平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

総括班

植物新種誕生の原理 -生殖過程の鍵と鍵穴の分子実態解明を通じて-

植物の生殖過程には「他の植物種と交雑することなく自らのゲノムを維持するシステム」が組み込まれており、ゲノムを異にする種間の交雑は通常成立しない。稀にこのシステムがほころび、「異種ゲノムを柔軟に受け入れて新しい種を誕生させるシステム」が機能すると、異種ゲノムを併せ持つ新種が誕生する。こうした異種ゲノム合一による新種誕生は迅速な進化を達成する極めて重要なイベントであり、その分子メカニズムは生殖過程に配置された多段階の「鍵と鍵穴」の認証として理解できる。これまでわが国の植物生殖研究は世界をリードしており、「鍵と鍵穴」の分子実体を次々と明らかにしてきた。「鍵と鍵穴」の実体は、従来考えられてきた「リガンド・レセプター」だけでなく、「複数の転写因子からなる転写複合体と標的遺伝子」、「低分子 RNA 群と標的ゲノム」にまで拡張されつつある。
新学術領域研究「植物新種誕生の原理-生殖過程の鍵と鍵穴の分子実態解明を通じて-」では、我が国の誇る 3 つのブレークスルーテクノロジーである、ライブセルイメージング、有機合成化学、構造生物学との領域横断的共同研究を行い、植物の生殖過程における「鍵と鍵穴」の全体像を物質レベルで明らかにし、新種誕生の本質的なメカニズムを解明することを目指す。
本応募研究課題は、新学術領域研究の総括班であり、領域研究の効果的な運営、人材育成、異分野融合研究支援センターを介した共同研究の促進を目標とする。従来、特定の研究者のみが実施可能なブレークスルーテクノロジーを領域全体に共有して共同研究を促進するため、「異分野融合研究センター」を設置し、国際的研究中心形成を目的とする「国際活動支援センター」との一体的運営を行い、本領域の国際的優位性を維持する。同時に、研究領域運営・若手育成を目的とする「実施運営本部」を設置し、円滑に研究を推進する。このために以下の活動を行う。(1)領域の方向性を議論する総括班会議開催、(2)各研究班への研究評価・助言を行う班会議開催、(3)シンポジウム、若手ワークショップ開催、(4)アウトリーチ活動の展開。

メンバ―リスト
  • 東山 哲也名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所、東京大学大学院 理学系研究科
  • 辻 寛之横浜市立大学 木原生物学研究所
  • 高山 誠司東京大学大学院 農学生命科学研究科
  • 上口 美弥子(田中美弥子)名古屋大学 生物機能開発利用研究センター
  • 瀬々 潤国立研究開発法人産業技術総合研究所 人工知能研究センター
  • 渡辺 正夫東北大学 生命科学研究科
  • 木下 哲横浜市立大学 木原生物学研究所
  • Bode Jeffrey名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所
  • 伊丹 健一郎名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所
  • 山口 茂弘名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所
  • 諏訪部 圭太三重大学 生物資源学研究科
  • 清水 健太郎横浜市立大学 木原生物学研究所
  • 永江 峰幸名古屋大学 シンクロトロン光研究センター