東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

報告11(ハツカダイコンの72日目~77日目とルッコラ3回目;2177文字)(文:鈴木亮祐)

2018年12月23日 (日)

はじめに

今回は投稿が日付変更線を超えてしまいました。申し訳ございません。なぜか写真をアップロードしようとすると、固まってデータが消し飛びました。

先日七北田公園に行ってイルミネーションを見てきました。木の周りに電飾がくっついていて、とても綺麗でした。そこには他にキャンドルや植物がありました。それらを見ると、同じ植物といっても葉の形や葉脈が全然違っていました。名前は申し訳ないことに覚えていませんが、そこで見た植物と、自分の育てているハツカダイコンの葉を比べてみると、ある事に気が付きました。それは、葉脈は左右対称に走ってはおらず、同じ葉脈が左右少しずつずれて交互に伸びているということです。このことは、同じ葉脈の模様をもつ植物と同じでしたが、七北田公園で見た植物のほうは、葉の付け根部分にある葉脈だけは左右対称になっていました。なぜ左右対称にならないのかを考えてみました。それは葉全体にくまなく栄養を送り届けるには少しずらして走らせたほうが少ない本数でより広範囲に栄養を供給できるからではないかと考えました。

また、平行脈を持っている植物を見ると、ほとんど見えないほど葉脈が細く浅いように見えました。一方でハツカダイコンを見てみると、葉脈がはっきりと見えました。この違いがなぜあるのか、どのように生存に貢献するのか分かりませんが、とにかく植物には人間と同じかそれ以上の多様性があるということを実感しました。

さて、今回はハツカダイコンの観察結果とルッコラの栽培開始について載せたいと思います。

ハツカダイコンの観察結果

12月18日(1回目のハツカダイコン:72日目 2回目:46日目)の全体像

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20181223174216-c8ff7eef5a1fda7f521d088d7e962ad05433730d.JPG20181223175700-1f652d78e03ccbf8bb68e795072381a19206233b.JPG20181223175852-f4b97f5261272add426990db6add3d3e8c2a3a67.JPGこの日に追肥を行いました。これからはハツカダイコンをより膨らませるために追肥をしっかりやっていこうと思います。しかし、追肥は1回目のハツカダイコンにとっては良いでしょうが、2回目のハツカダイコンにとっては良いのか悪いのか分かりません。これがどんな影響を及ぼすのか注視していきたいと思います。

なお、本葉の大きさを測ったところ、1枚目は5.8cmでした。

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2枚目の本葉も5.8cmでした。20181223201513-16e80572aff49c84bf01d5e0488d5b9e66c0249c.JPG

3枚目の本葉は5.1cmでした。20181223201721-396ee487fc0a8c2798c5a2b1956e634d28c2acf0.JPG

4枚目の本葉は4.5cmでした。20181223201903-d22418c347d021f0ba80cec1462a9a54ae6d2f18.JPG

5枚目の本葉は4.4cmでした。20181223202146-8b4090db7eceeb58ca9812fc4cae760f7d9a6141.JPG

6枚目の本葉は4.8cmでした。20181223202416-d0f94f6b501e385bf4652b87df5b55a3b9aefb0c.JPG

7枚目の本葉は2.9cmでした。20181223202630-17bff55917571b691da703e53a6b732af6a6ac2a.JPG

また、8枚目の本葉も成長中です。20181223204023-7eacae08a606a96007d454747ee005a0afba96f7.JPG

しかし順風満帆ではなく、2つの失敗をしてしまいました。

1つ目は、水が下に出てくるまで、かなりの時間がかかっていました。これは良い兆候なのでしょうか、そのせいでなかなか下から水が出てこないため、水が足りないのではないかと思い、水を多くあげすぎました。後から水が出てきたときに、鉢受けに落ちていた土が水に浮かんでいました。

2つ目は、植物が倒れてしまいました。原因は、今回は2つほど候補が考えられます。1つ目は前回と同じく風のせいです。私はこの可能性が高いと思いますが、しかし、1回目のハツカダイコンのみが被害にあっていたため、腑に落ちないところがあります。2つ目の原因は、猫です。先日、アパートの廊下に猫がいるのを発見しました。もしかしたら、猫の通り道になっているかもしれません。しかし、これにも不可解な点があり、これが原因である可能性は低いと考えられます。

また2回目のハツカダイコンは、いつも測っている本葉の長さは、2.6cmでした。20181223204322-21e1bb84ec2e02c5e5f49eb8aad6807306d1d0f0.JPG

加えて、開き始めていたほかのハツカダイコンの本葉も、さらに成長して、葉っぱらしい見た目になってきました。20181223204900-ac07af759323e065c97335570e235db55e373858.JPG12月20日(ハツカダイコン1回目:74日目 2回目:48日目)の全体像20181223233034-9ba331f011545f63a6e82dfebf505054d4178ec7.JPG20181223233459-47f3265f637854d5418e2e093e275b2eb9c43096.JPG20181223233623-49a4af72e01ce2357f3941532a311ceb044c4996.JPG20181223233952-d150c1bf793dd685498a8cae04747598e67656c5.JPG

この日は風が強かったため、部屋において育てました。部屋に置くと、風から守れるうえに温度も高いため栽培には好環境ですが、一方、太陽光がほとんど当たらないため、悩ましいところです。

本葉の大きさは、1枚目が5.9cmでした。20181224000400-d24853c2f3f28d301ebf4221d89ccac15db9dc7b.JPG

2枚目は5.8cmでした。20181224000521-f4324146faf16df4bfbfe252f8e65c465320ee20.JPG

3枚目は5.1cmでした。20181224000624-08542f7fb2fd0d839e9d178f7dd853fad8c80954.JPG

4枚目は4.4cmでした。20181224000952-da26ab0ed257da9875d737d1430330d41ddeb10f.JPG

5枚目は3.9cmでした。20181224001208-b132d281d606e56d4f7ca36545bf58521ce065b8.JPG

6枚目は4.9cmでした。20181224001322-0d461f3b9d8d016c5d0fb71c9413800b630579af.JPG

7枚目は3.2cmでした。20181224001643-80f24e0ad2f8418ef612e48f543db843b2ec9f9f.JPG

また、8枚目の本葉は葉が開き始めていました。もう少ししたら、大きさが測れると思います。20181224001847-b69d9e43872aef987677e92fdcc0326874a01e55.JPG

膨らみは縦方向に広がっていました。

2回目のハツカダイコンについては、いつも測っている本葉の大きさは2.5cmでした。20181224002100-9fde5482695448efa680b1c7305e8b0f2ecf7300.JPG

ほかの個体についても、葉がしっかりと見えるほどになっていました。こちらもそろそろ大きさを測れるようになると思います。20181224002218-4b683b8ccf15aaf31a695639a49603f23971a056.JPG

12月23日(ハツカダイコン1回目:77日 2回目:51日目)の全体像

20181224002411-a2dc41ac03c9e55ed227bff8eec4da7e8fb963bd.JPG20181224002557-9f4889e91b72a85d8ef6e427f7c705b9a69e9f7e.JPG20181224002831-18116e97a302273f6b75ca50876a4c34223178e0.JPG20181224003013-21b8fdb93bf9bbf19f8ff21fd50145df1925815b.JPG

膨らみがより大きくなりました。いつになったら収穫できる大きさになるのか気になりました。20181223235802-ccde501431d3b52ceea36e5e58ce611d2fff4652.JPG

また8枚目の本葉の大きさを測ることにようやく成功しました。大きさは1.2cmでした。20181223235450-63a017eb7178ab93351cc530a811991ea25810ff.JPG

2回目のハツカダイコンについては、いつも測っている本葉は2.7cmでした。20181223235258-33a3dc3dbf97b562d38b837e2aff0943301e63cb.JPG

また、いつも観察している個体の本葉は、大きさが2.7cmになっていました。20181223235002-bc53555797636281c496a9c0f0b4dc2eaeb1b70b.JPG

また、本葉の間からさらに小さい本葉が出ていました。20181223234831-f86c2d77649f7b5eebee79501cff2a8412b87136.JPG

ルッコラの栽培開始

ルッコラは、12月20日に栽培を開始しました。20181223234158-1c86149b5c96ee13e792dc857eb08e4861a3e153.JPG20181223234555-f8cf9aab94feeb75975374c0f1f818b45d1ea370.JPG

今回もアルミホイルにくるんで遮光を行います。カビをはやさないように注意したいです。

12月23日(栽培開始から3日目)の午前10時51分に根が出ているのを確認しました。20181223232846-94f0d2b99c583deb78a33f8641307b2beb4670de.JPG

全体像は以下の通りです。20181223232639-a0b1b7c76b4fa61093850683b0d2750471abdda5.JPG20181223232320-ceea8186e0aaa9cb6b177490a2e70a99e13633dc.JPG

今回は、カップ麺の容器の中に入れて、さらにこたつの中に入れて遮光、保温の両方を行っています。20181223231926-29068546786adbae2cce9d8667328ded8383c657.JPG終わりに

次回はハツカダイコンとルッコラについての観察記録をのせたいと思います。

今回の文字数2177文字。

コメント

鈴木さんこんにちは

 七北田公園でイルミネーションついでに植物も観察しましたか。そういう関心を持っていただけるところがいいですね! この展開ゼミの目標の一つは、今まで関わりの無かった植物の世界の一端を知ることだからです。世の中の分野というものは物凄い数があり、全部を知ることはできませんが、多少なりとも知って関心を持つことは大事です。

 逆に私の方も知る分野は少ないかもしれません。先日、宮城第一高校の生徒が研究室見学に来ることがありまして、その際引率の先生から教えてもらったことがあります。「水鏡」「大鏡」などの古典がありますね。その「鏡」というのは、古来日本では単なる光反射の道具ではなく、真実を見せるもの、という意味があるらしく、それで名が付けられたということです。確かに考えれば銅鏡は神具ですね。文系の人には当たり前のようなことかもしれませんが、私には新鮮に感じました。

 さて、さらに葉脈の対称性まで見ています。何の植物か分かりませんが、葉の中で対称性を変えるものがあったのですね。なるほど、子供の書く葉っぱの葉脈は互い違いのと対称なのとが子供によって分かれます。自分の経験とイメージなのでしょう。

 平行脈の単子葉植物のことも考えましたか。正直、そういった形態と植物の生存戦略との関係は想像するしかありません。類推することが精一杯で、実験的にはできないことが多過ぎるのです。そういった形態を成すための遺伝子さえほとんど不明ですから。いつかは形態と生存との関係を物凄いデータ量と解析力を駆使して明確化(ビッグデータ解析)できるかもしれませんね。

 ハツカダイコンはゆっくり育っています。後のものは多少ごみごみしてきましたね。追肥について、これは与えてもかまいません。土を使用して、言い換えれば水やりを始めてから肥料分が徐々に失われていくからです。

 水やりについて、根が張ってくると水の浸透性が悪くなるために時間がかかります。それでいいのです。水を与え過ぎても流れ去る分には問題ありません。かえってそれを恐れて水を少なく与えると、根に酸素供給が充分なされません。

 鉢が倒れた原因は分からないのですが、ネコというものはとんでもない悪さをするものです。私の家でもネコが水遊びで床水だらけなんてこともよくありますから。

 鈴木さんの場合、室外の風がこれまでの報告によるとけっこう強いようです。風により茎にダメージがきたり葉がこすれたりします。ですが、光が足りないよりはずっといいので、あくまで室外を推奨します。例えていえば、子供にご飯を食べさせないで毛布にくるむようなものです。根の肥大がようやく始まっていますから、ここでつまづくことなく収穫までもっていきましょう。

 さてルッコラのスプラウトにまた挑戦ですね。こたつの中、まあ面白いことですね。正直温度が想像つかないのですが、ヒーターを入れず、30℃を越えなければよい場所かもしれません。

ではまた

ラボスタッフ オガタ