UVB防御におけるUV吸収物質(フラボノイド類)の
役割と意義について


  

 葉の表層に蓄積するUV吸収 物質(フラボノイド、アントシアニン等)は、細胞内へのUVB透過を防ぐ、いわばUVフィルターとして働き、また活性酸素 (reactive oxygen specie) のスカベンジャーとしても働くことが見出され、植物のUVB防御の関わる重要な因子の一つであるといわれています。



 しかし、UV吸収物質を多く蓄積している紫イネは、UVB付加条件下で栽培すると、生育は抑制され、UVBに対して感受性を示します。この減少は、UV吸収物質の過剰な蓄積が、他の紫外線防御に関わる因子や生体内反応に負の影響を与えている可能性が考えられます。現在、@UV吸収物質の蓄積が、DNA損傷の生成や蓄積、さらには、光回復酵素の活性に及ぼす影響の解析、AUV吸収物質の量的、質的変化とUVB抵抗性との関係等を解析し、UVB防御、耐性機構を考える上でのUV吸収物質の役割と意義に関して解析を行っています。


これまでに、UV吸収物質の蓄積は、@UVB短時間照射によるCPDの生成を効率的に軽減する、Aしかしながら、長期間UVBを付加した条件下で栽培されている葉内のDNA上に生成しているCPD量(内因性CPD量)には、影響を及ぼさない、すなわちUV吸収物質が多く蓄積していても、内因性CPD量を軽減しない、BUV吸収物質(特にアントシアニン)の過剰な蓄積は、CPD光回復酵素が働くために必要な青色光の透過を妨げてしまい、CPD光回復酵素の活性を低下させてしまうことなどが分かってきました。




(図10、Hada et al. 2003, Plant, Cell & Environment)



 
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