東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

寒波により半壊レベルの被害を受ける(工:木村陽来)

2021年1月 9日 (土)

こんばんは、木村陽来です。つい最近BCPレベルが2に上がりました。これにより、課外活動は禁止となり、授業も原則オンラインに移行するようです。そのおかげか、または寒いのが原因なのか、ここ数日川内キャンパスではあまり人を見かけなくなりました。ある数学の先生にも、「青葉山キャンパスと違って、川内キャンパスはずいぶん学生が少ないね」と言われました。自分も感染予防を徹底して生活していきたいです。

それでは、本編に移りましょう。今回は、年末年始の大寒波の影響について記していきたいと思います。いつものようなデータを並べる記事とは違いますが、本当に寒くなるとこういう植物にはこういう事象が生じるんだよ、ということを示すことを目的としています。

1.被害状況

とりあえず、現時点でのミニハクサイの状況を報告したいと思います。
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(日付:1/9 時刻:9:00 温度:氷点下6℃)
鉢全体が氷で覆われていることがわかります。雪が降っているときでも、日光に当てなきゃ生長しないから、という理由でずっと外に出していたのですが、この様子を見てさすがにマズイ、と思って家の中に避難させました。全体的にしおれています。これは寒さによるものでしょうか。または水分が足りないのでしょうか。雪が降ったり降らなかったりで水をあげていいのかどうか悩んでいたのですが、あげるべきだったのかもしれません。

ここからは、詳しい状況を見ていきましょう。
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(撮影状況は以下すべて、1枚目の全体図と同じ)
この写真は、ミニハクサイの鉢の中のある一枚の葉の写真です。氷によって、しもやけのような状態になっているのがわかります。雪が降る前から、若干白まだらのようなものがあり、それを主題に自分も記事を書いたのですが、寒さによってそれが拡大したようなものでしょうか。それに加え、このしもやけしたような葉は、他の葉と比べ、尋常ではないくらいペラペラになっています。
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他の葉がそこまでペラペラになっていない様子を見ると、しもやけしたことによって、葉が養分を受け取れなくなった、と考えるのが自然でしょうか。

次を見ていきましょう。
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これは、凍った土の写真です。あまりの寒さに土が凍ってしまいました。先ほど、手で鉢から氷を取り除くという作業していたのですが、土に関しては全体が凍っており、ひとまず溶けるのを待つしかない状況です。写真からわかる通り、ミニハクサイの鉢の表面に出ていない裏側の葉も土に巻き込まれるようにして凍っています。

また、最後にもう一度全体図を見てみましょう。
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この写真の中央から下部分の丸がついている葉に注目してください。葉が不自然な形で固まっています。これらは葉がまるまる凍ってしまったものです。少し触るとぱりぱりとした感触があります。よくテレビ番組などで、薔薇を液体窒素に浸すと、握れば砕けるようになる、という実験がありますが、あれと同じような感じでこれらの葉も強く握れば砕けてしまいそうでした。しかし、この葉が凍結する症状に関しては、部屋に戻したところすぐに治りました。土と違って、凍っている体積が小さかった、というのが原因でしょう。



2.考えられる対策

今回はなかなか甚大な被害を受けたので、今後このようなことが起こらないようにするためにも、対策を考えていきたいと思います。

①温度と天気予報をチェックする。

今回、鉢全体が凍るという被害が出たのは、ひとえに自分がミニハクサイに日光を当てさせたいばかりに、ずっと外に置いていたからです。その経験を踏まえて、今後は温度と天気予報をチェックし、温度が氷点下まで下がったら躊躇なく部屋に入れる、雪が降ったら躊躇なく部屋に入れる、という行動をこころがけたいと思います。

②雪が降ったらすぐにリカバリーの態勢に入る。

雪が降って部屋に入れた、まではいいとしても外に雪が積もっていたら再び外に出すこともできないし、放置したらその雪は氷になってしまうかもしれません。部屋ではにっこうが当たらないので、やはり栽培効率は悪くなってしまいます。よって、雪かきをするなりして外に鉢を置けるだけのスペースを作り、すぐに日光を当てられる状態に復帰させることを目指します。

3.まとめ

今回は、最近の寒波によって生じた植物への影響と、その対策を記事として取り上げました。冒頭でも記した通り、このようなスタイルを普段自分はしていないのですが、記録をとろうにも葉の形も変わっているし、どうしたものか、、、という考えでこのような内容としました。読んでいる方の寒さ対策の参考になれば幸いです。

そういえば、2年前には夏に熱波というのもありましたね。

コメント

木村さんこんにちは

 授業が原則オンライン化......まあどの大学もそうなのですが、もはや放送大学であり、仙台にいる意味はどこに?とも思います。しかし不思議なことに大学がクラスター化するのは課外活動や発表会などであり、大学の実験実習が原因というのは聞かないですね。

 今回の報告は植物が寒さで傷んだ様子でしょうか。かなり葉の被害は大きいのですが、枯死はしていないと思います。植物もまた最も重要な成長点付近は守るようにしていますので。このまま栽培を続けても、一月から二月半ばまでは低温のため葉の数が再び戻るまでかなりの期間がかかります。もしもそれ以上置けるのなら急激に成長するのが見られるかもしれませんが、今度は花芽をつけてしまうこととの勝負になります。

 さて写真を見ますと葉は凍害を受けてしまいました。例年なら温帯植物は寒さに強いので屋外で全く平気と言い続けるのですが、今年は勝手が違いました。それは絶対的な寒さのことではなく(例えば北海道でもアブラナ科のサトウダイコンは平気で越冬する)、寒くなるのが急激過ぎたのです。植物もゆっくりと「慣れ」ていきます。具体的には糖分などを蓄積して耐凍性を身に付けるのですが、その前に寒波が来ると凍ります。そうなると葉のその部分は枯れてしまいますね。写真で見える枯れの部分はそうです。ペラペラなのは枯れて乾燥すると固形物だけになるためです。細胞が死んだ先にまで水分が行きませんから。

 そして全体として萎れているのは凍ったという以外に、根が傷んだためと考えられます。根の水分吸収はあくまで根に活性があるのが前提であり、活力を失えば植物は周囲にいくら水があっても吸うことができません。

 そしてこれからの対策について、報告に書かれたことは概ね間違っていないのですが、本当にそうするのは世話が大変です。そしてこちらが心配するのは「暖かすぎる」のはまずいことで、それなら極度の低温でなければ外に置いた方がいいかと思います。室内は玄関でも外よりはるかに暖かいものですから。むろんそれを分かった上で温度と日照のバランスをとって移動させればベストなのですが。そして雪のことは温度ほど気にすることはありません。雪がついているとその部分は氷点下なので活動できないという不都合があれど、葉の細胞にダメージがあるのはあくまで低温による凍害です。

 来年度以降はこれほど寒波は来ないと思うのですが、分かりません。今年の受講生の報告は寒波に対する諸現象という意味で大変重要なものになりました。

 最終報告お待ちします。それとレギュラー報告は最終報告に関わらず、短文でも上げて下されば幸いです。

 ラボスタッフ・オガタ

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