東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

科学者の卵養成講座

東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

令和元年度 まちかどサイエンス

科学者の卵たちが見つけたちょこっとサイエンスをご紹介します。

「蜘蛛の糸」

2019.09.26家の近く

秋田県立能代高等学校

中村 響

「蜘蛛の糸」

蜘蛛の糸の強度は鉄鋼の4倍という話を聞いたことがあります。ステンレス鋼製の自家用車のブレーキワイヤーに使われるほどの強度があります。それよりもはるかに強度の大きい糸が自然にあると知った時は大変驚きました。自然の力は計り知れないですね。
そこで私は芥川龍之介作の「蜘蛛の糸」を思い出しました。その作品ではお釈迦さまが地獄に蜘蛛の糸を垂らしてカンダタという男を極楽に引き上げようとする場面があります。
以上二つを踏まえて私は「人ひとりがぶら下がるのに必要な蜘蛛の糸の太さはどれくらいの太さなのだろう」という疑問を持ちました。
この疑問について検証していこうと思います。このとき、蜘蛛の糸にぶら下がる男の体重は18歳男子の平均体重である63.6kgとします。調べてみると、太さ2.5mmのステンレスワイヤーを一本垂らした時の破断荷重が約76.7kgで63.6kgの男子が垂れ下がるのに十分であるので、今回はこの糸と蜘蛛の糸を比較します。(今回は、糸の太さと破断荷重が比例しているものとして計算します。)
(蜘蛛の糸の太さ)*4=2.5という式が成り立ちます。これを計算すると、
(蜘蛛の糸の太さ)=0.625
これは身近なものに例えるとシャープペンシルの芯ほどの太さです。蜘蛛の糸の強度が強いことは理解できましたが、カンダタのように糸にぶら下がってよじ登ろうとするのは私には怖くてできそうにないです。