東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

12. ミズナ紅法師 赤丸二十日ダイコン ニューコメット⑨ 収穫・食(宮教大:金あおい)

2019年1月18日 (金)


ミズナ(ミズナ紅法師)、ニューコメット(赤丸二十日ダイコン ニューコメット)を育てています。

今回は、前回収穫した紅法師と、ニューコメットについて、ご報告します。


オガタさんからのコメントに対して

コメントいただき、ありがとうございます!

 逆に日照があれば、外気より15℃も上がったのですね。これは順当です。ガラス面が曇ったということはそれなりに温度が高くなって蒸発したということでもあり、また隙間が案外少なくて水蒸気が逃げなかったということです。もっと密封性が高ければ温度はもっと上がって植物には良くなかったでしょう。日中20~25℃くらいが光合成に適していて、さすがに30℃を超えると枯れることはありませんが良くはありません。つまり隙間として適正、あるいはもう少し隙間があってもいいですね。

→ 温室の隙間をもう少し空けることにいたします。

・ ハツカダイコンの葉が若干枯れているでしょうか。まあ葉が大半枯れたり、あるいは根が割れるなどあればもう収穫した方がいいですね

→ 残り1つ二十日ダイコンがあるので、そろそろこちらも収穫したいと思います。

・ 記事では段階を追って収穫されているようです。その食レポもお待ちします。

→ 今回、収穫した野菜の観察と、食レポを致しました。

・ 株間は狭いのですがミズナはけっこう葉がスカスカなせいか密植に耐える植物ですから気にしなくともかまいません。ですが大きさ的には収穫してもいい時分です。まあ、最後2株だけ残して、本来のミズナのかなり大きい状態を見るのも面白いかもしれません。私も見たことがないのですがけっこう大株にもなれるようです

→ ミズナの最大の長さを計測してきましたが、長さの伸びが停滞してきました。収穫しようと思います。大きい状態のミズナも見てみたいと思いました。

・ 確かに葉の白い斑点は白斑病かもしれません。この病気で枯死に至ることは少ないですし、食べても害ではありません。病気ということでは葉が元から抜ける、という方が気になります。得てして水やりが頻繁すぎるとそんなこともあるのですが、病気でなる場合もあります。菌核病や軟腐病ですね。これは白斑病よりも致命的になりやすい病気です。もしどんどんと葉が萎れて抜ける感じがありましたらお知らせ下さい。

→ 前回の報告で、「ミズナの中に枯れているものがありました。茎のもとの部分がポロっと落ちてしまいました。形はとがった形をしていました。」と書きました。枯れていた植物を観察しようと触ったところ、手で簡単に取れてしまいました。もう枯れて落ちる直前で、とれやすかったのかもしれません。


〇 86日目 約2℃、約60%(15:53頃) 

 ①鉢で育てた二つのうち右側のニューコメットと、別のプランターで育てていた②ニューコメット③ミズナを収穫致しました。

① 鉢で育てた右側のニューコメット

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 プランターのと比べると、葉が小さめに育ちました。赤い部分は、下に向かって円錐に細長く伸びていました。

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質量:15g

葉の枚数:10枚

赤い部分の直径:2.4㎝

分かれ目から上の本葉の最大の長さ:10.2㎝

分かれ目より下~細い根が生えているところより上:5.3cm

細い根が生えているところより下:2.8cm

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収穫する際、側根は先端が一部ぷちっと切れてしまいました。

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② 別のプランターで育てていたニューコメット

 以前間引いたものを、別のプランターで育てていたものです。広めのプランターで、大きく成長していました。

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 鉢よりも、葉が大きめに育ち、枚数は比べて少ないです。

丸々と下の方まで肥えていました。

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質量: 38g

葉の枚数:8枚

赤い部分の直径:2.7cm

分かれ目から上の本葉の最大の長さ:12.7㎝

分かれ目より下~細い根が生えているところより上:5.5cm

細い根が生えているところより下:6cm

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側根は両側についていて、長いもので2cmありました。

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⇒ ①、② について 

 二つの二十日ダイコンは、形が大きく違っていて驚きました。

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 よく観察すると、側根は、下に行くにつれて短くなっていました。

 赤い部分に、丸い穴が開いていたり、ぶつぶつとくぼみがありました。これは、なんでしょうか。なんだか顔のように見えて可愛らしいです☺

 二十日ダイコンの部位の名称について、授業で聴いたのですが、茎の部分と根の部分が考えていた場所とは違っていました。赤い部分には茎と根が含まれているそうです。

 ⇒ 収穫したニューコメットを切ってみました!

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 二つを比較すると、断面の色が違っていました。どちらもみずみずしいです。内側中心から外円に向かって、放射状の線が見られました。

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 どちらも中心が黄緑色となっていましたが、特に、①鉢で育てた小さいニューコメットは、全体的に黄緑色で、しんが緑、味は、最初は甘く後から辛さがありました。おいしいです。

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 一方、大きめの②ニューコメットの方は、全体的に白っぽく、しんが少し黄緑色で、食べやすく甘くおいしかったです。

 生の葉は植物の葉っぱの味、ちょっとえぐみが残りましたが、煮ると食べやすくなりました。

③ 別のプランターで育てていたミズナ

 ミズナをカットする前の、別のプランターのミズナの様子をご覧ください。

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大きいもので30cmの大きさがありました。

(表。裏の順に。)

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 味が濃かったです。クリスマスに食べるクレソンと同じように肉と合いそうです。

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 塩と胡椒とバルサミコ酢とオリーブオイルとあえていただきました。おいしかったです。


〇 87日目 温室内: 約2℃  外の温度:―1℃ (16:55頃)

 この日も、サラダが食べたいということで、二十日ダイコンミズナを収穫しました。

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質量: 42g

葉の枚数:11枚

赤い部分の直径:2.6cm

分かれ目から上の本葉の最大の長さ:15.5㎝

分かれ目より下~細い根が生えているところより上:7cm

細い根が生えているところより下:6cm

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今まで収穫してきた中で一番大きい質量の42gでした。

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顔のようにみえます。

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 葉も大きく成長していました。

 断面は、緑のしんがあり、ちょっと辛かったです。

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 ミズナは、数10本、プランターから収穫しました。

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少し塩味があり、うまみがありました。

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 オリーブオイル、胡椒、塩、バルサミコ酢とあえ、サラダにしました。ローストビーフの付け合わせでクレソン的に食べました。色どりがきれいです。

 二十日ダイコンの葉っぱは、トマト煮に入れました。材料は、トマト缶、コンソメ、ミックスハーブ、月桂樹、ブラックペッパーベーコン、しめじ、キャベツ、じゃがいも、タマネギ、ダイコンの葉です。 

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〇 90日目 温室内 約4℃ 約60% 外の気温:1.5℃ (20:50頃)

鉢で育てている、3つ株があるミズナのうち、右側と真ん中の背の高いミズナ紅法師を収穫しました。

 今回収穫したミズナは、葉の裏まで紫色になっているものもあります。

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また、斑点があるものも一緒に収穫しました。これは、ラーメンの具になりました。

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サラダでおいしくいただきました。

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本日の記事の文字数(2816)

コメント

金さんこんにちは

 こちらからのコメントに対し、引用しながら細かく対応して頂きありがたいですね。こちらとしては、その通りにしてほしいというわけではなく、レスポンス自体を頂きたいと思っています。はたして考えてくれているか不安ですから。もちろん植物を直接観察している受講生の方が情報量は豊富なので、コメントを参考にしつつもご自分で考えて下さい。

 さてコメントへの応答の話です。ミズナに関して、おそらく葉の長さ自体はもう変わらないでしょう。これからはひたすら葉の枚数が増えます。そして、いわゆる側枝(といってもミズナの場合、枝が短いので事実上葉に隠れて見えない)を出して、見かけあたかも株が増えたかのように成長するでしょうね。

 葉が取れた話では充分に枯れた葉だったのですか。ミズナはあまり枯葉でも葉の付け根に離層形成はしないものですが、それでも離層のため取れやすくなったのでしょう。それだけであれば病気ではなさそうです。

 ハツカダイコンの収穫を細かくレポしていますね。この品種は表面が赤い色で、中は白く、円形よりやや細長いものなのですね。ハツカダイコンは品種によって白いもの、中までピンクのもの、ほぼ円形のものなどいろいろなタイプがあります。

 直径2.4cmですが長さはそこそこあり、ハツカダイコンの収穫時期としては良い時分だったのではないでしょうか。ちなみにこの食べる部分について授業で聞いたとのことですね。実際、ダイコンではほとんどが根の太ったところです。しかしカブでは逆に根ではなく胚軸(茎と言えなくもないが、厳密には根でも茎でもない)部分が太ったものです。ハツカダイコンの窪みについてよく見ました。ダイコンは根なので、側根が分岐しています。その側根のついているのが窪みです。普通のダイコンでもそうです。胚軸から側根は出ません。

 プランター栽培と鉢栽培の違い、順当に考えれば土の容量が大きいプランターの方が条件が良さそうです。それでより大きくなったのでしょうか。しかしそれだけの違いでもなさそうですね。内部の色の違いが、画像で対比するとはっきり出ています。土寄せの違いや光の当たり具合の差でしょうか。普通に考えれば根に直射日光で、わずかな緑化があったのかもしれませんが、厳密には分かりません。また味の違いが面白いですね。人間の舌はかなり鋭敏なセンサーです。アウトプットが数値化できないのが惜しいですが、わずかな違いを区別できます。ダイコンはどちらかというと肥料が多い方が辛くなりやすいもののようです。しかしそうすると大きさの違いが肥培の問題ではないということで、面白いことですね。

 どんどんとミズナも収穫していってます。味が濃い、という表現です。当研究室のミズナは肥料やりすぎで苦い感じがあったのですが、そちらはまずまずの食味で良かったですね。それにしても料理が、サラダにしてもトマト煮にしても高級な感じがします。バルサミコ酢やミックスハーブなど、一般家庭でそろえているところは少ないのではないでしょうか。食卓でなされている会話も貴族なのでしょうか。

 ハツカダイコンの大きさは、後で重量で見ていますね。この方が他の人も比較しやすく、便利な指標になることでしょう。

 関係ないですが、「顔に見える」というのは心理学で習ったでしょうか。人間の脳細胞には「顔細胞」というものがあります。この細胞の神経回路は、少しでも顔の要素のある視覚パターンを、抽出して繋ぎ合わせて、あたかも顔に見せるものです。おそらく「顔」は、人間のコミュニケーションにおいて、個体識別や、表情による情報伝達で重要な役割を持つのでしょう。だからそれに特化した細胞があるのです。このことは、単純な丸に点でも顔に見えさせてしまいます。そして自然界のちょっとした模様が顔になってしまいます。夏の夜の幽霊もほとんどがこの顔細胞による、パターン誤認だと言われています。

 さて、収穫で一応の目標は達成されました。後はどうするか、考えましょう。収穫し切るのも良し、花を見る、大株にする、などでもいいですね。

 全然関係ないですが街で見かけた缶、どんな飲み物でしょうね。

20190120152728-7847157806b03de6f9b9cf9aa0d86230d9a2b0ae.JPGではまた

ラボスタッフ オガタ

 

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