東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(工:田村秀人)

2018年1月17日 (水)

こんにちは工学部の田村です。

2セメスターも終わりに近づきいよいよ最終発表となりました。


(1) 栽培を通して感じたこと。

最初にこの授業とった時は家の窓際で育てれば問題ないだろうという安易な考え方ではじめ、実際前半は窓際の狭いスペースをつかって栽培をしていたわけですが、だんだんそこでは足りなくなり、栽培スペースを増築することとなったわけです。スペースを拡張するのは収納を移動したり大変でした。現在では元置いてあった場所に全て並べることは到底できません。ここで言えるのは、この講座をとった時点では植物、野菜のサイズ感をつかめていなかったということです。普段スーパーなどで野菜は買いますが、それを鉢にのっけたことはないですし、それがどのような過程を経てそうなっているのかを考えたことはあまりありませんでした。この講座を進めていく中で最初は小さな種だったものが大きく成長していき、野菜の成長プロセスや栽培者から見たサイズ感を垣間見られたと思います。現在も野菜たちは成長を続けており、拡張したのちの栽培スペースも手狭になってきているのでこれからの栽培についても考えていこうと思います。

 また、拡張の大変さはあったとはいえ室内で栽培したのはよかったと思います。冬も深まり、寒くなっていく中で毎日ベランダを開けて植物を観察するのは大変です。室内栽培では手の届くところに鉢があるので毎日観察することができ、水やりのタイミングなどを細かく管理することができたと思います。毎日鉢を移動したりするのは植物にとっても負担ですし、自分的にも負担が少なく観察を続けられたと思います。そして、そして、すぐそばにあるので、植物をすごく身近に感じることができました。自分の家の窓際の日当たりのよさもあると思いますが、アルミホイルでの反射板などの工夫でうまく栽培を続けられたと思います。

 もう一つ感じたのが植え替えの難しさです。今までの感覚としては植える場所を変えても大して植物に影響はないと思っていました。しかしながら実際に植え替えをしてみると植え替えしたものとしていないもので成長に大きな差がでて、これにはとても驚きました。オガタさんのコメントでは植物には植え替えが苦手なものもあるということを教えていただき植物のデリケートな部分も知ることができました。次回また一から栽培するときにはそのような植物のストレスや鉢の大きさや植え替えのタイミングなどいろいろと試してみたいと感じました。


(2)他の科目などへの波及効果

 私はこの講座を続けている中で、なにか独自性を出したいと思い、この講座と創造工学研修の課題を絡めることにしました。創造工学研修ではraspberry pi を使った電子工作をするという課題が出されていたのですが、それと植物観察を絡めるときに苦労しているのがパラメータの設定です。普段植物を観察するときには何となく色がいいとか悪いとか、見た感じ土が乾いているとかというすごく曖昧に、主観的に判断していると思います。しかしながら機械は主観的な判断はしてくれません。葉の色一つにとっても色は三原色で計測してどの色の要素の割合が多いからこの色というように計測します。どこからが色がいいのか悪いのかなど明確な基準が決まっていないものを判断させるのは非常に難しいと感じました。水やりのタイミングにしても土の色を見るのなら土の輝度や植物のしおれなど様々なパラメータが考えられます。私はこの講座を進める中で普段自分たちが何気なくやっていることを機械や人工知能に代替えする技術の大変さを感じることができました。また、普段自分が何を基準にものごとを判断しているのかを機械という客観材料を基に考えることができ、とても面白かったです。ここで気づくことができた実生活の判断の曖昧さはこれからロボティクスやAIについて学んでいくうえでとても大切だと思いました。


(3) 毎日の観察について

毎日観察という面では大変な面もありましたが、日々植物の成長を感じられるのはとてもたのしいものでした。大学に入学してからの激動の日々がひと段落し、日常が単調になりかけていたタイミングで植物を育て始めたのは毎日変化を感じられるという点でとても良かったと思います。種を植えたての時は日々の変化が大きく見ていてとても面白かったです。成長がゆっくりになってきた今でも毎日見ているのにある日突然成長に感慨を覚えたりします。ブロッコリースプラウトの栽培はその驚きの最たるものでした。種を植えてから毎日センチ単位で成長するので中間レポートにも書いたように生命の持つ力に感動しました。

 また、葉の色が薄くなっていたり、しおれていたりしたとき、肥料をあげたり、水をあげると次の日には目でわかる変化が起きます。このように自分の処置がすぐに目にわかるのはとても良かったです。観察を通して変化の原因に何があるのか、またそれを解決するためにはどうしたらよいかを考えながら対処していくのはとても楽しく、やりがいのあるものでした。これらを通して観察して原因を探る考え方や姿勢を養うことができたと思います。

そして、記事の投稿のたびに先生方から細やかなコメントを頂けることは毎日観察を続けるうえでとても良いモチベーションになりました。栽培に関するアドバイスはとても参考になり、新たに学ぶこともたくさんありました。


(4) 文章を書くという点での変化

今まで、このように定期的に文章を書いて投稿するということはしたことはありませんでした。私は文章を書くのがあまり得意ではなく、最初は毎週投稿することに少し不安を感じていましたが回を進めるにつれだんだん慣れてきて投稿するのが苦ではなくなりました。最初は量を書くことだけにとらわれて悩んでいましたが最後のほうは報告すべきことをわかりやすく伝えられるように意識しました。量を書くことを意識しなくなったことで意識を内容に向けることができ、より良いものを書けるようになったと思います。また、他の受講生もいるのでその文章を参考にしたり、自分の文章を書くことのモチベーションにできたりしたのはとても良かったと思います。

量を意識してしまうとありきたりな文章になってしましがちですがこの講座は日々の投稿ではそのような文字制限がないので自分の書きたいことをかけてとても楽しかったです。今までの文章を書くことへの苦手意識が少し和らいだように感じます。


(5) 自然科学的な見方について

私は飽きっぽいところがあり、コツコツとデータをとって記録するということが苦手です。しかし、この講座では毎日写真を撮って記録をする必要がありました。これをすることによって植物の小さな変化に気づくことができ、それを対処していく中で最適な対処を確立することができました。例えば水やりなど初めはどのくらいあげればよいかわからなかったものが後半では程よい量がわかるようになりました。しっかりと観察し変化をとらえ、原因を探り、解決のために試行錯誤することは自然科学の研究の根底にあるものだと思います。また、客観的に物事を見るためにはデータをとることが重要だと思いました。私はこの講座の中で写真や気温以外のより細かなデータを採取することはあまりしませんでした。他の受講生の中には正確に葉の大きさや株の高さを計測し、グラフにして考察することでとても興味深いデータを得られており、データ採集を怠ったのはこの講座での反省点です。また、自分にはなかった葉の出方や葉の位置による成長速度の違いなどについて考察している方もいてとても参考になりました。継続的に同じ視点からデータをとるとみずやりのように感覚的で主観的なものではなく、だれが見てもわかる客観的な考察ができるので研究には必要不可欠な要素だと思います。(2)でも書きましたが客観データでないと機械も認識、判断できないのでこれは工学分野にも通ずる考え方だとおもいます。自分にはまだこのコツコツとデータをとることが苦手なのでそこをこれからの課題にしていきたいと思います。しかし、この講座を通して自分の面白いと思う観察対象ならあまり苦にならず観察が続けられることがわかったのでテーマに向き合い、深めていくことも大切だと思いました。


(6) 以上の(1)~(5)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいか

この講座はでは毎日観察をするという点で他の授業とは違うものでした。観察を通して客観的にデータをとり、考察していくことの大切さを学びました。これから研究室に入るうえではこのような自然科学的な考え方や機械への応用のための考え方は必要不可欠であるとおもいます。この講座で触れることができた観察して原因を探る考え方や見方を忘れずにこれからの学習に臨んでいきたいと思います。

文章力の面では文章に対しての考え方が量より質という考え方に自分の中で変わりました。中身のない文章を書くより伝えたいことをしっかりとわかりやすく伝えることが大切であると思います。これから様々なレポートを書く機会があると思いますし、将来的には卒業論文等も書くことになります。それらを書くときに量だけ書いても中身がなかったら意味がありません。自分の伝えたいことがどうすればわかりやすく伝わるかを意識しながらこれからレポート等に向き合っていきたいと思います。

 まだ栽培中の野菜たちはまだまだ成長途中で収穫までにはもうしばらく時間がかかると思います。(1)で書いた栽培スペースの問題や春休み中は長い間家を空けてしまうなど問題は山積みですが、最終発表ののちもしっかりと観察を続けて栽培をやり遂げたいと思います。また、種はまだたくさん残っているので来年度第二弾を育てられたらなと思っています。


最後に投稿の度のコメントや栽培に関するサポートなどありがとうございました。

コメント

工学部・田村さん

 おはようございます、遺伝の渡辺でございます。講義のスタートで、1名の受講生が室外での栽培は難しいといっていましたが、そうでない受講生の田村さんも、光、温度を調節しながら、ここまで育てたのはたいしたものというか、室内スペースを植物のために拡張するというか、何かをやるとき、他のことが犠牲になることがありますが、これからの工学の専門での実験でも何かを達成するとき、無理がかかるところがでてくると思います。どうやって相互の折り合いをつけるのか、そんな時、この講義のことを思い出して、バランスを取ってもらえればと思います。あと、思ってないところが繊細であったりすること。これも実験にはつきもの。その繊細さを手先の器用さで何とかできるのが、日本人の良さだと思っていますので。

 この講義と他の講義を完全に融合してということをされたのは、田村さんがはじめてだと思いますし、感動ものです。立派です。完全な完成を見ることはなかったですが、工学部らしい、自動での観察装置。なかなかのものでした。記事を見ながら、思い出したのは、渡辺よりも3級くらい上の工学部の卒の方で、高校教員で自動観測装置を作っていたのを。それも、古くて使わなくなった器機を組み合わせて。是非、これからも講義を融合して、何かをするということ、チャレンジしてみて下さい。もちろん、残された課題の「三原色」の問題。これは、たくさんのdataを集めて、基準を作ると言うことだと思います。もちろん、栽培条件、栽培時期などによって、また、栽培した植物種によっても違うわけですが。そうした条件撮りの大変さも体験できたことは、ものづくりに活かされると思いますので。大事なこととして、覚えておいて下さい。

 植物も工学も常に、注意を向けること、大事なことで、それに苦がないというはniceです。何かの施設であったり、機械を動かしたとき、一定の安定した状態になるまで、観察は不可欠です。うまくいかないとき、どこに原因があるのかをしっかり観察から考えること。また、自分が気がつかないとき、一緒にやっている方に気が付きをもらうかも知れないです。そんなことを大事にして下さい。それから、長い文章を書くこと、1つの習慣にして下さい。それから、文章制限がないとは言え、意味のある長さの中に、自分で制御しておさめる、冗長になっても、おもしろくないことになりかねない部分もありますから。それから、日本のものづくりの基本というか、コツコツとやり続けたところは大きかったと思います。苦手とありましたが、これをきっかけに、是非、日本のものづくり、再興に向けても、是非、コツコツと物事に向き合う姿勢を身につけ、高みを目指して下さい。

 数値データを取ることは、これから頻繁になると思います。その時に、他の受講生の方が解析をしていたのを思いだして、多様な表現があったかと思います。それを参考にして、どの様に見せることが、その本質を表せるのか、是非、考えて見て下さい。長い春休みを計画ですか。。。これだけ大きくなった植物には、酷ですね。今日のように、暖かい日もあれば、来週は雪の日が続くという予報です。しっかり収穫して、食するためにも、その対策だけはしっかり立てて、「頂きます」という言葉を大事にして下さい。もちろん、来年度の第二段、welcomeです。この展開ゼミよりも少しはやく始めると、来年の受講生のよい意味での参考というか、先輩として、かっこいいと思いますが、いかがでしょうか。生き物も分かる工学を目指して下さい。楽しみにしておりますので。


 わたなべしるす