東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(工:井野塲遼馬)

2018年1月17日 (水)

こんにちは。最近,「早く春休みになれ!」ということしか考えておりません。そんなこんなでとうとう最終発表まできました。野菜はまだまだ収穫とはいきませんが,一度これまでのことをまとめていきたいと思います。


(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、意外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことを説明して下さい。

 今まで植物の栽培をほとんどやったことがなかったので,正直最初のころは適当に水やって肥料やっておけば勝手に育って食べられるだろうくらいの考えでした。しかし実際はそんなに甘くはありませんでした。水が少なすぎると当然のことながら植物は萎れてしまい,逆に多すぎると根が窒息してしまう。肥料が少ないと植物は古い葉に回す栄養をストップして萎れさせ,より重要な部分へと栄養回し,逆に多すぎると浸透圧で根が干からびてしまう。水やりにしろ,追肥にしろ適切なタイミングがあり,それを守らないと植物にダメージを与えることになってしまうということを身をもって知ることができました。また,栽培には気象条件を含む周りの環境が深く関わっていることを改めて体感することができました。初めのころに室内で育てようとしてものの見事に徒長するという経験をしました。当たり前のことですが植物には光が必要なのです。頭でわかっていてもそれを一度体験するということがとても大切なことなのではないかと思います。そして今回は特に天候に悩まされました。秋から冬にかけての栽培だったので,晴れの日こそは多かったものの,2度の台風にやられ,雪に降られた日には氷漬けになってしまいました。個人的な感覚ですが,仙台は地元より風の強い日が多かったと思います。台風の時もそうですが風の強い日には株が折れるのではないか,葉が折れるのではないかとハラハラしていました。ミニダイコンの子葉が一枚折れる程度の被害でよかったです。とは言え,氷漬けになった日には心の底から焦りました。実はその日,全く天気予報を見ないまま自転車で遠出しており,雪道の中,自転車を押して帰るということをしていました。ようやくの思いで帰って植物を確認するとあの有様だったので,あの日ほど天気予報を確認すればよかったと後悔した日はありません。その後は毎朝天気予報を確認することが日課となっております。

 逆に意外とうまくいったと思うこととしては,スプラウトのレッドキャベツスプラウトを寒い場所から比較的暖かい場所へ移すだけで成長が一気に進んだということがあります。気温という条件を変えるだけでここまで変化が出たことがとても意外でした。また,凍結によりボロボロになってしまった植物ですが,なんだかんだしぶとく生き続けていることも挙げられると思います。

 今になってみると,植物栽培のスペシャリストである農家の方々には尊敬と感謝の思いがあります。そう考えると食事を食べるときの「頂きます。」という言葉の意味を考え直すきっかけになったのかもしません。私は日本語の話者なので,今後はこの気持ちをこの「頂きます。」にしっかりと込めていきたいと思います。



(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

 まず挙げられるのが,長文を書くことに対する気持ちの変化です。正直これまで長い文章を書くことに対して抵抗しかありませんでした。しかしながらこのゼミを通してそのことに関してかなり鍛えられたと思います。このことを特に実感できたのは所属しているサークルのサークル誌を書いているときです。それまでは全然手が進まず終わらせるのにとても時間がかかったのですが,最近では書きたいことが出てくるようになりました。また,書く前に文章の構成を考える癖がついたように感じます。せっかく手に入れた変化なので,失わないようこれからは旅の記録を文章に起こすということをしてみようと思います。

 私は中間発表で「週に1度必ず記事を投稿する」というのを今後の目標の一つとして掲げました。この目標を達成するために,普段の生活の中で計画を立てるようになりました。結果としてこの目標は達成できたので良かったです。このことで他の科目のレポートにおいても同じようにするようになりました。もともと締め切り直前に焦ることの多かったのですが,計画的に進めることで生活にゆとりが生まれるようになったのも事実です。

 そして,パソコン関係もだいぶ鍛えられたと思います。その中でも特に長い文章を書いていく上でブラインドタッチの速さが上がったと実感しています。今後パソコンを使ったレポートが増えていくので,このゼミはブラインドタッチを練習する意味でも選択してよかったなと思います。それとHTMLのタグについても以前より知識を深める事ができました。たまにソースコードを確認しては弄り,プレビューを見るというのを繰り返すことで,経験的に知識を付けられただけでなく,分からないことは調べることができました。自分でホームページを作るのはほぼ初めてのことだったので,とてもいい経験ができたと思います。このことに関しては今のところはっきりとした波及効果の実例があるわけではありませんが,今後必ず何かしらのプラスになると思います。

 



(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。

 毎日観察することは意外と大変でした。毎日見ているとその変化になかなか気が付きにくかったというのが正直な感想です。ただ土の湿り具合などの植物の成長に欠かせない情報を確認し,調整することでコツコツ地道にやることが身についたと思います。そして数日前に撮った写真と比較して成長を確認できた時には少しうれしくなって,それが次の日のモチベーションにつながりました。特にレッドキャベツスプラウトは目に見えて成長が分かったので楽しかったです。凍結以降には,株が弱っていたことがあり,毎朝起きては確認するということを必ずしていました。私はこれまで何かを習慣化することにとても苦労してきていたので,そのような自分の変化が嬉しく思います。また,天気予報も確認する習慣が付きました。

 しかし,毎日観察することで,中間発表の際に渡辺先生にコメント頂いた「観察力から生まれるある種の経験と勘のような計測器では測れないようなことに気が付く」ということが何となくわかった気がします。上でも述べましたが,ミニダイコンが凍結してからというもの特に観察するように心がけていました。するとなんとなく今日は株の元気がないといったことが分かるようになりました。このような経験と観察から生まれる勘を今後専門的な実験をする際も大切にしたいと思います。

 それと毎日気に掛ける植物があることで,少しだけ家族が増えたような感覚になりました。普段一人暮らしをしている自分にとって,育てた作物を眺めることが心の安らぐ時間となっています。ボロボロになってまで生きている姿を見ると申し訳なさと同時に元気をもらったりと色々と思うところがあります。ミニダイコンとシュンギクの栽培が終わったら,もう少し手のかからない植物を育てなおすかもしれません。



(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

 まず挙げられるのが上で述べた通り長文を書くことに対する抵抗が少なくなったことです。正直いま4000字のレポートを書いている自分が信じられません。毎週他の受講生の方々と比較すると多いとは言えませんが,ある程度の文章を書いて投稿することは自分の中で確実に変化をもたらしました。まだまだ長文を書くのには時間がかかりますが,以前に比べたらかなり成長できたと思います。個人的にはこの成長が嬉しくてたまりません。それと文章の構成という面でも成長できたと思います。今まで箇条書きのような文章しか書けませんでしたが,それ流れのある文章が書けるようになりました。このゼミではほかの受講生の記事を読むことができるため,いいなと思った技を参考にすることができます。もし他の受講生の方々の記事が読めなかったら,ここまで成長できなかったと思います。また様々な人が読むということで,その時の気持ちや考えが伝わるような言葉の表現を調べたり,考えたりすることで,語彙力や文章力も身に付けられたと思います。それとタイトルを考えるという点においても成長できたと思います。タイトルを考えるうえで意識していたのはなるべく端的でその記事の内容を表すという事でした。これが意外と難しく,しかしながら楽しい時間でした。また,それを考えることでより文章の構成を考える事にもつながりました。



(5) 理系・文系を問わず、この講義を受講できるようになっています。植物を栽培して、観察するということは、客観的に物事を捉えて、自然科学的なものの見方を学ぶということでもあります。そうした点について、自分自身が習得できたと思う点、他の受講生と比較して、さらに、研鑽を積むことが大事と思う点を、考察して下さい。

 中間発表の際,「客観的なデータをとるのと,分かりやすく見やすい構図の写真を撮る」ことを今後の目標としました。確かにそれまでは成長をほとんど数値化していませんでした。しかしそれ以降では,特にレッドキャベツスプラウトの栽培で24時間毎に写真をなるべく同じ構図で撮り,背丈を記録したりとその目標は達成できたと思います。ミニダイコンやシュンギクにおいても,分かりやすく見やすい構図の写真を撮るという点においては達成できたのではないかと思います。注目してほしい部分をなるべくアップで撮り,必要のない部分はトリミングをし,そして写真写りが現実の色に近くなるようにカメラの設定を調整したりしました。ただ客観的なデータを取るという点においてはあまりできなかったように感じます。他の受講生の中には様々な観点から成長を数値化したり,対照実験をし,その得られたデータをグラフ化するなど分かりやすく示している人もいました。自然科学をやる上では客観的に得られたデータを分かりやすく提示することが不可欠であるので,私自身も当然そのようなことをすべきであったと感じます。

 他の点としては,植物に何かしらの変化が起きた時にその原因を調べたり考察したりする姿勢が自分の中で生まれたことが挙げられます。例えば葉が萎れていたり,成長が遅かったり,それこそ葉が突然欠け始めたりと,今回の栽培では本当に様々な壁にぶつかりました。その中で自分なりに答えを見つけ出そうと調べたり,考えたりしました。



(6) 以上の(1)~(5)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

 この展開ゼミで1番得られた成果として大きいのは,長い文章は慣れれば書けるようになることが分かったということです。上でも述べましたが,もともと長い文章を書くことにとても苦手意識をもっていました。それが克服できたのはとても大きなことだし,非常に嬉しいです。この感覚を忘れないようにするためにも,普段から長めの文章を書くことをもっと意識していこうと思います。また,計画的に物事を進めていく感覚も身についたので今後も忘れないようにしていきたいと思います。

 それと細かいことですが,思いついたらすぐに何かしらの行動に移すこと,そしてノートに付けること。その時の思い付きを大切にし,忘れないようにすること。これを座右の銘ではないですが,守っていきたいと思います。また今後専門的な分野の実験をする際などに,観察と経験に基づく勘を大事にしていきたいと思います。工学では装置による計測から得られたデータやシミレーションによって得られたデータを分析する必要があります。この勘を使うことで新しい面から物事を考察できるようになれるようになりたいです。

 また,(1)で述べましたが,「頂きます」という言葉に対する意識が変わりました。この言葉を以前よりも心を込めて言えるようになったと思います。


 今回の栽培の最終目標は「自分で育てた野菜をおいしく食す」です。レッドキャベツスプラウトは味噌汁でおいしく頂きましたが,ミニダイコンとシュンギクの栽培はまだまだ途中なので,最終発表を投稿したからと言って気を緩めることなく,責任をもってこれまで通りの管理を続けていきたいと思います。今後また大きな変化が起きたらその時は記事を投稿します。そして最終的に料理の形で紹介できたらと思います。

 それと最近野菜が高いので,余っているレッドキャベツスプラウトの種を使ってスプラウト第二弾を育てることを計画中です。こちらもおいしく食せるよういろいろ工夫できたらと思います。それではこれで最終発表を終わります。ひとまず今までありがとうございました。

コメント

工学部・井野塲さん

 おはようございます、遺伝の渡辺でございます。イントロを見ると、かなりの現実感というか、今を終わらせて、幸せなところへというのを感じます。そういえば、渡辺の大学時代もそうだったかも。特に、教養部と呼んでいた、1, 2年の頃は。だんだんと、連続した毎日で、今となっては、毎月が師走という感じで。そんな時代もあったなと思うだけに、よくわかるところもありますが、そんなに長くはないので、その時間を大切にすることも忘れずに。。。前置きが長くなりましたが。誰しもが思うこと。それは、植物だから、土に種をまいて、水をやっておけば、おおきくなるだろう。外の植物は何もしなくても大きくなっているのだから。。。これが落とし穴ですね。大きな。。。たとえば、外の雑草。あれは、外の環境に適応できたものが生き残っています。サクラのような木々の場合は、苗木を植えて、最初くらいは管理されています。苗木になっている時点で、かなり手がかかっていますし、最初の管理が大変というのを、この時期に学んだのは、よかったのではと思います。実験をやるようになると、意外と最初のところは、何でも難しいもの。先輩が簡単そうにやっていても、自分でやると、そうはいかないことがたくさんありますので。是非、そんな風に思わないように。落とし穴に落ちないように。今回のことを活かして下さい。というか、氷付けというとんでもないところに、落ちましたよね。それから、ここまで復活できているのは、もちろん、そこまでの植物を管理できたこともあると思いますが、失敗は成功のもとというように、これで学び、天気予報を見るようになった。それは、例えば、機械を動かしても、天気、気温、湿度などで影響があると思います。そんなことへの気づきのきっかけになればと。。。

 頂きます。ご飯の前に、いいます。この重みを工学部の方が感じてくれる。農学を教えている者としては、望外の喜びです。これから先、異分野融合をするとき、例えば、LEDを使って、野菜工場をと。そんな時、工学的なサポートをする方が、植物栽培の大変さを分かっている、ありがたみを分かっているとしたら、全然、違う、よい形のコラボができると思います。その点で、異分野のことを学び、相手の立場を理解して、物事をすすめることの大事さの一端を理解できたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。それから、文章力。書いてあったとおり、書くのをやめると、少しずつ、落ちてきます。多分、考えなくなるからでしょうか。旅の記録、いいですね。渡辺もHPに書いてあるとおり、時刻表でどこかへ行った気分になる「鉄道系」ですが、これで学んだ写真力と文章力を融合すること。是非、少しずつでよいので続けて下さい。継続は力ですから。それから、HPを書くために、HTLMのタグを駆使していたとは。それがなくてもできるシステムですが、さらにそれでversion upしたのは、工学部ですね。これからその波及効果は出てくると思います。

 機械を例にすると、ちょっと音が違う、なんか、いつもと違う、そんなことに気がつくのが、経験と勘だと思います。それに気がつくのと、そうでないのは、ずいぶんと世界が違うと思いますので。是非、これからの実験等で、その経験と勘を養って下さい。基礎ができつつあるので、きっとできるように、分かるようになりますので。今年度は、工学部から2名の受講で、文章が短めだったのが、気になっていましたが、この後、もう1名の受講生にもコメントしますが、しっかりとした最終発表になっているのは、こちらも感動です。先にも書いたように、この力を落とさないように、継続ですね。その文章のタイトル、これは、コメントあまりしてないかも知れないですが、この記事は読んでみようとか、この申請書はおもしろそうとか、いわゆる、つかみの部分は大事です。これから書くレポートなどで、是非、つかみを大事にしてて見て下さい。もちろん、最後のオチをどうするかもあわせて。それによって、ずいぶんと違って見えますので。

 写真については、コメントするまでもないかと思います。全体とみたいところ。その当たりは、きっと、鉄道の旅で、鍛えられると思いますので。そんな写真撮影で、対照をどうするか、controlですね。そんなことができるのか、考えたこともないですが、単に大きさを示すというだけでなくて、これと比較してというようなおもしろさを出すこと、それが新しい発見につながるようにも思いますが、どうでしょうか。思いつきを大切にして、ノートをつけること、とてもよい座右の銘ですね。この展開ゼミで、新しい座右の銘を記してくれたのは、はじめてですね。感動です。この言葉を忘れずに、これからの工学の専門を極めて下さい。残っている種子は、今までのことを活かして、楽しく使って下さい。もちろん、HPへの記事の掲載は、welcomeですから。座右の銘がさらに進化することを祈念しつつ。。。


 わたなべしるす