東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2.「異邦人」(文:小松澤亮晴)

2020年10月23日 (金)

1.挨拶

 こんにちは、小松澤です。前回の挨拶で本を紹介していたので、これからもここで本の紹介を恒例にしていきたいと思います。

 さて、今回はアルベール・カミュの「異邦人」です。フランスの作品で、原題は「L'étranger」といいます。ちなみに前回の記事に写真で載せていたのは小沼丹の「村のエトランジェ」でした。つまり、「村の異邦人」というわけで、こういうつながりがあるわけです。写真のは新潮文庫2020年プレミアムカバーということで、すでにもっていたものをカバー目当てでもう一冊買ってしまいました。もともと持っていた方は誰かに譲ろうと思っています。作品の詳しいあらすじは書きませんが、簡単にいうと、主人公がアラブ人、つまり異邦人ですね、これを銃で殺害してしまいます。そして主人公は裁判でその動機を「太陽のせいだ」というのです。

 ところで、今の自分にとっての「異邦人」とは誰のことでしょうか。


~目次~

1.挨拶

2.経過観察

3.結び


2.経過観察

 10月19日の観察からです。気温は23度、湿度は58パーセント

 カイワレダイコンは5日目です。


20201019114049-9cdfa17a8c4675d113e26b9ce855661d62aa1501.jpeg

実は種をまいてから二日後の10月15日に観察した時にはもう発芽していたのですが、撮影をしないままにしてしまい、その三日後にはこんなにも伸びてしまいました。まあ、伸びるのはいいことなのですが。ここで気になったことが一つあって、ティッシュらへんに白いわたのようなものがあり、これはもしやカビではないかと思って調べてみたところ、水分が足りないと根毛を伸ばして、それが白カビのように見える、らしく、一安心しました。しかし水分が足りないという問題がでてきたので、水を掌ですくって三回ほどの量の水をかけてやりました。(下写真)

20201019114107-de7603e443c4a5a2110d5f7b8a39df7906b6f220.jpeg

 次に鉢の方です。こちらは4日目になります。

20201019114403-443849b9e42dfc97a15784d5fd44e156b27d0eed.jpg

河北はもう芽を出してくれていました。やはり「極早」を売りにしてるだけあって育てやすい感じがします。(あくまで「感じ」です)

20201019114534-79d4af365c06b17b8d244fd9e2d0552bc5705bc5.jpg

オガタミックスの方も、見えますでしょうか、3,4割くらいが発芽してくれています。ところで、どうやら自分の勘違いで、これを植えるのは小さいほうの鉢でよかった、というご指摘をいただきました。まあこっちはいいのですが、問題はバショウナの方で、こっちは大きいほうの鉢にしないと成長がよくなくなってしまう可能性がある、ということで、これが現在いちばんの不安要素になっています。そんなバショウナはまだ芽を出してくれていませんでした。(下写真)

20201019114555-368a1f0a33d00d0f5e8385fcc0f23c8bf7f47ab1.jpg

10月22日の観察です。気温は21℃、湿度は75%

カイワレダイコン8日目

20201023133548-2c3d9085cdef3c994e19e377bc1c866570fb9acc.jpeg

コップの淵まであと少しです。水は全く乾いていませんでしたが、根毛は伸びていました。よくよく考えれば、水が足りてたって根毛くらい伸ばします。どれかがアルミホイルの天井に届き次第光を当ててやろうと思います。


20201023133613-e4664af840c684329d8a1c17263c89f1a74435fe.jpeg20201023133638-5b04218381cdd4eab7001fc17671c6e707e0b22f.jpeg

ところで、カイワレダイコンがなんだか上にまっすぐ伸びれていない気がして、これは何度もアルミから出して光に当てすぎてしまったからなのかと思ってましたが、よく見るとティッシュの下にいってしまった種がティッシュを押しのけて、土台が傾いたためそう見えたということでした。なんという意志の強さ!かくて埋没せらる者が自らの土台を傾ける程の個性を有してまさに「頭角を現した」のでしょう。これは人間にも同じことが言えますね。

20201023133701-cccb650415249feabadd20e80a8e2a4ebe25ecf5.jpeg20201023133721-c0367b6d9ef3aa9c1fb875148c91401508e474d7.jpeg20201023133738-879eaa0ddc850ac6be23450428e4b7d0e2b63637.jpeg7日目の鉢です。バショウナも含め子葉が無事出てくれましたが、やはり密度が非常に気になります。しかも中央に寄ってしまっているのは、種まきで上からでなく周りから土をかけたこと、水やりでも種が中央部に流れてしまったことが原因だと考えられます。今週からは間引きの方法についてよく考えねばならないようです。


3.結び

 先日のリアタイミーティングにも挙がっていたことですが、やはり他の受講生の記事を参考にする、というのは非常に大事なことですね。自分は今年のものは見るようにしていますが、他の年度のものが見れていないので、見て参考にしたいと思います。栽培の経験が乏しくささいなことも新鮮に感じられるこの栽培で、当然経験したことのない問題、障害が生じていくと思われますが、それでも私はこの「異邦人」たちと向き合っていかねばなりません。では、第二回の記事でした。

コメント

小松澤さんこんにちは

 おお、本の紹介ですか。その本がよほど好きで、装丁の違うものを買ってしまうとは! そこまで好きになれる本を持つということは実にいいことです! 私は間違えて既に持っている本を買ってしまったことはありますが、装丁違いを買ったことはありません。

 挨拶の最後の文が利いていますね。さすがに文学部です。ところで、「エトランゼ」のことですが、これは主人公が撃ったアラブ人のことではないのではないか、と思います。どちらかというと主人公が周囲にそう扱われているのではないかと思います。神父や陪審員という「世の中の常識人、マジョリティ」に対して、主人公はただ正直であるというだけで、周りに理解されない、主人公にとっての異邦人であるアラブ人よりももっと異邦人の立場にされて不条理に遭う、というような。

 さて、今回の報告では割と元気に植物は発育していますね。

 ですが、こういう時系列の観察では何がどうなっているか分かりにくいですし、他の人への参考にしにくくなります。日記を求めているのではありません。あくまで植物ごとにして、またトピックにフォーカスして下さい。

 カイワレダイコンは収穫間近になってなによりです。根毛の存在に気付かれましたか。太い根から水を吸うことはなく、あくまで根毛の部分だけで水を吸います。それは浸透圧の関係で吸い取るだけではなく、根毛の細胞に発現している特殊分子が積極的に水を取り込むことによります。その特殊分子が根毛にしかないのです。

 水やりは文字通り手加減のようですが、写真で見る限りいい感じですね。下に落ちた種はそうやって押しのけながら上に伸びようとしています。「頭角をあらわした」面白いですね。確かに世の中、どういう環境や場所でも優れた人間は目立ってくるものです。私の高校時代の友人で、成績的には東大東工大余裕と言われた人間、しかし地元から出ることなく東北大に行ったのですが、やはりというべきか周りがほっておかず今では東北大の副学長をやっているのがいます。

 カイワレはもうじき収穫となりそうですが、食べた感じもレポして下さい。

 他の植物は早急に間引きをして下さい。その密度はちょっと感覚的な言い方しかできず、伝えるのが難しいことです。敢えて言うならば上から見て土の部分がわずかでも見えるくらいでしょうか。いずれも鉢の中心にばかり生えていますから、先ずは2/3は除去して下さい。ばっさりやって構いません。ミックスは15、他は4つくらい残ればいいでしょう。今のところは。

 植え替えについては、これは可能なのですが慣れた人間でないと失敗しやすいものです。先ずはこの鉢で行って下さい。

 次の報告もお待ちします。

 ラボスタッフ・オガタ

20201026131111-6be7045c4ec89f94a2b6ec011766734b3a6808f0.JPG