東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第3回 収穫と生長。(理:山本実永)

2022年10月28日 (金)

第3回報告(10月20日~10月28日)

こんにちは。第3弾の報告は前回と書き方を大きく変えてお送りしたい。前回までは敬体で書いていたが、今回から常体で書こうと思う。また、前回の日記形式とは異なり、野菜ごとに経過報告を書きたいと思う。


マッペ

マッペは室内に置いてある段ボール箱の中で栽培している。窓に近い場所に置いており、昼間には段ボール箱に日が当たるため、内部の温度はそれなりに暖かい。温度計が手元にないため測定することはかなわないが、20℃前後を維持できていると考える。若干緑化しているという指摘をいただいたことを受け、光が差し込む隙間を探して塞ぐことにした。探した結果、箱の横に空いていた手で持つための穴が光が差し込む穴であると判明したため、布テープでふさいだ。このマッペだが、種を水につけてから12日が経過した10月22日、1回目の収穫を行った。10cm以上に生長しているものもあり、やや筋張った食感であった。下の写真は1回目に収穫したマッペである。

IMG_20221022_094555.jpgのサムネイル画像そして、その2日後である24日にも収穫を行った。前回収穫した際よりも、小さいうちに取った。そのため、市販のもやしのようなシャキシャキした食感とみずみずしさを味わえた。下の写真は1回目に収穫したマッペである。

IMG_20221024_095548.jpgのサムネイル画像そのさらに3日後、第3弾の収穫をした。取れたマッペの本数はあきらかに少なくなっている。最近は寒い日が続いているため、生長が鈍くなってきたためと考えられる。また、3回目に収穫したマッペと2回目に収穫したマッペを比べると、3回目のマッペはみずみずしさがそれほどなく、筋張った食感であった。下は、3回目に収穫したマッペである。

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朝霧

朝霧は、部屋の外の日当たりの良いところに置いている。日照が当たる時間は、およそ午前7時から午後3時までである。昼夜問わず屋外に置いている。また、水をやる時間は基本的には朝である。ただ、種を直接播いたため、水が乾いていると感じたときにやるようにしている。発芽するまで水分を切らさないようにするためである。さて、前回の記事にもある通り、種が1つ発芽して以降全く変化が見て取れなかったという旨を相談したところ、鉢に直接播くということを助言いただいた。そこで、一つ目の種をまいてから11日が経過した10月21日に、種を鉢に直接播いた。下の写真は21日朝に種まきの後の鉢を映したものである。

IMG_20221021_062911.jpg直接播いた種は7日間が経過した28日時点では、発芽していない。ただ、あと数日は晴れの天気が続くようであるから、そこで発芽することを願う。下の写真は28日昼時点での朝霧を映したものである。

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一方で、最初に発芽した朝霧は順調に生長している。種を播いてから14日が経過した10月24日に、双葉の間から小さい本葉が出始めていることを確認した。下の写真は24日の朝霧の本葉を映したものである。

IMG_20221024_103301.jpgさらに、その3日後の27日には、本葉が開いてはっきりと見えるようになった。写真は27日朝の朝霧の写真である。

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翌28日には、大きく生長していることが分かる。これからも水を切らさないようにし、発芽することを気長に待ちたいと思う。下の写真は28日昼の朝霧の様子を映したものである。

IMG_20221028_140613.jpgのサムネイル画像


浅漬け

浅漬けは朝霧と同様の環境で育てている。部屋の外の日当たりが良いところに置いてある、日照が当たる時間はおよそ午前7時から午後3時までである。昼夜問わず屋外に置いている。また、水をやる時間は基本的には朝である。種が入っていた袋にあるとおり、液体肥料を時々やるようにしている。時々とは7~10日に1回程度の頻度で、私が購入した液体肥料の包装に書いてあったことに従っている。今週、浅漬けは本葉が出てきたことに加えて、その本葉が茂ってきた。種を播いてから10日目の10月20日に、本葉が出始めていることを確認した。下の写真は20日の時点での浅漬けを映したものである。

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そして、浅漬けミックスは、複数の種類の種が混合された種であるため、本葉の見た目が株によって異なる。ギザギザの葉のものもあれば円みを帯びているものもあり、多種多様である。種まきから17日目にあたる10月27日には、本葉がだいぶ生長し立ち上がっている。また、葉も茂ってきており、順調な生育ぶりを見せている。下の写真は27日夜時点での浅漬けの写真である。

IMG_20221027_185336.jpgのサムネイル画像IMG_20221027_185422.jpgのサムネイル画像以上が第3回の報告である。

コメント

DSC_0159.JPG 山本さんこんにちは。この写真はホウレンソウを食べるネコです。

 さて、今回の記事は書き方が大きく変わっていますね! 素晴らしいのは、こちらがコメントしたことを把握して、書き方を変えている(植物ごとに記載等)ことです。そういう反応があることが分かるとこちらも安心できます。

 内容的には収穫・食レポ・成長記録になっています。

 ブラックマッペは三回に分けて収穫し、それぞれの味を確認するという、展開ゼミではおそらく初めての試みですね。普通にはコップ内で根が絡まるため一度に収穫するのですが。そしてそれぞれの味と大きさなどをリンクさせて考察しています。それもまた面白いことです。

 基本的にブラックマッペは、市販されているもやしのように数cmの芽生えで収穫するものです。しかしこの場合はカイワレのように伸ばして収穫していますね。それでいて、カイワレのような緑化(収穫3日前から遮光を取り除き、光を当てて一気に緑にする)過程は無いようです。まあ、これはこれで面白いもので、来年度以降のゼミ受講生の参考になるでしょう。ちなみにそういったスプラウトの遮光・緑化は、胚軸を遮光して大いに伸ばし、緑化で栄養分を増やすという意味があります。

 ブラックマッペの種子がまだ余っているのならもう一度やってみて下さい。温度が下がるとやや難しくなるのですが。今は確かに室内20℃はあると思います。しかしこれからは......

 次にホウレンソウの記録です。

 置き場・日照条件についてこちらも把握しました。屋外に置いてあり、しかも日照は充分確保されているようです。ホウレンソウなら1日3時間あればよし、この場合のように大半の時間日に当たっているのなら理想的です! 

 水やりの仕方はその通りです。「発芽の条件」を考えながらされていますね。もちろん、鉢に直接播いた種子の発芽が認められれば水やりを控えめにして、過湿を防いで下さい。

 写真は時期が前後していますが、見えている1株が成長しているのが分かります。10/28では播種から18日経過ということでしょうか。本葉が2枚出ています。これはホウレンソウとして順調な生育ですね。時折は横からの写真があれば、より詳しく成長が分かると思います。また、全体の生育を見せるのならこれでいいのですが、見せたい何かがある時はクローズアップがいいですね。

 そして浅漬けミックスの話です。置き場はもちろんホウレンソウと同じ場所ですね。少し細かいところを言えば「コンクリートに直置き」でしょうか? 撮影のために移動したのでしょうか。原則的には「鉢受け」が必要です。これは最初のセットに含まれていないのですが、特に専用の鉢受けを買わずとも皿かスチロールトレーで代用できますので用意して下さい。そして常に水が貯まっているようではいけないのですが、下を汚さずに済みますし、また水やりが充分量できたかどうかを把握できますから。

 さて浅漬けミックスの生育も非常に順調です。株の密度も適切です。ベビーリーフで収穫するものなのでこれぐらい密でもいいかと思います。

 写真の撮り方、横向きもありますので生育が分かりやすいですね。そして収穫時期ですが、市販のベビーリーフを見て、その大きさに達したら収穫です。本葉5枚ほどでしょうか。またその頃には葉の形態や色が様々であり、種子がミックスされているのも分かるでしょうね。それと間引くようにして順次収穫すれば先のブラックマッペのように長く楽しめるかと思います。

 そして面白いと思ったのは「液体肥料」でしょうか! これもまた展開ゼミ初の試みです。実はまだ土には「元肥え」が充分残留している(一ヵ月余りの期間)ので、「追肥」の話は後でしようと思っていました。ただし、液体肥料は過剰になることはそうありませんので今から与えても構いません。思いっきり与えると植物は窒素を過剰に吸収し、それを硝酸態窒素として葉に貯えますので、葉を食べる野菜ではエグ味になってしまいます。

 植物にとって窒素は非常に重要な資源であり、逃さず利用しようとします。それはタンパク質の元素ですから。より詳しく言えば、「地球上で最も多いタンパク質」であるルビスコ酵素を作る材料にします。高校の生物で習いましたでしょうか。植物が空気中の薄い二酸化炭素を何とか取り入れ、光合成に使うため、このルビスコ酵素が大量に必要なのです。たいがいの土地では「窒素の量」が植物の生育を決める最重要ファクターです。マメ科植物が空気中の窒素を固定するのもこれのためです。人間の行う農業でも「ハーバー・ボッシュ法」の発明以前は窒素の確保に苦労していましたが、その発明後は飛躍的に農業生産を上げられました。

 ここまでは一般的な受講生向けの話です。理学部地学の学生であれば、鉱物の組成(カオリナイトとかアロフェンとか)、交換塩基容量などのことも一応知っておくべきで、その話もおいおいしていきましょう。日本の土壌はちょっと特殊で、リン分はかなり不足ですがそれさえあれば世界でも有数の肥沃な土壌であるとか、知っておけば面白いこともあります。

 さてその液体肥料、銘柄はともかく「N・P・K」濃度は必ず記されていると思います。肥料の主要三要素ですから。それもまた次回記事では記して下さい。またお渡しした固形の追肥用肥料を併用する際には、注意事項もありますので教えて下さい。

 ではまた記事お待ちします!

ラボスタッフ・オガタ