東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

トウミョウの栽培の顛末(経:富樫泰杜)

2016年1月21日 (木)

 はじめに、記事の投稿がギリギリになってしまい申し訳ありません。理由については、最終報告とも絡むため、最終報告にまとめて記させてください。


 さて、トウミョウの生長具合についてですが、10月21日にトウミョウを栽培するコップの中身をキッチンペーパーからスポンジに交換するとき、個体ごとにかなり異なった育ち方をしていることに気が付きました。以下の通りに、大きく分けて3種類に分類できると考えています。
①恐らく順調に育っている個体(4個体)

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茎も伸び、根もしっかり伸びています。市販品とおおよそ見た目が変わらないように思えます。発芽した6個体のうち、この4個体は残り2個体より早く発芽していました。

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この写真で茎がはっきり確認できる4個体が、そのままこのグループに入っています。残り2個体が以下のように育ちます。
②茎は伸びているものの、根が生長していない個体(1個体)

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①のグループは太い主根にたくさん側根が伸びていますが、この1個体(写真右)は主根が細く、側根が伸びていません。根の表面積が小さいことで水分を十分吸収できていないのか、茎こそ伸びていますが、①のグループと比べて、やや細いです。
③根は育っているものの、茎が生長していない個体(1個体)
今度は逆に、根の成長具合については①ぼグループに匹敵するものの、茎が伸びない個体です。(写真左)

このあまりにバラバラな育ち方について、なぜこんな差が生じたのかは正直謎のままです。種子を水に浸していたころの写真や発芽したころの写真(上から二枚目の写真)を見ても、これほどの個体差を発生させるような大きな環境の差があったようには思えません。この点、もう一度育ててみたら何かわかるのでしょうか......。

その一週間のち、①のグループ4個体については市販品と同じくらいの大きさ、約12cmに生長したので、食べてみました。食べ方についてですが、トウミョウを食べていた時期は、電子レンジを使った蒸し野菜サラダがマイブームだったので、毎回電子レンジで他の野菜と一緒に蒸して食べていました。調理が極めて楽なのと、変にあれこれ調理してトウミョウの味が分からなくなることが防げるということで一石二鳥だったと思っています。ただ、今振り返ると、市販品との比較が済んだ時点で他の食べ方も試せばよかったなと思っています。

また、食べるにあたり、市販されているトウミョウも購入し、比較してみました。食べ比べたところ、食感や味、色などに特に違いはなかったように思えます。しかし、見た目で一点、素人目にでもはっきり分かる市販品と自前の差がありました。それは、節と節の間の長さです。

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市販品と比べ、自分で育てたトウミョウは節と節の間隔が長いのが特徴でした。これもまた栽培過程での不思議な点です。推測ではありますが、節=新たな茎や葉を形成するには、ただ茎をのばす以上の養分が必要で、自分がトウミョウを育てた環境では養分が市販品より少なかったのでは、と考えています。ただ、講義当初の説明では、トウミョウは農薬を使用していないとあったので、果たしてこの仮説は成立するのだろうかという疑問も残っています。

次に②③のグループについて。スポンジを導入した2日後、ある程度生長した①のグループは、日光に当て始めました。一方、②については茎の長さこそ十分日光に当てていい頃合いではあったものの、根の成長が芳しくなかったので、光合成より根の成長を優先すべきと考え、また③については、全く茎が伸びていないので、引き続き暗所での管理を続けました。10月25日には、以下のように生長しました。

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中間報告で掲載したトウミョウの写真と同じものです。右が②、左が③です。②については、茎は少し成長し、根にも変化が見られました。①のグループと比べると少ないものの、側根が伸び始めてきました。1個体あたりが占有できる面積が増えたところ、このように根が生長したということは、この個体は、根を伸ばすという生存競争で他の個体に敗れてしまっていたのかな、と考えました。ただこの仮説も、市販のトウミョウは我が家で栽培したトウミョウ以上の密度でも成長していること(上の方に位置する種子が根をのばせていないことはあれど)を考えると、成立するか怪しいところではありますが......。しかし、結局これ以上根が育つことはありませんでした。以下に、2度食べて最終的に廃棄する前の①のグループの個体の根と②の根の写真を掲載します。

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③については、奇妙な育ち方をしてしまいました。最初に食べることになるはずの茎より、脇芽の方がよく育ってしまっていたのです。こればかりは、何故このように生長してしまったのかさっぱりです。スポンジを導入する前、この個体をアップで撮影した写真を見たところ、10月21日の時点ですでに茎と脇芽が並行して生長していました。根にばかり注目して、完全に見落としていました......。

②③の個体も、育ち方こそ奇妙だったものの、一応育ちはしたので、これもまた蒸していただきました。1のグループ同様、節と節の間隔が市販品より長かったものの、味や色、太さ硬さなどは特に違いがなかった、と思います。そんな繊細な舌はもっていないので、いまいち自信はありませんが......。


以上が、わたしのトウミョウ栽培の顛末です。

コメント

ラボスタッフマスコです。トウミョウ、だいぶ個体差が出たようですね。 売るようなスプラウト栽培の場合は、私観ですが、種子を選別してるのではないかと思われます。 水もしくは塩水につけると、軽い種子は浮くのですが、充実した種子は沈みます。 沈んだ種子のみを使用すれば、充実した種子のみを使用することが出来、個体差を抑えられます。 鉄腕ダッシュでもイネの苗作りの時に、強い苗を作る方法としてやってましたね。 ゼミではどうしても配布する種子量が少ないですから難しいですが、そういう方法もありますよ。 最後は美味しく食べられて良かったです!

旧展開ゼミ