東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

生長と肥料(農:高橋悠太)

2022年11月15日 (火)

こんにちは。高橋悠太です。

最近またコロナが流行りだしたようです。僕の友達も何人かコロナにかかっていて、少し不安な状況が続いています。とりあえず手洗いうがいから徹底した方がよさそうです。栄養バランスをしっかり考えることも重要ですね。ということで、今回は肥料と栄養について少し調べてみたので紹介します。

植物のための様々な肥料

 まず肥料の種類を大別すると、化学肥料と有機質肥料がある。化学肥料は窒素肥料やリン酸質肥料などで、有機質肥料は主に堆肥などである。また、形状も様々で、固形のものや液体のものがある。それぞれの特徴としては、固形の方がゆっくりと持続して効果を発揮するのに対し、液体は速効性が高いという点がある。では、肥料の成分はどのようにできているのか。これは、植物が必要とする栄養成分を調べると分かってくる。以下の表にそれを示す。

元素 要求度 働き
N 葉緑素や核酸の構成要素
P 核酸や酵素の構成要素、開花結実促進
K 浸透圧促進
Ca 細胞強化、根の生育促進
Mg 葉緑素の構成要素
S タンパク質、アミノ酸、ビタミンの構成要素
Fe 葉緑素の生成関与
Mn 葉緑素の生成、光合成、ビタミンC合成に関与
B 水分、炭水化物、窒素代謝に関与
Zn 葉緑素やオーキシンの生成に関与
Mo 窒素の消化吸収を助ける
Cu 植物体の酸化還元に関与
Cl 明反応、デンプン合成に関与
Ni 尿素をアンモニアに変換する酵素の構成要素

◎:必須栄養素 ◯:二次要素 △:微量要素

肥料は多すぎても良くないと言われるが、なぜだろうか。これはあくまで私の考察だが、私浸透圧が関係していると思う。土中に栄養成分が多すぎれば、浸透圧的に考えて、植物に吸収される水は少なくなるだろう。この点については後ほどよく調べておきたい。

小松菜

 育て初めてから1ヶ月ほど経ったが、小さいものでも10cmを超えてきた。なんといっても肥料の効きがとても良く、生長が少し停滞した時期もあったが、今では株も太くなってきた。さらに、本葉が2,3枚になったということで2回目の間引きを行った。その際は、引っこ抜いてしまうと他の個体の根を傷つけてしまう恐れがあったので、根元からはさみで切るという方法で行った。

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ちょい辛ミックス

見ての通り集合密度がすごいことになっているが、なんとか順調に育っている。できあがりの葉の色と丈から見てまだ収穫ではないと思ったが、もう収穫できそうなレベルまで育っているものも見受けられる。葉の大きさは大きいものだと、高菜系では4cm、からし菜系では6cmくらいとなった。

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次回は少しつまみ食いしてみようと思う。

コメント

農学部 高橋さん

植物が必要とする元素とどのようなことに機能しているかをきれいにまとめてくれたのははじめてだと思います。なかなかの試みかと思います。元素としては、N, P, Kが必須元素なのですが、施肥するときの肥料はPではなくて、PO4であるリン酸として含有量を計算します。植物栄養学の範疇になりますが、最近、渡辺が執筆した書籍「エッセンシャル植物生理学-農学系のための基礎-」にも記していますが、化成肥料に含まれる窒素、リン酸、カリのパーセントを8-8-8というような表記をします。この場合、N2, PO4, Kが8%ずつ含まれているということを意味します。植物生理学ですが、広く、遺伝学、形態学など記してあります。生協の書籍コーナーにもあるかと思います。めくってみて下さい。

植物の生長は順調のようですね。残りのコメントはラボスタッフのオガタさんが来週行うかと思います。少しお時間を頂戴します。


わたなべしるす





高橋さんこんにちは

 上で教授もコメントしていますが、肥料を調べ上げ、こうして表にまでまとめて下さっているのは初めてです! 展開ゼミ始まって以来の快挙ともいえます。

 元素ごとによく書かれていますね。全くその通りなのですが、例えば窒素や硫黄はアミノ酸の原料ですから、成長に伴って必要なのは当たり前、そういった感じで「意味」が分かればいっそう面白いと思います。

 肥料が多過ぎても良くない、これには非常に多くの意味があります! 浸透圧の問題、これもまた「直接的な害」です。しかし、他にも「生長フェイズが狂ってくる(例えば窒素が多いと花が付きにくい)」とか、「食味がおかしくなる」とか......

 実は他にもまだまだあります。土壌酸性度を狂わせる(副成分で酸性化させてしまう、あるいはアルカリ分の肥料でアルカリ化させてしまう)とか、また二律背反の成分(マグネシウムやマンガンは競合する)であったりします。

 こういったことは、農学部であればいずれ植物栄養学で学習するでしょう。しかしまあ、ここで興味を持たれたのはいいことです。肥料は本当に奥が深くて、土壌吸着(土壌鉱物のイオン交換能)、緩効性、コスト(硝酸アンモニウムの方が効率が良いが、一般的には塩化アンモニウムが安価なので多用される、等々)、作物の好みの肥料(例えばイチゴは同じ窒素分でも硝酸態よりアンモニア態が好み)、もう本当にいろんなことを考えながら使わなくてはいけません。

 さて記事の内容です。

 コマツナが元気よく成長しています。客観的にそれを示すのなら、大きさ(長さ)や葉の枚数を日数で割って増加率が分かればいいですね。まあ、栽培的には成功です。

 間引きのタイミングも適切です。残りは何株でしょうか? コマツナならば、最終的に2,3株になるでしょうが、適宜また間引きを行って下さい。また、間引き株の実食もいいものですよ。そこで味により肥料の量が適切なのか塩梅が分かります。

 肥料の話に戻りますが、株元に見えるのは追肥でしょうか。いい量ですね。10日に一度くらい追加して下さい。この肥料は石膏成分に吸着させているタイプなので、肥料分が溶け出してなくなっても白い粒が残ります。消えてなくなるわけではないので、「日数」と「成長」により判断して下さい。

 ミックスの鉢が凄いです。本当、栽培が上手です。ぼちぼちベビーリーフとしては収穫時期ですね。間引きながら、葉を観察し、そして食べてみてください。株数が少なくなってきても構いません。そうなれば、「株を抜かずに葉だけ何枚か収穫する」という技でいけますから。

 さあ、食レポ含め、次記事も期待してお待ちします。

DSC_0030.JPG なかなかいいキャッチコピーだと思います......

ラボスタッフ・オガタ