東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

科学者の卵養成講座

東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

令和3年度 まちかどサイエンス

科学者の卵たちが見つけたちょこっとサイエンスをご紹介します。

2021.07.16十和田市

青森県立三本木高等学校

根岸絢太郎

こんにちは 青森県立三本木高等学校の根岸絢太郎です。
 梅仕事の季節になりました。うちでは毎年はちみつで梅シロップを漬けますが、写真は祖母が漬けた梅酒です。
 梅酒を漬けるときは梅とホワイトリカーと氷砂糖をびんに入れます。「なぜ普通の砂糖ではなく、あえて溶けにくい氷砂糖を使うと思う?」と母に聞かれて調べてみました。
 すると氷砂糖でなくてはならない科学的な理由がわかりました。
梅酒の瓶の中では、浸透圧の働きで2回の「移動」が起きていたのです。
まず、漬けたばかりのころは漬けた液体より梅本体の糖度が高いため、浸透圧の働きで水分やアルコール分が梅の実の方に入り込みます(見た目も梅が少し膨らむ)。しばらくすると氷砂糖が液体にゆっくり溶け始め、梅の実よりも液体の糖度の方が高くなります。すると今度は逆に梅の実から梅エキスや香りと結びついたアルコール分や水分がゆっくりと液体に放出されます。
こうした2段階の浸透圧の働きで、おいしい梅酒が出来上がるのだそうです。(飲んだことはありませんが。)
 溶けやすいグラニュー糖などを使ってしまうと、この第一段階の「漬けた液体が梅の実に入る」働きを飛ばしていきなり第二段階の浸透圧の働きが優先されて、アルコール分と仲がいい芳香成分などが充分に引き出されない梅酒になってしまうのだそうです。
「おばあちゃんの知恵」にこんな科学的な裏付けが…と納得がいきましたました。