東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

1. キャベツ・黒キャベツ栽培開始!(農:粥川颯人)

2019年10月 6日 (日)

どうも、皆さんこんにちは。農学部一年の粥川と申します。ひょんなことから友人に誘われ、このゼミを受講しました。もともと植物や研究が好きだったので今回の機会はまさに、天職ならぬ天ゼミかなとも思っております。(今後どうなるかはわかりませんが)
ちなみにいかに植物好きかは僕の部屋を見ればわかります。至る所にサボテンが置いてあるし、自分で発芽させたアボカドも置いてます。なぜ植物なんかが好きなのかといいますと、成長していくのがワクワクするからです。成長を楽しむという点では自分の筋肉を愛でる筋トレとも似ています。
植物ボーイ・粥川ということで名前だけでも覚えていただければ幸いです。

目次
〇予習
〇キャベツ・黒キャベツ播種

〇予習
今回、僕がメインで育てていくのはキャベツ(ボールキャベツ)と黒キャベツです。

*黒キャベツについて
皆さん、聞いたことありますか?黒キャベツ。別名はカーボロネロ(cavolo nero)です。僕は名前も聞くのも初めてだったんですけれども、イタリア原産のキャベツのようです。
特徴としては
・通常のキャベツのように結球しない
・葉の表面はしわしわで、ほうれん草のような形
外見は全くキャベツではないです。
調べてみると、キャベツの原種のヤセイカンランという植物が地中海~イギリスに自生しており、結球しないという特徴を持っています。つまり、黒キャベツはキャベツの原種に近い形をした種ということですね。

*キャベツの結球の仕組み
キャベツの形って不思議ですよね。葉っぱが何枚も重なって球形になっているあの形です。自然界にはあまりいなさそうなあの形です。
先述の通り、原種のヤセイカンランを品種改良した結果あの形ができたようです。ちなみに、すでに何回か結球という言葉が出てきていますが、キャベツが球形に丸まることを結球と言います。説明するタイミングを逃してしまいました。
球形になるメカニズムとしては、葉の裏側にオーキシンが偏在することで表側よりも裏側が成長して葉が湾曲するそうです。
オーキシンは植物ホルモンの一つで成長を促進します。高校生物でさんざんやったのを思い出します。。。

*キャベツの相互作用
ネットで「キャベツ 栽培」で調べてみると面白い記事を見つけました。
どうやら、キャベツは個体間で助け合いをしているらしいのです。つまり、鉢に一株で植わっているよりも複数株が一緒に植わっているほうがよく生育するということです。
こういったお話、面白いですよね。菌根菌などが関係しているのでしょうか?自分が将来研究したい分野に近いので一人でワクワクしております。
屋内で育てた場合は屋外よりも土の中の微生物が少ないと思うので、屋内の株と屋外の株でうまくいくのはどちらかというテーマで進めるのはアリかなと思います。(完全な対照実験にはなりませんが)
鉢の大きさの都合上、複数株植えられるかわからないですが、やれるだけのことはやってみようと思います。

〇キャベツ・黒キャベツ播種
さて、10/3の深夜にボールキャベツと黒キャベツの播種を行いました。
うろ覚えの知識で、「ものによっては低温処理をしないと発芽しない植物もあったはず。」と思っていたのですが、先輩方の記録を見てみると常温でしっかり発芽していました。低温処理した種子としていない種子で比較するのも面白いかなと思い、一応冷蔵庫の中の気温を測るために温度計を冷蔵庫に入れたのですが、すっかり忘れて寝てしまいました。翌朝、ご飯を食べていると何やらガラスの割れる音が。。。母が冷蔵庫を開けた瞬間に温度計が落ちてしまったようです。。。ごめんなさい、お母さん。
IMG_E0549.JPG
種子を観察してみるとボールキャベツのほうが黒キャベツよりも一回りほど大きいです。
大きさは、ボールキャベツの種子が2.5mm程度、黒キャベツの種子が1~2mm程度といったところでしょうか。思っていた以上に小さかったです。
播種の様子ですが、シャーレにろ紙を敷いて種子をまき、ろ紙を水で湿らせます。シャーレもろ紙も渡辺先生からいただいたものです。ありがとうございます。
IMG_0546.JPGIMG_0547.JPG
一枚目がボールキャベツ、二枚目が黒キャベツの種子の写真です。いずれも10粒ずつ播きました。
霧吹きで三回シュッシュしたのですが、湿らせ加減が分からないので不安です。一応シャーレに蓋はしたので蒸発して水分が持っていかれるということはなさそうですが、足りなそうならもう少しシュッシュしたいと思います。


発芽、そして発芽から成長していくのが楽しみです。

今回の目標としては、1.なるべく徒長させないこと 2.キャベツを結球させること 3.おいしいロールキャベツを作ること を目指していきたいと思います。ただし、聞いたお話によるとキャベツの結球は難しいのだとか。。。
発芽したらまた記事を更新したいと思います。ご精読ありがとうございました。

コメント

粥川さんこんにちは

 最初の絵は、自作でしょうか。何とも味のあるものだと思いました。

 そして植物栽培にけっこうなじみがあるようで、期待が持てます! サボテンとアボガドには共通性がなさそうですから植物全般が好きだということでしょうか。

 今はそういう子供も減ったのかもしれませんが、植物好きというのも一定います。私などはあまり動物は好きな方ではなく、植物ばかりを好んでいました。幼稚園児の頃から野菜や花を栽培し、小学三年生の頃には肥料のNPKを計算して施肥をしていたような気がします。

 ヲタというのはどうして好きなのか説明できないことが多いですね。私も農学部なら園芸と最初から決めてかかっていました。今の東北大農学部は入学後にコースを選択するようで、みんなが自分の好きなコースに行けるよう願うばかりです。

 そういえば同じ園芸植物でも、各人好みが違うものです。話は変わりますが日本各地に「愛好会」というのが存在し、朝顔だったりサクラソウだったりカトレアだったりそれぞれ趣味が違うのも面白いですね。

 さて話がズレましたが、本題に入ります。

 栽培植物は、二種ともキャベツですか。これはなかなか面白い選択をしたと思います。それぞれについて予習をしているのもポイント高いです。黒キャベツはなるほど非結球のようです。

 結球の説明もその通りですね。オーキシンの局在により成長が曲がる方向に変えられます。そのメカニズムはともかく、キャベツの生存戦略的にはどうでしょうか。全くそういう性格が最初からなければ、育種で新たに性質を加えるのは難しいでしょう。キャベツにはわずかにそういう性格があったのでしょうね。意味合いとしては植物にとって重要な生長点を保護するということでしょうか。虫や動物の食害、あるいは病害、もしくは寒さの凍害から保護するには物理的に巻いてしまうのも一法なのでしょう。

 人間にとって結球は、葉が柔らかくクセがなく、旨味もある(ハクサイなどは中心部に植物性旨味のグルタミン酸を持つ)、つまり有用な性質なので選抜・育種したと思われます。

 さて、今回の記事で一番驚いたのは「キャベツは助け合いをする」というところです。これは園芸家や篤農家と言われる人たちが経験的に知っていることで、未だメカニズムを解き明かした人はいません。言われる通り菌根菌のせいかもしれませんね。面白いところを見たものです。

 播種の様子を知って、なるほど最初の絵の意味が分かりました。温度計......

 低温処理で発芽促進、あるいは揃いをよくするというのもテクニックの一つです。この場合は、最初から常温で問題ありません。植物の種子によってはドングリなどは非常にきつい低温要求をしますが、お渡しした種子はそんなことはなく、加えていうと一代交配種は遺伝的内容が揃っているので発芽時期も揃うでしょう(逆に言えばパクチーなどの一代交配種でないものなら不揃いかもしれなかったですが)。

 ろ紙の湿り具合が分からないのですが、水没することのないように、乾かないようにしてください。そして根が数mm出たら、鉢に植え替えて下さい。例年遅すぎてろ紙に根毛が張り付いてしまう人が出てきます。

 次記事お待ちしています。鉢の用意(土の量、鉢受けなど他記事を参考に)は大丈夫でしょうか。スプラウトは室内なので少し遅れてもいいですので、今は鉢に力を注いで下さい。

 関係ないですがロールキャベツは仙台ではしょうゆ味が多いですね。一般的にはコンソメ味が普通のようです。

ではまた

ラボスタッフ・オガタ