東北大学・探求型「科学者の卵養成講座」(グローバルサイエンスキャンパス協定事業)

科学者の卵養成講座

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令和3年度 まちかどサイエンス

科学者の卵たちが見つけたちょこっとサイエンスをご紹介します。

果たして酸素は必要か?

2022.02.07

山形県立鶴岡南高等学校

伊藤さや

果たして酸素は必要か?

 みなさんこんにちは。山形県立鶴岡南高校1年伊藤さやです。前回に引き続き、発展コースでの疑問点を少し紹介します。今回は有用な微生物を利用した製品であふれた世界は酸素不足になってしまうのではないかという私の疑問を深堀りしてみようと思います。
 今回のキーワードは、“好気性と嫌気性”。世の中には、好気性生物と嫌気性生物がいるというのは生物を習ったことのあるみなさんはご存じかと思います。
 好気性生物とは、酸素を利用した代謝機構を備えた生物のことです。細胞が呼吸を行う過程で、糖や脂質のような基質を酸化してエネルギーを得るために酸素を利用する生物です。ほぼすべての動物、真菌類、いくつかの細菌は偏性好気性のようです。
 それに対し、嫌気性生物とは、増殖に酸素を必要としない生物のことで、多くが細菌です。代表的なものは、嫌気性バクテリアとよばれるもので、地中や海中など酸素のない場所に生息しています。人の腸の中に生息するビフィズス菌も嫌気性の菌になります。また、いくつかの嫌気性細菌は、人を含む高等生物に対して極めて危険な毒素を産生することが知られています。嫌気性微生物は有機物を「無酸素」環境下で分解・代謝し,エネルギーを獲得しなければなりません。そのため、硝酸,硫酸,鉄などを酸素の代わりに最終電子受容体として呼吸します。多くの嫌気性微生物は酢酸,プロピオン酸,酪酸,乳酸,エタノール,ブタノールなどを「発酵生産物」として蓄積しますが、これらの物体には一定濃度以上蓄積すると,代謝全体が進行不能となり,自身の生育が完全に抑制されてしまうものがあります。そこで、それらを速やかに代謝する「除去者」とともに共存・共生しているようです。
 私は今回、見える生物どうしではなく、小さな生物どうしでも互いに支えあって生きていることを知りました。もしすべての微生物の解明が進んだら、私たち生物の相関図はとても複雑なものになりそうですね。一つの微生物について調べていくと様々な疑問点が見つかっていきそうです。