東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

科学者の卵養成講座

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令和3年度 まちかどサイエンス

科学者の卵たちが見つけたちょこっとサイエンスをご紹介します。

お正月と言えばお餅ですよね。

2022.01.03

栃木県立宇都宮女子高等学校

平山陽菜

お正月と言えばお餅ですよね。

 今回のテーマはお正月の食べ物日本代表、お餅選手です!お餅って膨らんだり伸びたりしますが、原理を調べたことがなかったので今回調べてみました!

 まず、白米とお餅ではコメの種類が異なっています。白米にはうるち米、餅にはもち米が使われています。この2種類の米の違いが何かというと、アミロペクチンという枝分かれの多い分子の量です。アミロペクチンはうるち米の80%、もち米の100%を占めています。うるち米の残り20%はアミロースという1本のひものような構造の分子であるため、白米のでんぷんは切れやすく餅のように伸びることはありません。一方、餅のでんぷんはアミロペクチンから成り、「つく」ことでアミロペクチン同士が絡みつき切れにくくなります。だから、餅は伸びるのです。また、一度硬くなった餅を焼くとアミロペクチンの枝が広がります。その隙間で空気や水蒸気が暖められると体積が増え、餅が膨らむのです。


 他の伸びる食品といえばチーズがあります。チーズにはでんぷんは含まれていないので、当然伸びる原理は異なります。チーズが伸びる鍵になるのは「ガゼイン」というタンパク質です。一般にタンパク質は加熱すると変性し、固まってしまいます(例えばゆで卵を放置したら生卵に戻ってしまった、なんてことはありません)。しかし、ガゼインは熱に強く、加熱しても変性しません。ガゼインは乳の中で粒状になって浮遊しており、それをガゼインミセルと呼びます。乳中のリン酸カルシウムによりガゼインミセル同士が結合し、網目状の構造をしています。チーズを加熱するとガゼインの分子のみが変形して溶け、それらを繋ぐ構造はそのまま変化しません。よって、チーズは加熱すると伸びるのです。ちなみに熟成されたチーズは、熟成によりタンパク質が分解されるので加熱しても伸びません。


 チーズの伸びる仕組みが興味深いので分子の構造など、より深く調べたいと思います!

 ちなみに写真の餅は、私の家で1から(お米から)作られたのり餅です。