東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第12回 収穫前最後の追肥など。(理:山本実永)

2023年1月 5日 (木)

第12回報告

 あけましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 ということで、こんにちは。山本である。この記事も残すところあとわずかである。他の科目でも試験が始まり、計画的に課題と勉強をこなして頑張りたいと思う。この1月を乗り切れば、春休みが待っているということを支えに耐えてみせよう。さて本題に入るが、野菜はそろそろ収穫を見据えてラストスパートである。収穫の時期は、朝霧・浅漬けミックス共に今月中旬くらいを見据えている。今回は以下のようなことを書く。
1朝霧の近況
2浅漬けミックスの近況
3浅漬けを食べた感想

1 朝霧の近況

 朝霧は、播種から86日目となる1月4日に化成肥料による追肥をした。追肥をした位置を下の写真の白円で示した。この円で囲った位置それぞれに、化成肥料10粒くらいを撒いた。

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 播種から85日目となる1月3日に観察したとき、最初の方に出てきた本葉の色が薄くなり、元気がなくなっていることに気が付いた。以前のコメントで、葉の色が薄くなってきたら追肥するということを聞いていたため、今が追肥するのに良いタイミングだと判断し、追肥した次第である。下の写真の白円が最初の方に出てきた本葉である。他の本葉に比べ、緑色が薄く見える。

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2 浅漬けミックスの近況

 浅漬けミックスは、播種から87日目となる1月5日に液体肥料による追肥を行った。鉢の大きさに合わせた規定量を追肥した。浅漬けミックスは、先月から生長が鈍っており、次の収穫が最後となると考える。今生えている分を収穫したらおそらく終わりになってしまうだろう。写真は、播種から87日目となる浅漬けミックスを上と横から写した写真である。

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3 浅漬けを食べた感想

 私は、浅漬けを作ったはいいが、食べることを忘れて帰省してしまった。帰省から戻った時に見てみたところ、水分が蒸発して塩の結晶が析出していた。試しに食べてみたところ、とても塩味が濃かった。喉が痛くなるほど塩辛く、とても食べられる代物ではなかった。そういうわけで、一晩塩抜きをした結果、なんとか食べられる程度の味に落ち着いた。今回の味が濃くなった原因は一つである。面倒だと思ってはかりを使わなかったことだ。料理経験の浅い私が目分量に頼るのは、早すぎたようである。最後の収穫では、はかりを使っておいしい浅漬けを作りたいものである。写真は塩抜き後の浅漬けの写真である。

IMG_20230105_215105.jpg第12回は以上である。寒さが厳しさを増しているが、試験と最終発表を頑張りたい。

コメント

理学部 山本さん

育種の渡辺です。あけましておめでとうございます。この講義も残すところ、この1ヶ月です。もう一息、頑張りましょう。放置された漬物になった野菜、野菜も無念だったと思います。浅漬けを作る時は、「浅漬けの素」のようなものも市販されています。そんなのを使うことを考えて見てはどうでしょうか。追肥を収穫前の10日くらいは避けるというのをラボスタッフ・オガタさんがコメントしてあったかと。追肥によって野菜のえぐみというか、苦みが増えるので、そんなこともあって収穫前は追肥を避けるということです。追肥から考えて、収穫してみて下さい。

1月が試験、レポートなどが大量に来ます。今から始めて下さい。というかすでに始めていると思いますが、この講義で身につけた早めの行動を起こすということを大事にして乗り切って下さい。それ以外については、1月9日にオガタさんからのコメントが投稿される予定です。それも参考にして下さい。


わたなべしるす




山本さんこんにちは

 第一学年ではこの1月が最も忙しい時期だと思います。そこを乗り切る...... しかし、後から振り返ってみれば、楽しい「イベント」であったと気付くはずです。何を勉強したかなんて数年後には忘れていると思うのですが(というか必要な分しか覚えてないし、他は思い出せない)、「イベント」を経過したな、というある意味人生の貴重な記念は残ります。

 実のところ、人間の記憶において「内容そのもの」よりも「その場面での感情」の記憶が重要です。つまりは、楽しかったという感情記憶が重要であり、それが後々の人生においてポジティブになるための糧となります。このことは例えば子育てにもあてはまり、子供が何をどうやって遊んだかという記憶を残さなくとも楽しかったという感情記憶が残ればオッケーです。だから、どうせ覚えていないとしても遊園地に連れて行くとかいうのは意味があるんですね。

 さて記事内容はホウレンソウの追肥から始まります。

「葉の色」で追肥の時期や量を見極める、これは王道ですね。しかし......現実的には、植物栽培に慣れていないと難易度高いものです。そのため、追肥の日数的間隔をきちんと記録に残し、把握した上で定期的に施すのがいいと思います。10日に一度の間隔が目安です。

 というのは、葉の色を見るのはなかなか厄介で、低温などの影響によっても変わるからです。記事の中にもありますが本葉の下の方は緑色が薄くなっています。もちろんその葉が出た時よりも色が薄くなってきたということです。具体的に言うと、葉の細胞内にある葉緑素が分解され、それをリソースとして株の新しい葉の方へ移動していったということです。つまり植物は重要な新葉にリソースを集中しました。このことは確実なんですが、しかし低温のためにそうもっていったのか、窒素肥料分不足のためにやむを得ずそうなってしまったのかは分かり難いことです。追肥で、その色が薄くなっていくことを完全に止められないとは思うのですが、どのみち時期ですので与え続けて下さい。

 浅漬けミックスは写真で見る限り、ぼちぼち成長限界ですね。収穫終わりの見極めをされているのは非常に適切だと思います。

 しかしまあ、一回目の浅漬け作りは......そうなりましたか。

 水分が蒸発すれば、それは塩も析出しますし、塩辛いでしょう。ちょっと無念ですね。せっかくカブの小さく形成されたものまで食べられたのに......塩抜きをすればうま味や甘みも無くなってしまったことでしょう。

 そうなった原因......はかりを使わなかったことはもちろん一因ではありますが、何日も放置すればどのみちこうなります。

 ちなみに、味噌汁やスープなどはその種類に関係なく塩分1%(つまり体液くらい)が一番美味しいとされています。そして、例えば海水は塩分3%程度(もちろん日本海や瀬戸内海、太平洋で塩分濃度は異なります)なので、海水は塩辛いです。ところが......食塩の飽和濃度は26%です! けっこうとんでもなく高い数字ですね。

 もう一つ言うと人間の腎臓は塩分を約4倍濃縮することができます。すると......海水の塩分濃度まで濃縮することがギリギリ可能かどうか、ですね。このため、遭難しても海水を飲んではいけません。しかし逆に短時間に限った緊急では飲んでも構わないということでもあります。

 余談ですが、いちがいに塩分といってもナトリウムとカリウム、カルシウムは役割がえらく違います。ナトリウムは浸透圧や神経伝達、カリウムは筋肉、カルシウムは細胞内情報伝達のシグナル、でしょうか。それぞれが各種ホルモン、そして腎機能によりコントロールされています。よく栄養の話でむくみを取るためにカリウムを摂りましょう、とか言われますが、もちろんその通りではありますがあまり偏った摂り方はいけません。

 もう一つだけおまけに言うと高血圧では塩分が悪さをするタイプと、全く関係ないタイプがあります。それは人によって違うことなので、もちろん標語としてマクロに塩分減少キャンペーンを行うことは正しいのですが、各個人を見れば塩分を減らした方がいいのかどうかは別問題です。

 ではまた、せっかくなのでミックスの再度収穫などを含めたレギュラー記事もお待ちします。

DSC_0531.JPGラボスタッフ・オガタ