東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

キャベツの観察(理:福島和紀)

2016年11月23日 (水)

展開ゼミを始めてからふとしたときに足元にも目を向けるようになった気がします。上の写真は川内キャンパスのとある場所で見つけた花です。

カワラナデシコでしょうか?


前回の記事はコマツナの観察だったので今回はキャベツの観察です。
コマツナの観察同様にまずは写真を並べてみます。
11月11日 最高気温13.2℃ 最低気温11.1℃

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11月16日 最高気温34.2℃ 最低気温12.4℃

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11月21日 最高気温21.8℃ 最低気温13.3℃

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11月23日(投稿日) 最高気温23.1℃ 最低気温14.4℃

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気温に関しては野菜を置いてある近くで計測していますが、外の気温よりかなり高く出ています。
コマツナと同様に葉柄と茎が交わっている部分から生長している様子が見られます。前回いただいたコメントのように葉柄に印をつけてみれば客観的な観察ができたように思います。葉は左周りに出ているようです。
ブロッコリーを育てている受講生の記事を見て比べてみると、葉の形や葉脈の様子はブロッコリーととてもよく似ていると思います。
生長の場所はコマツナと同じなのですが、少し違う点があります。
キャベツ

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コマツナ

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これらは11月23日の写真です。コマツナはどの葉も同じ高さから出ていますが、キャベツは後から出てくる葉は高さが高くなっています。

茎が伸びて、葉がでるというまとまりを作る生長がが繰り返し行われているようです。
確かに、キャベツが後々球型になっていくことを考えればこういった生長をしていくことは納得できます。
先ほど同様に茎が伸びて、葉が出るという生長はブロッコリーも同じですね。

キャベツに関しては以上ですがコマツナにも変化(問題)が。
11月23日朝の写真なのですが・・・。

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葉が重なってしまい、光が当たっていない葉が黄色くなってしまっています。黄色くはなっていなくとも光が弱い部分は色が少し薄くなっています。
キャベツもコマツナもどちらも一週間に一度追肥をしてはいるので、肥料不足ではないのだと思います。

ここで思い切って、3本から2本に減らすのがいいのでしょうか・・・。
だんだん日が短くなってくると光の量も減ってくるので、室内での栽培も厳しくなってきそうです。だからと言って、外に置くことができないので室内でなんとかしなければいけないのですが・・・。

~番外編~
今回、調べたことは「フィトクロム」についてです。
植物の生長には「水」「光」「温度」が大切だと言われますが、このうち「光」「温度」にフィトクロムが関わっています。まずは「光」について。光は光合成だけに関わっているとばかり思っていましたが、そうではありません。フィトクロムには活性型、不活性型があり赤色光で活性型、遠赤色光で不活性型に変化します。フィトクロムは細胞質に存在していますが、活性型のフィトクロムになると、核の中に移動し発芽などに関わる遺伝子の発現のスイッチとして働きます。
そういえば、私はこの展開ゼミで発芽させるときは光にあてていましたが、こうしたことが起こっていたのだと思うとすごく面白いです。
そして、「温度」について。これは先週(11月18日)の専門の講義で紹介されたことで気になって自分でも調べてみたことなのですが、フィトクロムは温度も感じているようです。どうやら暗闇では温度に比例して不活性型フィトクロムBの比率が増えており、温度の情報を取りまとめる役割があるのだとか。
フィトクロムに関しては調べてみると色々ありすぎて、書ききれないのでこの辺りで終わりにします。

コメント

福島さんこんにちは。

 写真の花はナデシコですね。丈夫な花でよく植えられています。

 さて、キャベツはけっこう大きくなりましたね。いい感じです。写真を見ますと、最後の間引きをしたんでしょうか。何かイベントをした時には記載して下さい。生長の仕様にもよく気が付かれました。もっと考えると、なぜこのように違う必要があるのか、ですね。本来茎を伸ばした方が、光をめぐる競争には有利のはずです。しかし、強い風が吹く所では背の低い方が有利かもしれませんし、もっと可能性があるのは動物に食べられたり踏まれたりしたとき、茎のてっぺんの大事な生長点を失わないよう外に出さないのかもしれません。

 コマツナ、難しいところですね。これから栽培条件が難しくなることを考えたら、2本に間引く方がいいかもしれません。間引いたら、食べてみて下さい。

 フィトクロムについてはよく調べました。そうです、フィトクロムは赤色光ともっと波長の長い遠赤色光とを検知するスイッチです。その役割は、光が当たるところに種がいることを検知して、さあ育つ条件が整ったということで発芽させることです。ところが、植物の葉が種の上にあるとします。植物の葉は赤色光を吸収して、遠赤色光を通します。すると、種には遠赤色光が届きますね。そうすると、種は上に植物があってこれから条件が悪くなるとわかるので発芽させない、ということになります。うまくできています。

 それではまた、報告下さい。 ラボスタッフ・オガタ