平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

計画研究班

ハイブリッド新種ゲノムが有するオミクス適応能の包括的な解析

「鍵と鍵穴」の障壁を超え、交雑により生まれたハイブリッド新種は、農業において積極的に利用されている。現在育種されている種を見ても、コムギ、セイヨウナタネ、ワタなど多数ある。一方で、ハイブリッド新種が作成できたとして、その適応力は明らかではない。本研究では新たに生まれたハイブリッド新種が、どのような環境適応能を持ちうるかの予測法を確立する。予測を通じて、どの種間の交雑が実現すれば、望む適応能力を持つ新種を得られるかを他の班にフィードバックし、産業的に有用な新種の作成へと結びつける。現在までの新種作成は場当たり的に行われてきた部分が多かった。一般に、種 A と種 B が交雑して生まれたハイブリッド新種は A と B の中間的な形質を持つと考えられる。ところが、「ゲノムショック」や「雑種強勢」という言葉に代表される様に、新種には A にも B にも存在しない形質を獲得することもある。この特質を活かすことで、より望んだ環境に適用した新種の作成が期待されるが、どのような形質が獲得可能であるのかの予測、そして分子的なメカニズムは未知である。今まで未知であった一つの原因として、ゲノムワイドなオミクス観測が、ハイブリッド新種に対しては困難であったことが挙げられる。研究代表者の瀬々と分担者の清水は、共同でこの問題に対して取り組み、ハイブリッド新種の遺伝子発現解析手法を構築してきた(NAR 2014)。本研究では、この手法を発展させることで、ハイブリッド新種の環境適応の理解と予測につなげる。瀬々と清水のグループはこれまで 5 年以上の共同研究、4 本の共著論文を有し、共同で国際グラントを得た経験もある。これらの経験を基に、本研究は立案されているため、直ちに研究を開始できる。研究成果は、論文、雑誌への寄稿、講演等を通して広く公開する。

メンバ―リスト
  • 瀬々 潤国立研究開発法人産業技術総合研究所 人工知能研究センター
  • 清水 健太郎横浜市立大学 木原生物学研究所