東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ホウレンソウがなよなよ。(9)(工:北川桜子)

2020年12月 6日 (日)

こんにちは。昨日の夕飯はぶり大根だった北川桜子です。ぶり大根がおいしい時期になってきました。寒いです。

さて、前回の害虫の投稿で、テーマを絞った点でオガタ先生に褒めて頂けて(褒めているつもりはないかもしれませんが(笑))嬉しかったです。ありがとうございます。先週は害虫除去、というビックイベントがあったので、テーマを絞った記事をかけたのですが、今週はそういうことがなく、何を書けばいいか決められません。先週せっかく褒めて頂けたのに、また観察日記に逆戻りするのは嫌なので、色々ネタを考えました。

ネタを考えるにあたって、他の人はどんなネタに絞って書いてるのかチェックしてみました(今までも記事は読んでいましたが、文章を読むだけだったので、どんなネタを書いている、という観点で改めて確認してみました)。見えてくる...ネタの傾向。

分類してみると、おおよそ、「○○の収穫、○○の間引き」「○○の成長」(野菜を絞った報告)「数値を使ってデータ化してみた」「アクシデント報告とその処置」「色々試してみた(語彙力無くてすみません)系になりました。アクシデントは毎週起こるわけではなく、今週は特に何もなかったので、「アクシデント報告とその処置」系の記事は書けません。「○○の収穫、○○の間引き」は収穫か間引きをしてないと書けません。色々試す系、やってみたいのですが、野菜を育てているプロセスの中で何をすればいいのか、全く思いつかないのでこれもハードル高めの記事です。つまり、書けるのは「○○の成長」「数値を使ってデータ化してみた」系になります。ここで私は気づきました。普段から写真や葉の大きさの計測、天気や温度など、継続的な観察をしないとこれらの記事が書けない、ということに。(遅すぎる)

私は毎日野菜たちを見ていますし、水やりも育てはじめのころに比べたらしっかり行っています。が、写真を撮ったり葉の長さを測ったりしてないので、「どれくらい成長しました!」みたいなことが数値を使って書けないんですね。これは困った。今週一週間は、継続的な数値や写真を含めた観察をしてみようと思います。

ということで、今週は、今育てている野菜3種の中で一番心配しているホウレンソウについて書こうと思います。

1.ホウレンソウの現在の様子

上から

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生え際

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さらに生え際

20201206_152108.jpgしなしなな様子が良く分かる写真

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また写真で説明しようとしてしまっていますね、危ない危ない。

まず上から見た写真ですが、今、鉢には3つ株があります。3つともサイズ感は同じで、中心から新芽が出てきているので成長スピードもほぼ同じです。葉の長さはそれぞれ一番大きいもので、6.5㎝・4.8㎝・4.3㎝。一番下にある(最初に生えてきた)葉は折れてしまいました。下の方の葉は1辺がすごく短くもう一辺は長い、細長い形なのに対して、上の方の葉は縦横比1:2から2:5くらいの長方形になっています。上の方の葉の方が市販のホウレンソウの葉の形に似ています。

→測っている様子

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先日(11月27日)ホウレンソウを間引いたときの間引いたものがこちら。

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長さは根っこの先まで含めて約11cm。ホウレンソウの根っこは白菜と違って1本だけまっすぐ。ホウレンソウって、スーパーでは根っこの部分が切られて赤くなってるところから売られているので、知りませんでした。確かにホウレンソウの根っこがモジャモジャのイメージはありませんが。

次に生え際。私が心配なのはここなんです。写真で伝わりにくいのがもどかしいのですが、生えている茎(?生え際)がぐらぐらしているんです。見るたびにぐらぐらしているので、毎回土を寄せるのですが、次見るときにはまたぐらぐら。よく見ると、茎の周りに若干空間があるんですよね、こんな感じで(絵でも伝わらないかもしれません、緑で塗っているのが土です。)

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これは徒長なのか、単に土をうまく寄せられていないのか、それとも風が強いのか、原因があまりわからなくて困っています。ぐらぐらしているせいで、なよなよしているように見えますし、葉も茎も細くて心配です。また、上から見た写真を見ると分かるのですが、売られているホウレンソウに比べて、葉の大きさに対して、茎の分かれ目から葉までの茎の長さが長くて、(売られているホウレンソウは葉までの茎の長さがが短く、葉が大きい)これでいいのか分かりません。

葉の色も市販のものに比べると薄いです。葉の色が薄い原因として、

・日当たりが良すぎて、クロロフィルを増す必要がないor葉が日焼けした

・緑色を作る窒素が足りない

ベランダはそこまで太陽が入ってくるわけではないので、日当たりが良すぎる、ということはないと考えられます。とりあえず、肥料を加えて様子を見ます。

土や種と一緒にいただいた種の種類がたくさん書いてある資料の「朝霧」を見ると、特段茎が長い種類だとは思えません。今後は葉だけが大きくなるように祈ります。

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2.市販のホウレンソウを見て

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1.と被るところもありますが...

昨日スーパーに行ったので、ホウレンソウを見てきました。まず思ったのは大きい!!!育てている品種的な問題があったとしてもこれは大きいです、本当に。次に葉が大きい!!!全体的なサイズもそうだけど、茎が長いのではなくて、葉が大きい、という。私のホウレンソウとは形がかけ離れています。葉がおいしいですもんね、ホウレンソウは。

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そして、こんなにたくさん入って1袋105円...プロってやっぱりすごいです。

今年、冬野菜安い気がする、と思っていたのですが、やっぱり例年に比べてかなり安くなってる、というニュースを今朝やっていました。

食料自給率が低い日本で(野菜の自給率は約80%だけれど)農家さんが種から(苗からかもしれませんが)長い間かけて育てたのに、価格高くつかなかったらそりゃやめたくなりますよね、きっと。消費者としてはありがたい話ですけど。

国からの最低販売価格保証みたいなのがないと、稼げる保証がないから、農業に興味がある若者も、農家さんになろう、という決心ができない気がしました。

3.今後

とりあえず、なよなよをどうにか解決したいです。

なよなよ、というのは具体的に

・茎が長くて葉が小さい

・生え際がぐらぐら

・茎が細い

です。肥料をあげて様子を見ていますが、なかなか変わらず。私にできることは風よけかな、と思いましたが、調べて出てくるものはサイズ感が大きいものばかり。ホウレンソウだけ風よけできればいいのでどうしたものか思案中です。

4.白菜の芽は鉢に1つですか????

農学部の佐々木さんの記事を読んでいて、え!!??と思ったことがあり、質問させていただきます。見出しの通りです。オンラインミーティングで鉢に3つの芽だよ、という話を先生がしていた気がしていたので、今、大きいほうの鉢に芽が3つあるんですが、これはまずいのでしょうか。確かに密度高いな、と思っていましたが、芽の数は1つが正解なのでしょうか。

佐々木さんはワタナベ先生の研究室でバイトしているし、私が間違えている可能性>>>>>佐々木さんが間違えている可能性≒0 だと思っています(笑)教えてください。

5.おわり

絶対的な文章の少なさ=情報量の少なさにこんなものを記事としてあげていいのか悩んでいます。白菜の報告もしようか迷っていて、テーマを1つに絞るか情報量を増やすかを天秤にかけました。前回テーマを絞って褒められたのが嬉しかったので、テーマを優先しました。自分でも情報量少ないと思っていますが、このような場合はテーマを絞る(=観察日記にしない)のと、情報量を増やすのどちらを優先すればいいのでしょうか。

観察日記にはしない、と先週決めたものの、特定のネタがないときに、どうすればいいのか自分のスタイルを決めかねているのでアドバイスいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

今週は、毎日数値や写真を含めた観察を続けます。Let's try!!!

コメント

北川さんこんにちは

 のっけから豪快なブリ大根、いいですね。北川さんは小説に書きたいくらいキャラ立ちしてて期待通りです。

 さて、投稿ネタを考える一環として、他の受講生の記事を調べて「記事の分類」をやってますね! これはなかなか面白い試みです。私もそこまで意識していなかったのですが正にその通りに分類されます。

・経時的植物の成長

・栽培の上で手を加えたこと

・計測してデータ化あるいは更にグラフ化

・アクシデントとその対処

・独自の実験(カイワレなど)

・栽培の工夫(温室など)

 どれが大事ということもないのですが、できればこのうち多くの項目をクリアしてほしいですね。どういった着眼点でどこまでやってみるかについては各自に委ねられています。

 今回の報告はホウレンソウについてですか。何日目なのか分からないのですが、写真を見る限り生育は悪くありません。もちろん畑で普通に栽培するよりは遅いのですが、それでもホウレンソウらしさが出てきています。青葉山は寒いのですが日当たりは悪くなく、もちろん栽培も上手にされたのでしょう。何とも表現のしようが難しいのですが、栽培センスは悪くないと思います。

 なよなよしているとのことですが、ホウレンソウは弱い光でもあまり枯れない代わりに、なよなよしやすいものです。過去年の記事でもかなり多くの人がホウレンソウには苦戦しています。対処として増し土はされているようで、もっと手を加えるとしたら株元すぐの土ごと株を押し下げる手法があるのですが、下手にすると折ってしまうので、なかなか難しいところです。強風で本当にグラグラでしたら慎重に試してもいいかもしれません。

 間引きは一つやったということで順当ですね。ついでにハクサイについても、最終的に複数株は難しいかもしれませんが、すぐに一つにすればいいかというとそうではありません。これは明らかにお互い邪魔していると思った時に間引いて下さい。これは本当に成長具合と光の当たり具合によります。

 先に言いますが、この記事には多くの情報が含まれていて、一つの記事として充分過ぎるくらいです。今回はホウレンソウについて葉の形態といい、品種のことといい、市販品との比較といい、充分です。書き方について敢えていえば「言いたいこと」を一本芯を通さないと、散漫な印象になります。無駄に繰り返しが多くて冗長なよりは短い報告の方が印象がいいですね。

 話は戻りますが、葉の形態について後で出た葉ほど縦横比が市販に近いのですね。これはまあ、その通りだと思います。葉柄の部分が長いのは、やはり光不足のせいもあります。

 緑が薄いのは「光量過多の日焼け(ラン類に多いですね)」ではもちろんなく、光不足のせいで、特にホウレンソウはそうなります。ここで肥料をやり過ぎると余計軟弱になったり、寒さで弱っている根を痛めたりすることもありますが、肥料不足の方が害が大きいのです。ここで追肥をしっかりやったのは良いことです。少しでも肥料の窒素が葉の葉緑素も含めた合成を盛んにして、それが緑を濃くして、光合成を盛んにするという好循環を期待しましょう。ちなみに肥料のカリウム成分は植物の耐寒性を強くします。

 葉の形態について、せっかく市販品の写真や種袋の写真が出てますので補足します。一つはホウレンソウは冬を越す時に、葉を倒して地面にべったりくっつく形態(ロゼッタ)を取ります。本当に縮まって耐える姿勢ですね。葉の縦横比はいっそう横に太くなり、葉も分厚く、中に凍結防止のための糖分を貯め込みます。冬に美味しい葉物野菜というのはたいていこうです。

 もう一つはホウレンソウの葉のギザギザに注目して下さい。よく絵に描いたホウレンソウは葉にギザがあります。これはいわゆる日本種のホウレンソウです。味が良いとされるのですが、日の短い秋口に播く専用であり、日の長い他の季節に播くとすぐに花が咲くので使えません。葉が丸いのは西洋種です。これは比較的広い季節に使えます。こんなことを知ってスーパーのホウレンソウを見て、味を考えるのも良いことです。まあ最近では西洋種と日本種の交雑が進み、いいとこどりの品種も増えてきました。私は個人的には繊細な日本種よりは比較的葉の分厚い西洋種の方が好きですが。

 野菜の価格を見たのもいいことですね。今年は暖かかったので野菜の値段も低めです。野菜の多くの物は貯蔵が利きませんので、豊作だととたんに値が下がります。安いからといって二倍人間は食べませんから。工業製品でも同じような傾向ではありますが、取り置きができることと、転用できるところが決定的に違います。

 そのため、野菜に関しては「育種」「栽培法」「貯蔵技術」の大きな三本柱で革新が進められています。しかしながら、それでも野菜、というか農産物の値段は労力に比して必ず安くなり、もちろん比較賃金も安くなります。実はこれは農業経済学で明らかにされている「シェーレ」という現象です。技術革新と生産性向上のスピードが農業と工業で異なることから導き出されることです。その上で、農業に適した生産形態は会社組織ではなく「各自自作農」であることが学問的に導き出されています(現実に適用すべきかどうかは別)。

 さあ最後に帰省時の管理についてです。この場合は3週間ですか...... なかなか厄介ですね。水やりを他の人にお願いできれば一番いいのですが、そうでないと......

 先ずは今の乾き具合を観察してそこから考えていきましょう。考えられる方法としては、

1 乾きにくい冷暗所に移動する

2 腰水(鉢受けに水を貯めて、下から水を吸わせる)

3 市販の器具を使う(100均で売ってるペットボトルに取りつけるタイプ)

4 器具を自作する

といった方法があります。このうち1は長期間は保ちません。暗ければ光合成できずに次第に消耗します。

 順当な方法は2です。これは、大きな鉢受けに水を貯めその中に鉢を入れます。この時、決して鉢の下1/3を超えるレベルまで水を入れてはなりません。根が呼吸できずに腐ります! もちろん、少なすぎても意味がないのですが。

 そこで繰り返しですが今の乾き具合(何日に一回水を、どのくらいやるのか)を把握しなければ何もできません。腰水にしろ、上限のレベルが決まっている以上、鉢受けの底面積で必要量を稼ぐしかありませんから。

 市販の器具を使うのは過去年の記事によく見られます。しかし一気に水が出て空になる場合が多い印象です。これをするなら、その器具が何日水を出し続けるのか一度試してみなければ怖くて使えないですね。

 器具の自作は、鉢よりも高いところにバケツなどを用意して、その中の水と鉢土表面を布でつないで毛細管現象を使うものです。これもまたどのくらいのペースで給水できるかは試さないといけません。

 この場合の3週間というのは今までの展開ゼミでダントツに長い期間なので正直うまく越せるか分かりませんが、考えてみて下さい。これは本当に「理論」と「実践」の両方が試されます。過去には、とりあえず皆と同じように腰水をやってみたが自分で必要量を計算もせずに行ったため意味がないというケースが幾つもありました。

 さあ、寒くなりましたが楽しい冬休みに近付いているというわけです。次記事も期待してお待ちします。

 ラボスタッフ・オガタ

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