東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【5+α】実験内容の決定(工:金井凌雅)

2019年12月 9日 (月)

1.はじめに

皆さんこんにちは、バタバタして投稿が滞っていましたが、再開していきたいと思います。

今回、サムネイル画像を建築シリーズから変えてみました。12/7・12/8で参加してきたアルティメットの大会の写真です。

茨城での大会だったのですが、大会当日1日目は気温が低くさらに雨という最悪のコンディションでした。。。3試合あったのですが、1試合目終わったころには、残りの2試合を放棄して、みんなで宿にチェックインしようという案が出るほど。

それでも結局、3試合を戦い抜き、一日目を終えました。事件があったのは、その翌朝のこと、、、。

朝起きてみると、布団の中に知らない人がいたんです、、、。前夜にお酒を飲んで大騒ぎしていたチームもあったので、そこのチームの人だと思いますが。

お酒には気を付けようと本気で思った瞬間でした。

さてさて、たわいのない近況報告でしたが、今回の投稿は、実験の内容とその開始の報告です。

今週中に白菜の方もアップしていきますので、そちらの方もご覧くださいませ。

2.今回の投稿

1.はじめに

2.今回の投稿(いまここ)

3.実験の目的

4.実験方法

5.まとめ

3.実験の目的

まず、実験を通して何が知りたいのか、なぜそれを知りたくなったのかをサラッと書いていこうと思います。

"植物の発芽に影響を与える要因"について。(第三回記事段落4)

最初のガイダンスで、栽培を進めるにあたり、いくつかの注意点を教えていただきましたが、その中で、"発芽するまで遮光しておくこと"というのをカイワレ大根について言われたのをずっと疑問に思っていました。

なぜ遮光する必要があるのか。遮光しないと何が良くないのかなどなど。

加えて、第三回記事で挙げた疑問点もあり、とりあえず文献で調べてみるかと。調べてみると、主に4つの原因、光、水、温度、酸素濃度がるとわかり、実際に自分で確かめてみたいと思いました。

しかし、自分の家での実験には制約があるのであまり細かくはできないと思います(特に酸素濃度)。ですので、今回は光、水、温度から発芽までのスピード、発芽確率 を見ていきたいと思います。

4.実験方法

【準備】1.白菜の種子 2.プラスチック製カップ 3.照明 4.ティッシュペーパー

 実験1.水が発芽に与える影響

 次のように場合分けして考える。

 ① 種子に触れる程度の水量  ② 種子の半分が浸かる程度の水量  ③種子が完全に浸かる程度の水量

20191210112755-fa6ad2d9cfa474a5c2365d650104fda3330d3470.JPG 光、温度による影響が出ないように、照明下、室内での実験を行う。

 実験2.光が発芽に与える影響

 以下の二つの場合に分ける。

 ① 全く光が当たらない  ② 光が常に当たる

20191210113304-fcc87996590f1f66c886e73e032ffcd1fe03e0d9.JPG 光以外の条件としては、種子の半分が浸かる程度の水量、室温(10~15度)

 実験3.温度が発芽に与える影響

 次のように場合分けをする

 ① 室温1(約20度) ② 室温2(約2~6度) ③室温3(約10~15度) ④ 外気温(約0~15度)

 ①、②の違いにより温度が高いほうと低い方のどちらが白菜の種子の発芽に適しているのかを調べ。

 ③、④の違いにより温度変化の幅による発芽への影響を調べる。

5.最後に

 それぞれの実験に対する結果を予想してみました。

 実験1:酸素の取り込みも関わってくると予想し、接水面積と接気面積のバランスの良い②が最も発芽スピード、発芽確率が高い。

 実験2:種まきなどで、土の中に植えることが多いのは遮光の目的もあるのではないかと考え、①が最も発芽スピードが速く、発芽確率も高くなる。

 実験3:室外栽培が基本の育て方で、畑に直播するときは、育苗にくらべて遅くに種をまくことから、気温が低いほうが発芽スピードは速く、確率も高くなる。(①②)また、温度変化については、外での栽培がイメージとしてあるので、幅の大きい④の方が③に比べ好条件になる。

今回は実験を一つずつ行っていきたいと思います。

まとめて全部やれよと思うかもしれませんが、まとまりに欠けることがあると困るので、ご勘弁を。

こんなところで今回の投稿を終えたいと思います。(1614字)

コメント

金井さんこんにちは

 今回の写真はアルティメットですか。私はまた「俺たち」「青春ーー!」という勢いをポーズにして表現したのかと思いました。そして合宿、若いうちはなんでもありです。気にせずに突き進みましょう。「媚びぬ、退かぬ、省みぬ!」です。

 さて、今回の記事は実験について、ですね。展開ゼミでは例年工学部系の人に実験をする人が多くいます。正直にいえば、植物系の人からすると的外れなこともあって生暖かく見たくなるものも多いのですが、私個人的にはチャレンジ精神は大好きです。報告を見るのも楽しみですね。

 内容に行きます。

 実験系の立て方としてはきちんとツボを押さえています。それは何かというと、

・テーマの重要性を理解している

・実験の位置づけ(今回は通説の検証ですが)を理解している

・材料やコストに無理がない

・比較条件を設定し、それ以外の条件をなるべく同一にしている

・対照区をきちんと設定している

・最初から予測をつけておく

という点です。

 これの一つ一つの説明をすると長いのですが、簡単に言います。研究というものはきちんと過去の研究と現在の流れを知ることから始まります。そして自分の行う研究の価値を客観的に知ることです。これが無いと、タコツボ的な、他人から見たらどうでもいい自己満足的研究に陥ります。

 そして研究コストも重要なのです。学生時代は修士も含めてコストを考えることはあまりないのですが、世の中の研究は全て資金獲得と研究コストを考えなくては実行できません。世知辛いですけれど。

 実験系の組み方については理系の学生なら考えれば分かると思います。予測をつけるのも、実験の目的をしっかりしておくという意味でも、解釈を考えておくという意味でも、次の実験につなげるという意味でも超重要です。なんだか当たり前のことを言っているようなんですが、これが下手だと結果の解釈の迷路に入って実験ばかりを繰り返すことになりがちです。

 さて、実験の詳細を見てみます。イラストがとても綺麗ですね。

 実験1は水条件ですか。「あたりをつける」という意味では正しい実験です。いわゆる「現象を見つける」「パイロット実験」ですね。詳細に見れば実は種子の吸水力は非常に高く、一か所でも水と接していれば必要充分な量を吸い上げると思いますが、はたしてどうでしょうか。

 実験2は光条件です。本当なら遮光はともかくとして明るいものは照度がどのくらいか確認すべきところですが、まあそれはいいでしょうか。

 それと「定性的」に近い実験です。「量を変化させていく」定量的実験ではありませんがそれもまた致し方ないでしょう。

 実験3は温度条件です。結果の予測が(?)ではありますが、面白いですね。私が良いと思った点は二つあります。一つは温度設定の根拠を明示していること、もう一つは温度の日周期的変化を取り入れているところです。

 まあ、楽しんで無理のない範囲でやって下さい。

 ちなみにですが、「直播の方が時期が遅い」というのは、植物の幼少期は弱いので、悪条件下ではきちんと苗床を用意して管理した方がいいという意味です。だから夏の悪条件下では苗床を使うという結果的なことです。まあ、ハクサイは普通直播しかしませんが。

 さて、話はさっきのことに戻りますが、思ったんですけれど研究では外部の人からの目も大事かなと思いました。もちろんその分野分野での研究のスタンダードというものがあるとは思いますが...... 例えば建築分野では、私などは「とにかく高強度で軽いコンクリート作れよ、そしたら劇的に建築変わるだろ」と思ってしまいます。しかし逆に「農学部なんて、とにかく海でできる稲作れよ、そしたら万事解決だろ」と言われてしまうかもしれません。それに対し、ごちゃごちゃ反論するのは簡単です。今は山ほどある遺伝子の役割を検証している最中、そんなに簡単に鍵なんか見つからないし、性質付与なんて簡単じゃない、と。しかしながら外部から見たことも、真理であり、研究に携わる者はみな自分の研究の意義を把握しなくちゃな、と思います。

 最後は軽い話題で、私の作る娘への「勉強弁当」です。これは勉強せずに大学受験で落ちてしまい、発表掲示板の前でうずくまる人の図です。

20191210175903-664a67141c0002fff6fa3bf30273f60bc31430c5.JPG

次回報告お待ちします。

ラボスタッフ・オガタ