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B植物における老化の分子基盤の解明




植物の老化は遺伝的にプログラムされた過程である事が知られている。この過程を分子レベルで明らかにするために、葉や花の老化時に誘導される遺伝子群の解析を行っている。これまでに、トウモロコシ葉の老化に伴い活性化されるMAPキナーゼを同定してきた(Berberich et al. 1999)。またタバコの老化葉で発現が誘導される遺伝子Ntdinがモリブデン補酵素の合成に関与している事を明らかにした(Yang et al. 2003)。その細胞内局在に関しては,Ntdin-GFP融合タンパク質を用いた解析から葉緑体局在であることが示された(タバコ,シロイヌナズナ,ツユクサで同じ結果を得ている)(Yang et al. 2003)。
 前述のlip19サブファミリー遺伝子群の少なくとも一部は、低温ストレスばかりでなく生育にともなう発現調節を受けていることも明らかとなりつつある。タバコ由来のtbz17およびtbzF遺伝子は、老化葉の孔辺細胞にmRNAの蓄積が観察された(Yang et al. 2001; Yang et al. 2002)。mlip15(トウモロコシ)遺伝子も老化葉で発現が誘導される。こうした結果は,TBZ17, TBZFおよびmLIP15が老化過程で誘導される転写因子であることを示しており、今後これら因子の老化過程での役割を明らかにしたいと考えている。