東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

悩める2株(文:恵利一花)

2022年11月29日 (火)

写真は、実家で10年ほど飼っているクサガメです。今頃は、おそらく冬眠するかしないかのところでフラフラしている時期ではないかと思います。何も食べないくせに動き回って不安なので、頼むから大人しく寝てほしいです。

そういえば仙台に来てからカメを一度も見ていませんが、もしやここまで北に来ると分布していないのでしょうか。それとも仙台が都会なだけ......?

地元では、

 ミシシッピアカミミガメ→下手すると人間より多い

 クサガメ→多いがミドリガメに押されている

 ニホンイシガメ→たまに見ると嬉しい

 スッポン→年に数回、息継ぎをしに上がってきたところに出くわすことがあり、嬉しい

という感じでした。クマもリスもいるのにカメがいないなんて、仙台、不思議なまち......。

コカブの現在

上からコカブ 今日.jpg11/29 晴れ→雨 20℃/10℃

今日は、少々気味が悪いくらいに暖かい日だった。

コカブは4日前の中間発表の日からさらに成長し、植木鉢からはみ出すほどに。雨が降ったこともあってか、みずみずしく元気そう。

上からコカブ 前.jpg4日前の様子 晴れ 15℃/7℃

葉がしっかりしてきたので、葉脈などが肉眼でもよく見える。

葉脈が大雑把に(?)しか通っていない葉と、葉脈だらけでくちゃくちゃになっている葉があるのだが、この違いは何なのだろうか。また、葉脈は成長に従って増えてくるのだろうかと疑問に思った。それは人間に対しても同じで、体が大きくなるのにつれて、血管というものは本数を増やし、細かく枝分かれして血液を運ぶのであろうか。それとも構造のフォルムとしては同じまま、太さや長さだけが拡張されていくのであろうか。

S__9404429.jpg小さく若い葉の方が、葉脈の密度が高いように見える

近い......

しかし、私はある深刻な問題点に気づいた。

今までも薄々違和感は覚えていたが、今日突然、それが確信に変わった。

この2株、異様に近いのである。ただでさえ狭い植木鉢の中で、ぴっとりと不必要に寄り添っているのだ。

upコカブ 今日.jpg暗くて見づらいが、間隔が2㎝強しかない

こうして見ていると、子葉が今にも触れ合いそうな近さである。

「え、ずっとこんな近かったけ⁉」と思い、1か月前の写真を見たところ、そんなことは無かった。

S__9404430.jpgなぜだか明らかに、この頃より近づいている

徐々に移動していたため、今の今まで気付けなかった。風の抵抗を受けて右に左にと振り回されている様子をよく見たので、できるだけ安定するようにと、水をやった後には子葉の下ギリギリくらいの所まで、まわりの土を盛り固めていた。その際、どうしても外側の土を内側に寄せる方が楽なので、知らず知らずのうちに土の圧で内側に追いやってしまい......などと推測しているが、原因は不明である。

 

こうなると浮かんでくるのが、「間引き問題」である。

当初は2株の間が4~5センチほどあったので、小さめのカブが2つ収穫できればいいな~と思っていたのだが、今のままでは最大直径2センチのカブくらいのスペースしかない。しかし間引く想定はしていなかったため、間引きのタイミング(本葉3枚と書かれているサイトが多かった)を逃してしまっている。加えて、ここまで育ったコカブを抜いてしまうのももったいないし、土の下が現在どうなっているのかも分からない。もしかしたらすでに肥大した根が衝突していたり、絡んで取れなくなったりしているかもしれない。

まったくどうしたものか......

とりあえずは、危機を感じてすぐに助けを求められたことに安心をしつつ、日ごろの世話を怠らないよう気を付けようという意気込みと共に、明日の1限目のために今日は眠ることにします。

コメント

文学部 恵利さん

育種の渡辺です。明日の午前中にラボスタッフ・オガタさんからのコメントが入ると思いますが、渡辺であれば、もう少しこのままで様子見をします。万が一、残った方に異常があると、困ってしまうというのが渡辺のコンセプトです。それよりも気になったのは、土の量です。根っこが張る体積が少なくなると、植物は大きくなりません。もし、土が残っていたら、少し土を足して下さい。その時、そのまま足すというよりも植物を根っこから持ち上げて、土を下に入れるというイメージです。分かるでしょうか。植木鉢の上から2-3cmまで足すことができたらよいかと。明日のオガタさんからのコメントも参考にして下さい。


わたなべしるす



恵利さんこんにちは

 のっけから何何何!?

 京都の田舎の方育ちとは最初の記事に書かれていましたが、え、カメが日常的にいる風景とは......

 しかも4種類も発見できる...... スッポンまでいる!? いやいやいや、そういう地域の方がレアだと思います。むろん仙台は寒いのでそういった変温動物は少ないかもしれず(そういえば、倉敷に住んでいた時にはカメやカナヘビが豊富にいたような)、見かけませんね。

 逆に熊やリスはいない方がいいんですが。しかしまあ、京都に帰られた際、仙台に熊がいると周囲に話されたら、とんでもなく熊が徘徊していると思われてしまいそうですね。

 さて、今回の記事ではコカブの成長が見て取れます。そして記載について、天候や温度(最高温度と最低温度の併記まで)を表示しているのはいいですね。

 書かれている「葉脈の違い」、よく見ました。どうして違いが生じるのか私にも分かりません。太いのしかないのか、細かく複雑なのか、基本的には遺伝子のスイッチングで決まるのだとは思いますが...... もちろん環境によって「そのつど可変されていく」こともあるのでしょう。そして遺伝子のスイッチングについても、おそらく環境適応の一環として行われていると想像します。ちょっとまあ不明ですね。

 そういった制御は複雑で、多数の遺伝子が関与していることが多いのです。生物の遺伝的研究にしても、昔は「見える現象→酵素や化学物質の類推→遺伝子の特定」といった道筋で行うことが多かったのです。ところが、近年では遺伝子発現を「多数を一気に、しかも正確に」読み取ることができますので、「最初から遺伝子発現を見比べ」ていきます。すると、関与する遺伝子を同時にいくつも発見することができます。つまり、技術の発展につれて研究手法も変わってきたのですね。非常に効率良く。

 あ、ちなみに動物の血管は、成長につれて血管そのものが数を増していきます。これは体の組織が「血管、つまり酸素と栄養の補給が必要だ」と見なすと、血管を呼び込む、つまり血管を生育させる誘因物質を作るのです。

 もう一つ言えば、ガン細胞もまた血管を強力に呼び込んで、自らの増殖を加速化させます。そのため、この血管を呼び込む因子を抑え込んでガンの発育を止める研究がなされています。そのため、人体で唯一血管のない軟骨組織の研究なんかがされているようです。

 余談ばかりになります。血管は普通「網目状に」存在します。そのため、多少の血管が傷んでも、迂回路を通して栄養の供給がなされますので、あまり問題はありません。ところが、器官によってはこの迂回路が存在せず、そのため血管の障害が即器官の壊死につながるものもあります。それが脳と心臓です! そのため、血管の一部が詰まっただけで、「心筋梗塞」「脳梗塞」という病気になるのです。そういう脆弱な器官なんですね。

 さて話を戻します。

 コカブの2株、確かに近付いてますね! 自ら移動するわけはないので...... 原因は不明です。土寄せのためなのか、風のためなのか......

 ともあれ、結論を言えば対処は不要です。というか、まだ間引きをしてはいけません。たった2株なので、この先どうなるか分かりませんから。自然死することはなくとも、風で折れるor鳥に食われることだってあり得ます。先ずはこのまま生育させ、よっぽど無理があればその時点で考えましょう。

 コカブの根の肥大が阻害される、まだその心配は早いです。なぜなら、根同士が押されるようになれば、その力で離れる方向へ動かされるでしょう。もちろん土の下の根は絡んでいます。しかしそれは事実上障害にはならず、というか自然界の群落はみなそのようになります。根による水や養分の吸収はかなり広範囲からなされるものなので、株が近接していても、違うところからなされるだけです。実際、このコカブたちの根はほぼ鉢全体にまで届いていることでしょう。それは思ったよりも伸びていますよ。

 教授が「土を足す」ことを勧めています。気力と繊細さがあればチャレンジして下さい。ですが難易度高いです。根を痛めないで足すのは...... 先に書いた通り、案外根は広く伸びていますので、かなり大きい範囲を一気に持ち上げないと痛めます。

 次記事も期待してます。

DSC_1325.JPGDSC_0420.JPG こんなのも存在するんですね......

 あ、そうだ、中間発表から

いざ文章を読んでみるとあら不思議。男女だの単複だのを細かすぎるほどに分けてくれるおかげで、今誰が話しているのか、誰のことを言っているのか、それが女性なのか男性なのか、いったい何人いるのか。綴りと活用を見るだけで、場面の様子が全部分かっちゃうんですね

 そうですね! そこに到達するまで大変なんですが。

 ちなみに、世の中は広いもので、「活用もなければ語順も適当」な言語があります。

 セルビアはセルビア語なんですが、ブルガリアに近付くにつれてその影響で活用が失われていきます。しかし、ブルガリア語のような後置詞は存在しません。そのため、セルビアの南部地域では上記のような状態になり、話の中で誰がどうなっているのか、脳内で捕捉しないと捉えられない状態です。しかしよく考えれば...... 日本でも関西人はそういう傾向がありますね! 「その魚昨日ネコ食うたわ」という文でも、助詞無しでも、主語が分かりますから! 極端には「皿昨日ネコ食うたわ」でも、「皿(の中のエサ)」と補足しますから、全然平気なのかもしれませんが。

 どうでもいいことですが、日本語は人称が豊富です。「僕」「あたし」......「わらわ」「あちき」「自分」「余」「朕」もう数え切れません。もうその人称だけで誰がどのような人物で、どの地位の人に対して、そしてどんな感情で語っているのか明らかに分かります。

 もう一つ、日本語は「位相語」という文末の言葉も豊富です。「~ね」「~だ」の他、最近はラノベ文化も手伝って「~っぽい」「~かしら」「~ござる」とかめちゃ豊富...... これでいろんな情報を得られるのだから日本語凄いですね。

ラボスタッフ・オガタ