東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第11回:収穫はできなかったけれど...。(医:佐々木円花)

2020年1月26日 (日)

こんにちは。今回の報告を、最終報告前の最後の記事にしたいと思います。

今回の写真は、試験勉強のために青葉山キャンパスに行った時の写真です。

青葉山コモンズはやっぱり学習環境が非常に整っていて素敵ですね。あいにく今は星陵キャンパスにある医学分館が工事で休館中のため、たまにコモンズを利用しています。

一番試験が大変だと聞いている2年生の時期に図書館が使えないのは大変ですが、新しくできる医学分館を楽しみに勉強を頑張りたいと思います。


1.カイワレ

種子がなくなってしまったため、カイワレの栽培を今回はお休みしています。


2.ちょい辛ミックス4

1/13(月) 16:40

・天気:晴れ

・気温:8℃

・湿度:69%

IMG_6916.jpeg

前回の報告時よりも発芽している種子の数が増えています。

植えた時は均等にしたはずなのに、特定の場所に集まってしまっているのだけが残念です。

1/18(土) 12:10

・天気:曇り

・気温:5℃

・湿度:60%

IMG_6991.jpeg

それぞれの株が順調に成長してきています。

あまり徒長もしておらず、まっすぐ元気に茎を伸ばしています。

1/25(土) 16:40

・天気:晴れ

・気温:7℃

・湿度:60%

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芽の数には変化がありませんが、どの株も全体的に植物体が大きくなっています。

前の2枚の写真では紫色が強く出ていた子葉も、今回は葉のほとんどが緑に変化しており、縁の部分だけに紫色が残っています。

この色の変化について、少し気になったので調べてみました。

アントシアニンはブルーベリーの色素として有名ですが、若い植物において一時的に合成されることもあるようで、その機能としては若い葉が光による障害を受けることを防ぐためだそうです。

(参考HP:https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2207

アントシアニンはフラボノイドという化合物の一種であり、抗酸化作用が非需要に強い物質です。一般的に、光を過剰に当てすぎると「光阻害」と言って、光合成を行うPSⅡという機構が損傷を受けることにより光合成活性が低下する現象が見られます。この光阻害の起こる機序については、光合成色素に光エネルギーが吸収され、それにより光損傷が起こるという仮説や、マンガンに吸収された光エネルギーにより、それに隣接している酸素発生部位がまず損傷され、それが引き金となって反応中心がさらに損傷を受けるという仮説が出されているようです。

(参考HP: https://photosyn.jp/journal/sections/kaiho67-4.pdf

紅葉も光から植物を守るために行われるこのアントシアニンの合成が原因です。

光による酸化を植物がリカバリーできなかった場合には、葉がまだ緑色のまま落葉することもあるそうです。

アントシアニンには強い抗酸化作用があると先ほど述べましたが、その作用が植物を保護」しているのだそうです。

しかし、私の栽培している環境においてはむしろ光が足りないはずなのにどうしたのだろう、と不思議に思っていましたが、どうやら、寒さによっても光による酸化が起こりやすいようです。そうだとすると納得ではありますが、紫色の子葉を見て紫たか菜だと勘違いしていたのは短絡的すぎたと反省しています。調べてみたところ、紫高菜は子葉の時に必ずしも紫色になるわけではないようでした。実際はどの品種だったのか知ることのできる日が待ち遠しいです。

(参考HP:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC281624/


3.イタリアンパセリ

1/13(月) 16:40

・天気:晴れ

・気温:8℃

・湿度:69%

IMG_6912.jpeg

前回報告時からの変化は特にありませんでした。

1/18(土) 12:10

・天気:曇り

・気温:5℃

・湿度:60%

IMG_6990.jpeg

あまり成長が進んでいません。

右下の株の、小さい方の本葉が少し大きくなったかなという程度です。

1/25(土) 16:40

・天気:晴れ

・気温:7℃

・湿度:60%

IMG_7107.jpeg

右上の株が少し大きくなりました。


4.感想

ちょい辛ミックスは新しい株が発芽したこともあり、前回の報告から変化が見られました。

しかし、イタリアンパセリはここ最近成長の様子が芳しくはなく、どちらの植物も結局は収穫に至ることはできませんでした。原因はおそらく日当たりの悪さにあるとは思いますが、何かもっと対策ができたのではないかと、もう少し早くに手を打っていなかったことが非常に悔やまれます。

通常の報告は今回が最後となってしまいましたが、最終報告に向けての準備を進めていきたいと思います。

コメント

佐々木さんこんにちは

 東北大は本当にキャンパスがバラバラで何というか...... 学バスもありますが地下鉄で行けば結構お金もかかります。もぅちょっと下の方から詰めて建てていれば......

 医学分館が新しくなるんですか。居心地のいい、使いやすいものになればいいですね。ちなみに某関西旧帝の分館は「パルテノン」と学生は呼んでいましたが、見かけがパルテノンで立派で、しかし使いにくいものでした。

 さて植物、先にちょい辛ミックスですが少しづつ成長しています。その発芽の場所が偏っているのは、たぶんそこの種子だけが発芽したのではなく水やりで種子が動いたのでしょう。水のたまるスペースがこの場合少ないですから。

 アントシアニンについてよく調べましたね。その通り、ポリフェノールの中のフラボノイドという一団の中の一つの化合物です。環が多く、抗酸化作用・ラジカルスカベンジャー作用があります。残念ながらそれの摂取と体への影響はまだ未解明です。まあ植物への作用としては保護作用でしょう。調べた通り、生物にとってこの世の中は酸化的障害が多すぎます。そこへ光エネルギーという強力なものが照射されるとぶち壊されますので、植物は何とかして光エネルギーという暴れん坊を封じ込めにかかります。

 関係ないですが、現在の大気中の酸素というものは、太古の海のストロマトライトという藻類が作りだしたものです。生物には毒ですからつまり環境破壊をしたことになります。

 そして、中生代に生い茂ったシダ類、これが化石化して石炭になったと言われています。シダ類の繁殖に細菌の分解が追い付かなかったということですね。ということは当時の地球環境からすればシダ類は分解不能の「ゴミ」をそこら中に撒き散らしていたのです。おまけに生物にとっては炭素源として貴重な資源である二酸化炭素を収奪しまくっていました。つまり環境破壊をしていたとんでもない生き物だったのでしょう。考えたら面白いですね。

 イタリアンパセリもぼちぼちです。

 さて今後は、報告とは関係なく切りのいいところで、少しなりとも収穫して終わればいいですね。わずかでもパセリの味がするかと思います。

 お疲れ様でした。

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ラボスタッフ・オガタ