東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

太く強く育つ小松菜(農:高橋悠太)

2022年12月 1日 (木)

こんにちは。高橋悠太です。

 最近は一気に2℃まで冷え込んだりと冬になったのを感じます。関東出身の友達は雪が楽しみという人もいますが、我々東北民にとっては厄介でしかありません。あまり大雪にならないことを祈っています。

 そんな中、小松菜たちは強く育っています。1週間前と比べながら、その生長を観察しました。

小松菜

 栽培開始から50日経ち、葉が肥大している様子が観察される。その大きさは縦12cm×横8cm程にもなった。以下は、先週と今日の小松菜の比較である。

40515.jpg                 公開日の一週間前↑

40517.jpg                 今日↑

 また、上から見てみると、普通の植物は一本の茎から側芽として葉が生えてくることが多いのかもしれないが、小松菜は中心から葉が生えてくることが分かる。中心にはこれから生長するであろう若芽が存在している。では、茎の角度はどうだろうか。茎は、一番下のものが120°、次は60°位の広がりを見せている。そして、上に行くほど垂直に伸びていた。これは、日光を効率よく吸収するためであると考えられる。

40518.jpg40519.jpg

                小松菜の中心↑

ちょい辛ミックス

 前回はほどほどに育ったちょい辛ミックス4種類を実際に食してみたが、それぞれ少しずつ渋みや食感が異なっていた。コメントにてアントシアニンの言及があったが、これは味にも少し関係している可能性があることが分かった。アントシアニンは通常無味無臭であるが、野菜においては渋みに関係するという説があるようだ。前回を見ていただくと分かる通り、確かに紫色素が多い紫高菜は三池高菜より少し渋みを多く感じた。一週間前と比べると、葉の紫色が濃くなっていることから、アントシアニンが増加していると考えられる。

 また、茎の角度という観点から見ると、小松菜より垂直に伸びていることが分かった。これは密集しているため、個体間の競争が起こっている可能性が考えられる。

40513.jpg                 一週間前↑

40520.jpg                 今日

植物が水分を吸収する仕組み

 最後に、植物が水を吸い上げる仕組みについて調査したので紹介する。ここまで小松菜とちょい辛ミックスを育ててきて、明らかに2つの乾燥耐性には違いが見られることが分かった。植物は根から水分を吸収する際、人間のように自分から飲んでいるわけではない。重要なのは濃度勾配で、根の細胞のイオン濃度が根の周りの水分や養分のイオン濃度より濃ければ、浸透圧により、根に水分が取り込まれる。5回目の記事で肥料の与えすぎは浸透圧の観点で良くないということに触れたが、このことからおそらくその考察は正しかったといえる。ただ、これだけでは植物の上部まで水が循環することはない。循環に関わるのは蒸散である。これはストローの原理と全く同じで、蒸散で失われた分下から水が引き上げられる。植物によって与える水の量が変わるのは、葉の大きさや厚さ、つまり蒸散が大きく関係しているのではないだろうか。


コメント

農学部 高橋さん

育種の渡辺です。今朝は仙台でも初雪だったとか。雪が積もることがあったら、植物からで切るだけ早く除雪して下さい。湿害がでることが稀にありますので。栽培力という点ではとても素晴らしいです。この栽培力を活かして、中間発表でも行っていた「グラフ化」ということを、特定の葉に着目する、せっかくだから数枚の葉の生長をグラフ化してみる、生長といってもどこを計測するかは、高橋さんのideaの勝負です。とらいしてみてください。

ミックスは「密林」のようになっていますね。それぞれの個体から葉っぱを数枚ずつ収穫して、あるいは個体毎収穫して密度を下げる、そんなことを考えてみてはいかがでしょうか。それ以外については、ラボスタッフ・オガタさんが月曜日にコメント予定です。それまでお待ち下さい。


わたなべしるす





高橋さんこんにちは

 雪は......確かに厄介です。まあ比較の問題で仙台の雪は序の口であり、秋田青森の山間部......1mとか2mとか、どんなものでしょう。私は新潟大学の助手を3年やりましたが、新潟の雪というよりは天気の急変と吹雪に大変困りました。

 さてコマツナが本当に素晴らしく成長しました。また葉の色といい、ツヤといい見事なものです。あともう少しで収穫になりそうですが、市販のものには及ばないがそう遠くないものになる気配がします。適宜間引きも行ってもう一段階大きくしましょう。

 葉の角度はその通りですね。ホウレンソウなどよりは「ロゼッタ」を形成しにくい植物なので、葉は立ち気味です。

 ちょい辛ミックスもまたキレイな成長なのですが、教授が言う通り、「大きな葉からかきとって収穫する」のか、「間引きで株数を減らしながら収穫するのか」決めてやってみてください。どちらでも結構です。ベビーリーフは決まった収穫時期はありませんので。

 もちろん追肥は適宜与えて下さい。ややもすると最後にいつやったのか忘れ気味なってしまいます。

 最後に水の吸収については、よく調べました。水の輸送機構にはまだ不明の点が多くて本当にポンプ機構がないのか議論されています。ああ、そういえば展開ゼミには最後の関門として「帰省時の対応」があります。どういった形で、数日を水を切らさないでおくか、過去記事(成功も失敗も含めて)を見たらいいですね。

DSC_0048.JPG これは横浜で見つけた自販機、500円を入れるとオレンジを4つくらい自動で絞ってジュースにします。味は普通だったのですが、見てると面白いものでした。

ラボスタッフ・オガタ