東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

5.白菜の施肥と救われたホウレンソウ(農:佐々木美園)

2020年11月14日 (土)

こんにちは、農学部の佐々木美園です。

最近ますます寒くなってきましたね。エアコンをつけても部屋が暖まりにくく、朝晩は辛くなってきました。写真の冬毛でムクムクなキビちゃんのように、人間にも防寒仕様があったらいいのに、、、と本気で考えています。まあ、いくら冬毛が生えたところで、冬の猫は基本的にこたつの住人(住猫?)なので結局寒いものは寒いんでしょうね。私もおとなしく、こたつのお世話になることにします。

さて、そんな寒さが本格的になってきた今、植物の生長速度も若干緩やかになってきました。ですが、明らかに大きくなっています!今日は、大きくなった白菜と(人為的な)奇跡が起こったホウレンソウ、そしてカイワレ大根の実験結果について書いていきたいと思います。


~目次~

1.ミニ白菜

2.ホウレンソウ

3.カイワレ大根の実験結果

4.まとめ


1.ミニ白菜

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11月9日 8:40 気温10℃ 32日目

以前アルバイトの際、渡辺先生に土を足した方が良いというアドバイスをいただいたので、土を足して見ました。現在の土の量は大体、子葉が土に触れ、鉢の縁から1cm下くらいの量です。若干、葉の中央の部分に土が入ってしまいましたが、三本とも折れること無く土を足せました。土を足したおかげか、水やりしても倒れかけることが無くなりました。また、前回の記事でもうすぐ間引きをすると書きましたが、その記事のコメントを受けて、本葉がもう少し出揃うまで待つことにしました。

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11月14日 10:33 気温16℃ 37日目

この日、初めて施肥を行いました。過去の先輩方の記事を参考に、いただいた肥料を7粒ほど、植物から離れた位置に均等に散布しました。以前図書館から借りた本に、白菜はかなり肥料食いだと書いてあったので、白菜に関しては今後他の植物よりもマメに手入れしていこうと思います。また、本葉同士が重なり始め、3枚生えそろい、4枚目も出始まってきているので間引きももうそろそろ行おうと思います。間引くのに際し、現状残そうと思っているものは、写真左下の、最も丈が大きいものです。ですが、若干心配なのはかなり鉢の縁に寄ってしまっているので根が張りづらいのではないかと言うことです。生育に影響が見られるようならば、なんとかして移動手段を考えたいと思います。


2.ホウレンソウ

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11月11日 12:46 室温20℃ 1日目

ホウレンソウですがやっと芽が出ました!!

嘘です、すみません。こちらのホウレンソウの芽なのですが、バイト先で芽が出ず、諦めかけていることを相談した際にいただいた、研究室で育てていたものの一つです。半ば諦めていた所にやって来たこの一縷の望み、、、。これから、大切に育てていきたいと思います。ちなみにこのホウレンソウの芽、シャーレで芽出しをせずに、土に直接蒔いた結果、ここまで生長したと教えていただきました。同じくホウレンソウを育てている工学部の北川さんの記事を参考にしても、鉢に直播きしたホウレンソウは順調に育っているようなので、ホウレンソウに関しては芽出しはしない方がいいのかも知れません。

さて、家に帰ってから早速鉢に植え替えたものの、今からこの大きさのものを、この気温の中、室外で育ててもかなり生長が遅くなると思うので、ある程度大きくなるまでは室内の日当たりの良い場所で育てていこうと思っています。ただ、ホウレンソウは長日植物なので、日長の長さだけは気をつけていきたいと思います。


3.カイワレ大根の実験結果

前回の記事で、与える水の量による生長に違いを調べる実験を行ったと報告しました。その結果が出たので報告しようと思います。ですが、発表報告の前に、前回の記事で根拠も明らかにした方が良いという旨のコメントをオガタさんからいただいたので、最初にそちらの補足から行いたいと思います。といっても、コップの可変レンジ以外はなんとなくで決めたものと言えなくもないですが、一応の根拠を記して起きます。

補足

・6つのコップの可変レンジについて

今回の実験期間は10日間であったため、1日1回の水やりを行うとすると回数は0,1,2,3,5,10回の6つの値が考えられる。よって、この値全てを網羅するために、この可変レンジを設定した。

・一回に与える水の量について

家にある機材の中で、正確に分量を計りとれるものが大さじか小さじの計量スプーンのみであった。実験に用いたプラコップの大きさを考え、1回5mLにすることにした。

結果

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それではようやく、結果の報告に移りたいと思います。10日間育成した結果が、上の写真です。一番顕著に違いが見られるのはやはり、毎日水を与えていたものですね。過剰な水を与え続けていたせいで、種子が水に浸かってしまい腐り始めています。なのでかなりくさいです。卵が腐ったみたいな匂いがします。その次くらいに違いが大きいものは10日間水を与えていなかったものでしょうか。大きいものは他のものと遜色ないほど大きくなっていますが、やはり生育が悪く下の方には小さいものが多く見られます。一番良く延びていたものは、2日ごとのものでした。生育途中で、コップの高さに届いてしまったため、曲がってしまっているもののまっすぐだったと仮定すると、6つの中で一番長いものが多いと思われます。他のものはというと、残念ながらあまり違いが見られませんでした。強いて言うならば、5日ごとのものが若干小さいかな、というぐらいです。もう少し期間を延ばしたり、コップの高さを高くすれば、違いが大きくなったかも知れません。まとめると、カイワレの栽培には2日ごとに5mLの水を与えれば、最も良く生長すると考えられます。また、長くても3~4日ごとには水を与えるべきだと考えられます。以上が、この実験の結果になります。なお、育てたカイワレ大根は腐ったもの以外はお味噌汁に入れておいしくいただきました。


4.まとめ

 まず、今回は約2週間ぶりの投稿になってしまいました。前回まで週1ペースで投稿していたので、若干気が抜けていたと反省しています。今後はきっちり、今までの頻度で更新できるよう気をつけたいと思います。

 次に、実際の栽培についてですが、土寄せをしたり施肥をしたりとやっと野菜の栽培らしくなってきました。寒くなってきたため生長を感じる頻度は少なくなってきましたが、やはり何か変化を見つけるとうれしくなります。最近では、よりよい栽培方法を見つけるため、資料探しも頻繁に行うようになってきました。これからは、温室の設置なども考えていかなければならないため、この調子で情報探索を怠らずに頑張っていこうと思います。

コメント

佐々木さんこんにちは

 まあ本当に寒くなると夏の暑いのを忘れてしまいます。「四季がはっきりしている」というのはポジティブ思考なわけですが、やはり寒いのも嫌なものなので、防寒を早め早めにしましょう。

 ネコは砂漠の動物なので暑さ寒さに強いはずですが、「自分の一番過ごしやすい場所」に遠慮なく来る性質がありますから、冬は暖かいところに来ますね。うちのネコは太り過ぎてネコトイレが狭くなったせいか、いつも尻が臭くて、最近では名前を「シリクサ」に変えようかと思っています。そのネコが布団に入るのでむちゃくちゃ臭いが移ります。かといって基本ネコは水を嫌がるもので洗うこともできないです。

 さてミニハクサイはいい感じに土が足されています。もしもこれ以上伸びてふらつくようでしたら、単純に土を足すと水やりのスペース1㎝が無くなってしまいますので、株自体を下に押し下げるという手順が必要になります。それはそこそこ難しいことですから、必要な感じになりましたら改めてお伝えします。

 施肥は最初はそんなもので良いと思います。次回から、その倍量やってみてください。特に均等にする必要はありません(溶け出した肥料は速やかに拡散される)。

 あまり株元ではいけないのですが(濃い肥料で傷む)、適当に鉢縁に置いて下さい。

 そして肥料は本来なら植物の様子を見て間隔や量を決めるものです。特に葉の色が決め手になります。肥料の窒素分は光合成に関するタンパクの合成に主に使われますから。ですがこの場合はハクサイを今まで育てたことがなく、また写真では色合いが微妙に分からないのでこちらで指示することも難しいですね。まあ多少やりすぎてもハクサイは耐えられるものですが。あえて難を言うと、窒素が過剰だと葉の中に硝酸態窒素という形で蓄えられ、それが食べた場合の苦みとなります。ただしこの場合は収穫まで期間がありますから気にすることはありません。ちなみに他のリンやカリウムといった肥料成分は特に弊害はありません。過剰なリンは土壌に吸着され、カリウムは流されて無くなります。その話も理屈を言うとちょっと長くなります......

 ハクサイの移動も必要ありません。根はもうとっくに鉢全体に伸びていますし、そもそも鉢縁に株があった方が間引くタイミングを遅くできるので有利です。

 ホウレンソウは一株もらってよかったですね! これを育てましょう。少しばかり室内に置くのは良いことですが、光不足の徒長は避けられないので早めに出して下さい。それと長日の話ですが植物は「エネルギーとしての光」は強い光を要求しますが、「日の長さの情報としての光」はけっこう弱い光でも感じてしまうものです。

 そもそもどうして今年は芽が出にくいのか...... ちょっと謎の部分がありますが、これはこちらの課題としておきます。

 さて今回のメインイベントがカイワレダイコンの実験ですね。

 与える水の間隔と量について、よく考えました! そうです。実験において根拠が無いことは許されません。ただしその根拠が強いものか弱いものかはこの際あまり問われないものです。ここでの根拠は実に的確であり、良いと思います。結果を見てもベストの可変レンジになりました!

 実験結果とそのまとめも良いものですね。結局は、「この温度」「この期間」「この密度」という条件で言えば二日に一度水5mlを与えるのがベストなんですね。収穫時の数値化はしていませんが...... そして水が少なくなる方向ではそんなに害が見られない、と。

 惜しむらくは考察的な理由でしょうか。水が多くなると水没して種子が発芽できなくなり、腐る。これは分かりやすいですね。では2日毎では最大でどのくらい水が来たでしょうか。そして水をやらない場合、写真で見ると全体が短いというよりもバラツキがあり、けっこう短いものもあるようです。つまり推測すると、水が少ない場合は何かの拍子で根が水に触れられない種子はあまり伸びられないのでしょう。そういった実験結果への予測を立てておけば、途中で水の量と種子の関係(水没か触れないか)を観察するということにつながり、より良くまとめられたと思います。

 ともあれ、この知見は実に使えるものです。今年は特にカイワレダイコンで苦労する人が多いので使える知識になります。私にとっても水をやらないでこれだけ伸びるというのが非常に意外でした。蒸発はともかくカイワレダイコン自体の水分だけで使い切るものかと思っていたのですが。

 植物は寒くなると動きも減ります。観察して気付いたことをまた記事にして下さい。

 ではまたお待ちします。

 ラボスタッフ・オガタ

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これは蔵王きつね牧場、けっこう有名らしいです。