東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【その3】アルファルファの栽培計画について(理:藤井和樹)

2015年10月13日 (火)

アルファルファ――Medicago sativa マメ科の多年草で、ヨーロッパ原産。乾燥地、寒冷地などで多量の収穫を挙げる牧草として有名である。日本には明治の初期に輸入された。根が深く、よく乾燥に耐える。栄養、ビタミン類も豊富で牧草としては特に優れ、また緑肥として土地の改良にも効果がある。ムラサキウマゴヤシ、ルーサンとも。(ブリタニカ国際大百科事典電子辞書版抜粋)

  

この数日間でどんどんアルファルファの知識が増えてきました。はたして今後の僕の人生に「アルファルファってムラサキウマゴヤシまたはルーサンとも言うんだぜ~」なんて言う機会は訪れるのでしょうか。こんばんは、藤井です。

遅くなりましたが、アルファルファの育成計画について説明いたします。せっかく記録をつけながら栽培するので、育成条件を変えて、対照実験を行ってみようかなと思います。そのため、冒頭の写真通り、今回アルファルファはA~D の4つの集団に分けて栽培します。

  

【概要】

植物は成長する過程で根から水や有機物を、葉から二酸化炭素を吸収してその質量を増していきます。中でも質量増加の大半を占める要因は水になります。(参考サイト)そのため、栽培に使用する水を変化させれば、育成後に差異が生まれることが予想できます。ABCでは使用する水にそれぞれ水道水、軟水、硬水を用い、水が植物の成長に与える影響を調べます。またDでは土を用いて栽培することで、スプラウトの成長に土が与える影響を調べます。

  

【方法】

A~Dの条件は以下のようになります。

・A プラスチック製のコップ(底の直径5.0cm・高さ9.0cm)を用いて栽培を行う。一日二回朝晩に水道水を用いて水洗いを行い、その後水切りを行う。水切りにはウエットティッシュを一度洗って乾燥させたものを用いる。日光が当たるのを防ぐため、段ボール箱をかぶせておく。(今回はこれを基準とします)

・B 水洗いで使用する水を軟水(硬度30mg/L、pH7.1)とする。そのほかの条件はAと同一とする。

・C 水洗いで使用する水を硬水(硬度304mg/L、pH7.2)とする。そのほかの条件はAと同一とする。

・D 土の上に種子をまいて栽培する。水洗いは行わず、適度に土に水道水を与える。そのほかの条件はAと同一とする。

  

スプラウトにはとってはほとんど水だけが質量因でしょうから、ABCについてはなかなか大きな差異が生じるのではないでしょうか。特に硬水で育てるCについては、浸透圧が小さくなるので、水の吸収が悪くなって成長に悪影響が出るのではないかなと、少し心配です。しかし現時点ではしっかり発芽しているので、問題ないのかもしれません。育ってくれた場合、味は濃くなるんでしょうか。気になります。一方日本の水は大抵が軟水らしいので、AとBについてはそれほど顕著な差は生じないかもしれません。いずれにせよ、実験あるのみです。

  

ちなみに、水道水、軟水、硬水で条件を分けることは、種子を水に浸ける段階から行っています。下の写真が、種子を浸けてからおよそ12時間たった時の様子です。Cが最も濃く色づいているのがわかります。やはり浸透圧の関係でしょう。ちなみに紅茶は硬水で入れるほうが軟水で入れるよりもおいしくなるそうです。僕はまだ試したことはありませんが。色づいた水を少しなめてみましたが、Cからはかすかに緑の匂いがしましたが、3つとも味の違いは感じられませんでした。

20151014024639-5f5b8e4a9d3dc4a6914c5ab9f6e1bd640a9006d5.JPG20151014024740-19e7dd351f4a9dba1c9a894242979f1ba32af162.JPG4つにどんな違いが表れてくるのか、または同じように育っていくのか。楽しみです。

コメント

こんにちは。今回の展開ゼミでチューター役の「素人2号」です。

 いろいろと条件を変えてみて対照実験を行うのはとても面白い試みですね! 実験結果と収穫、ともに得られれば一石二鳥ですね。ところで、アルファルファは作物としては比較的深い層まで根を伸ばすことができ、ほかの植物が利用できないような深い土層に豊富に存在するミネラルを吸収することが可能であるため、植物体のミネラル濃度もほかの作物に比べて相対的に高いそうです。ここからは推測ですが、これらの性質を逆に考えると、この植物はミネラルの蓄積に対して耐性が強い(=高い浸透圧に耐性あり)といえるかもしれません。一般的に植物は高浸透圧、とりわけ高濃度のナトリウムイオンに弱いものが多いので、硬水と軟水の比較はとても面白いとおもいます。もし余裕があれば、作物を変えてみて同じ実験をすれば、硬水に対する種ごとの応答の差について面白い結果が得られるかもしれません。

以上稚拙な長文ですが、アドバイスとさせていただきます。今後の栽培も引き続き頑張ってください!

20151014221454-c3c347d1d6da6857284b56bcab7f344c0bbc3c23.jpgなお、上の写真は播種3日目の現在の我が家のアルファルファの様子です。根が出てきたので、あとは腐らせないように注意して栽培してゆこうと思います。

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