継承できれば。。。そのためにも、この夏休みは少し実験室をあるいてみよう。

DSCN5174.JPG 研究室からの帰り道に東北本線の高架の下を通る。時間帯がよければ、寝台特急らしいものの通過に出会う。普通の電車であれば、窓の大きさが均一というか、。。こんなことがわかるから、電車なんとかと言われるのであろう。こんなことを覚えたのも、仙台に来たから。夏休みなどに愛媛に帰るときにも、寝台列車を使っていた。始発から乗りたくて、博多まで行って、ということもあった。今や、東海道方面は、サンライズ瀬戸くらいしか残っていない。。。4月に時間的に間に合わないことがあり、久し振りに使った。列車の中、外に「ナハネフ」等の記号が書いてある。最初はわからず、高校時代の友人に教えてもらった。「ネ」が寝台列車だったような。それ以外に、列車の番号がある。普通の電車でもそうしたものがある。豊岡高校への出前講義の時にもそんな記号をふと見つけてとったのを覚えている。今週は横浜出張。そんなことにも注意して見てみることにしたい。写真を撮れればよいのだが。。。

 昔は電車、列車の写真をたくさんとることはあまりなかった。というのも昔は、フィルムであって、現像しないといけないこともあった。今は、現像する必要がない。なので、使えれば、それを使うが、だめなら、デジタルデータを消せばよい。HDのサイズも大きいので、そのままでもまあ、さほど問題でない。というか、その程度のfile sizeで保存すればよい。こうした技術も日々改良されているが、もちろん、野菜の品種改良もすごいものがある。先日食べた直径20cmくらいのスイカ。ほぼ、全体を食べることができる。つまり、外の皮とその内側の白い部分がほとんどない。なんと、品種改良の進んだことかと思った。トマトの大きさ、色も多様性が高くなった。もちろん、味も。そんなことを改良できる高くて繊細な技術。なにより、そのたねが持つ能力を最大限に発揮できる栽培技術があるからであろう。どんなことでもその道を極めるというのが大事なのだろう。この夏休み、何を極めるのか、技術、技もそうであろうが、世の中の流れを読んで、これがよいと言うことを見極める力をつけるのが良さそうだ。そのためにも、久し振りに時間を見つけて、これという本でも探してみよう。。。

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 わたなべしるす

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アツモリ計画

2014年8月 1日 (金)

 こんにちは。農学部二年植物系の木幡です。この研究室で学生バイトとしてお世話になって10ヶ月目となりますが、今回、去年より計画していた個人的な実験をさせていただきました。その実験とは「アツモリソウの無菌播種」です。アツモリソウとはどのような植物なのでしょうか。

 アツモリソウはラン科アツモリソウ属に分類される植物で、日本ではいくつかの亜種に分けられますが、ほとんどの種類が冷涼湿潤な気候を好み、低地での栽培は一般的には困難とされています。また、ラン科に共通の性質ですが、種子が発芽する段階に特定の共生菌への寄生が必須で、自生地においてもその発芽率は極めて低く、無菌的に炭水化物を含む培地に播種する以外に一般的な栽培下で実生することはほぼ不可能とされています。このように、もともと繁殖力や環境適応力が強くないうえに、園芸業者による盗掘が相次ぎ、自生地の開発・荒廃も相まって、自生数が極端に減少した結果、ついに日本において特定国内希少動植物種に指定され、販売・譲渡が制限されるに至りました。しかし、このような植物であるからこそ、保護を目的とした培養研究がさかんになされ、今回私が用いた無菌播種・培養のメソッドのようなものが次々と生まれてきました。

macranthum.jpg            アツモリソウ(Cypripedium macranthum var. speciosum)

hotei.jpgホテイアツモリソウ(C. macranthos var. hotei-atsumorianum Sadovsky)。花の形状や草丈が異なるため両者は区別されているが、交配は可能である。

 私がこの植物を知ったのは中学生時代で、もともとラン科の植物に興味があった私にとっては垂涎の品でしたが、許可を得て正規のルートで販売されているものは高価であるためなかなか手を出せずにいました。しかし、高校生になりついにこれら二種を入手することができました。以降、酷暑の埼玉という環境において困難はありましたが、何とか維持してきました。そして、大学生になり基礎ゼミからの縁で、幸運にも生命科学系の研究室という至高の環境を利用させていただけることになり、実生に挑戦してみようと考えた次第であります。

capsule.jpg                  蒴果をメスで切開する様子。

 今回私が用いた方法はアツモリソウ用に確立された方法ではありましたが、対象は生物であるため失敗する可能性も高く、今後どうなるかは現時点では想定できません。これら手探りで植物の栽培法を見出そうとする過程は、私にとっては昨年の基礎ゼミを彷彿としました。失敗か成功か、何を以て成功とするか、現時点では判断できませんが、今後も去年の基礎ゼミからの続きのような感覚で経過観察を続けていきたいと思います。

 最後に、今回私のわがままに付き合ってくださった研究室の皆さんに感謝申し上げます。今後もよろしくお願いいたします。

finish.jpg                  無菌播種を終えた培養瓶
 

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