東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

5.これは結球の開始なのでしょうか??(農:粥川颯人)

2019年11月22日 (金)

自分で宣言した投稿日に首を絞められてしまった粥川です。

11/26にほかの授業のレポート提出と中国語のスピーキングテストがあるのについうっかり宣言してしまいました(笑)11/26に間に合えばいいので予定を変更してまず記事を更新してから次回記事の更新日をゆとりをもって設定することにします。

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さて、まずは前回決心したコメントへの返信です!といいたいところなんですが、時間の都合上割愛させてください。本当に申し訳ございません。次回記事でまとめてコメントさせていただきます。。。

さて、気持ちを切り替えて本題に入ります。今回の記事は、、、


〇キャベ男、ついに間引き

〇キャベ男の観察②(け、結球!?)


〇キャベ男、ついに間引き

11/18(播種から46日)、黒キャベツに引き続いてキャベツもようやく間引きを行いました。室内のキャベツは5個体植え付けて1個体死んでしまいましたが、屋外のキャベツは5個体すべて元気に生きていました。屋外にて、「どれ、間引きをするか」とよく見てみるとなんと違う種の植物が居座っています!

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正確にはかなり前から知っていたのですが、どうもかわいそうだなぁと感じてしまい、そのまま放置していました。ここまで育つとかなり養分持ってかれていますよね、、、

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さて、この植物の正体ですがほうれん草です。鉢に土を入れるときに「家庭菜園の土なら少しもらっても構わないだろう」と思い土を盛ったのですが、祖母がほうれん草の播種をし終わった後のようで種ごと土を掬ってしまったことが原因です。幸い、家庭菜園の土は少ししかもらわなかったので特に大きな損害もなく、祖母にばれることもなくことが済みました。反省。

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ちなみに、上の写真は我が家の家庭菜園ですがキャベツの鉢に生えていたほうれん草に一致していますね。

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また、11/22(播種から50日)にはやはり少し土が足りないかなと思ったので、家に合った培養土を根元のほうに足しておきました。写真ではわかりにくいかもしれませんが、かなり安定感が増しました。

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〇キャベ男の観察②(け、結球!?)

続いて、室内のキャベツと屋内のキャベツの比較です。日照量が足りていないためか、屋内のほうが葉の色が薄い(黄色っぽい)です。置き場に関しては一階か二階かの違いはありますが、面している方角は変わりませんし、カーテンの外にあるため朝日(夕日)の量が違うということもないです。そうなると考えられる原因は二つです。

① 温度条件が悪い

② ガラスがキャベツの生育に必要な波長の光をカットしている

夜は室内で暖房をつけ始めたので一番ありうるのは「①温度条件が悪い」だと思います。キャベツのためにも外に出してあげたいところですが、あくまで「キャベオはインドア派かアウトドア派か」を調べる実験なのでぎりぎりまで粘ってもらわねば困ります。

②に関しては葉緑体の吸収スペクトルの違いによってありうる話だなとは思います。窓ガラスを透過する光と自然光ではだいぶ色味が違いますし。自分でも調べてみたのですが、だそうです。面白い話も見つけたので後ほどご紹介します。

また、風の要因もあるのではないかなと思い調べたところ特に色素に関する記述はありませんでした。こちらのお話も後ほど紹介しますが、高校生物で全く触れられてこなかったので何か詳しい情報がさらにあれば教えていただきたいです。

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次に、見出しからずっと気になっていたかもしれませんが、うちのキャベツが結球しかけているのかもしれません。

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今まで葉は外側にカールしていたのですが、11/22(播種から50日)の朝に確認してみるとなんと内側にカールしていました!2016年11/11の福島さんのキャベツの様子とも葉の付け根の部分から内側に向かってカールするという点で共通点があるように思われます。時期や葉の大きさなどは福島さんに劣りますが、この栽培の目標の一つである「キャベツを結球させる」という目標に近づいてきたのではないかなと思います。

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ただ、気になる点としては元気がいいはずの屋外のキャベツではほとんどカールがみられないということです。こうなってくるとこれは結球ではなく「インドアキャベ男の死期が近いのでは、、、」とも思ってしまいます。期待と不安が入り混じっておりますが、とにかく経過観察を続けたいと思います。

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【面白い話】

ここで吸収スペクトルの話に戻ります。先ほど「青色光や赤色光の吸収率が90%であるのに対し、緑色光の吸収率は70~80%」との話をしました。しかし、葉緑体のみを取り出して特定の波長の光を当ててその吸収度合いを調べると、緑色光の吸収率は青色光や赤色光の吸収率の三分の一程度になってしまいます。

*1画像検索で信頼できるサイトの画像がなく、手元にあった浜島書店の新生物図表P146を模写したグラフですがご容赦ください。

*2横軸は波長(nm)、縦軸は光の吸収率の相対値です。単位・題名等入れ忘れるのは理系としてあるまじき行為です。すみません。

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この謎には屈折率が関係しています。葉の細胞の屈折率と細胞間隙の空気の屈折率の違いから、葉に入った光が葉の内部で何度も屈折し行ったり来たりします。この間に徐々に緑色光が葉緑体に吸収されるため「青色光や赤色光の吸収率が90%であるのに対し、緑色光の吸収率は70~80%」になるのだそうです。おもしろいですねぇ!

ちなみに、この話は全て日本植物生理学会のサイトから得た知識です。Q&Aの数も多く、回答もどこかの大学の教授が行っているのでかなり面白い話が載ってますよ!

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さて、それでは今回の記事はここらへんでお別れということにしたいと思います。記事のテンプレートが自分の中で出来てきたからなのか、タイピングが早くなったからなのか、心なしか記事作成のスピードが上がった気がします。

来週はチャイ語のスピーキングやらレレポート二本やらTOEFLでかなり忙しくなりそうです。それを見越しての早めの更新というわけでした。ということで、次回の更新は12/1です!

(2334文字くらい)

コメント

粥川さんこんにちは

 展開ゼミ始まって以来のイラスト名人ですね。こういう才能を無駄にすることなくいってほしいものです。

 今回の主眼は間引きですね。どちらの鉢も2株残して間引きです。今年の受講生は全般的に間引きが早めかな、と感じます。もちろん遅過ぎるよりは早めでもいいのですが、間引き株の食用の楽しみは薄れるように思います。

 間引きの時に混入していたホウレンソウも取りましたか。まあ、そういうこともあります。

 家庭菜園の方のホウレンソウは立派ですね。しかもビニールトンネル...... 手数をかけて本格的な栽培です。実は私も家の庭にホウレンソウを蒔いていますが、まだ本葉一枚の段階で、ビニールなどかけずにほったらかしです。そのうち雪に埋もれ、来春育って収穫できる見込みです。ビニールトンネルならば冬でも収穫できるのでしょうが。

 話は戻って鉢のキャベツ、増し土をしましたか。強風に煽られないよう、しっかり土寄せして固定してやって下さい。

 次に室内キャベツの色合いについてですね。いくつかの考察がなされています。日照量が同じという仮定が本当にそうなのか分からない(たぶん違う。例えば二重ガラスなら透過性は八割しかない)のですが、考えてみることは大事です。

 確かに温度条件かもしれませんね。室内の温度は室外とはもうだいぶ違うはずです。あるいは、言われる通りガラスの透過性の問題かもしれません。実は窓ガラスの中でも「機能性ガラス」と言われるものがあります。紫外線吸収ガラスなどはよく知られる機能性ガラスですが、住宅用には「熱線吸収ガラス」や「ヒートミラーガラス」などが使われます。これは薄く金属膜を張るなどして、赤外線の透過を妨害して冷房効率を良くするとかの意味があります。その場合窓ガラスが薄緑色だったり薄紫色だったり、わずかな着色が感じられるものです。面白いことに住宅メーカーごとに個性があり、セキスイハウス系は薄緑色、セキスイハイム系は薄紫色を好んで使うようです。

 さて葉緑体のスペクトルの話はよく引用できています。確かにそうやって植物は太陽エネルギーをスペクトルごとに戦略をもって吸収しているようです。別欄にグラフまで書いていますね。手書きでもとても分かりやすく書けていると思います。この話のキモは、強光下では植物に光合成能がパンクして、細胞自身が障害を受けるのを回避け(光呼吸)、エネルギーを無駄にしてしまうことです。

 ちなみにですが、人間の網膜の感光色素は三種類あるのはご存じだと思います。このうち赤の色素は面白いことに、赤のスペクトルだけではなく、青よりも更に短波長のところにも吸収ピークがあります。ダブルピーク性があるんですね。

 その理解があってはじめて、なぜ赤と青を混ぜると紫色になるかという説明が付きます。波長の長い赤、波長の短い青、それが同時に来ると人間の目は青よりももっと短い波長、つまり紫だと思ってしまいます。 

 話を戻すと、風の要因も挙げていますね。その引用では植物ホルモンの話が主のようです。しかしそもそも微風は植物の光合成に必要な二酸化炭素の供給に役立つものです。通常の光の強さならば二酸化炭素の取入れが光合成に追い付かなくなるもので、0.5~1m/s程度の風があればうまく供給され、そのとき光合成能が最大になるそうです。もちろん光合成がうまくいけば植物はチャンスと思ってますます葉緑素を増やします。

 結球に関してはまだなんとも言えません。通常はそんな大きさで結球を始めるはずはないのですが、室内栽培という特殊条件下なので可能性が全くないとも言い切れず。

 記事作成のスピードが上がったのはいいことですね。自分のテンプレに乗っ取り、分かりやすく、過不足なく、効率的にいきましょう。

では12/1の報告お待ちします。

ラボスタッフ・オガタ