東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ブロッコリースプラウト、クライマックスへ(農:柚原結女)

2023年11月 8日 (水)

こんばんは、柚原です。
前回の投稿からかなり時間が経ってしまいました。すみません。
また、次回予告をしたものの、今回の記事は、ブロッコリースプラウトが主役のものになっています。

それでは、内容に入る前に‥
写真は熊本の田原坂周辺の風景です。
季節外れではありますが、春雨の日です。

目次

1. ブロッコリースプラウト、クライマックスへ
2. 反省と今後に向けて〜販売品との比較〜
3. ブロッコリースプラウトのその後...


1. ブロッコリースプラウト、クライマックスへ

ブロッコリースプラウトですが、栽培から25日目午前9時頃、光照射による緑化を始めました。
置いた場所は、室内の明るい場所。
直射日光はほとんど当たりません(当たっても1日1時間程度)が、朝、夜は街灯の灯りや室内の灯りによって少なくとも6時間程度は照射される場所です。

栽培から27日目、光照射からおよそ1日半。午前1時の室温は14℃、湿度は78%です。
ブロッコリースプラウトは緑に色づき始めたようです。まだ、色は薄めなようです。
縦方向への成長も観察されました。
一方、解決したと思っていたカビの匂いがまた微かにするようになってしまいました‥

IMG_5548.JPG

栽培から29日目。光照射から4日目。午後1時頃の室温は18℃、湿度は52%です。
葉の色は前回の観察と比較すると濃くなっていました。収穫までもう少し色付いて欲しいと思いましたが‥
栽培日数がかなり長くなっていること、上方向への徒長が依然まだ進んでおり、かなり個体の丈が長くなっていること、カビの匂いが少し強くなっていることから、収穫することを決めました。

IMG_5610.JPG

IMG_5612.JPG収穫したブロッコリーのスプラウトの長さは2cm~14cmと、かなりの個体差がありました。
色付きの程度も個体差がありました。
茎の直径は1mm程度でした。

次に、根についてですが、こちらも個体によって差が見られました。
根同士は絡み合っているように見えましたが、スポンジを入れ忘れたためでしょうか、ほぐすと簡単にバラバラになりました。


2. 反省と今後に向けて〜販売品との比較〜

今回のブロッコリースプラウト栽培の結果を簡単にまとめます。

栽培日数:27日
光照射日数:4日
栽培温度:14〜18℃
湿度:52〜78%

ここで、種子の袋に記載されている情報の中で比較できるものは並べてみましょう。
生育適温:15~25℃
栽培日数:7~10日

圧倒的に栽培日数が長いです。
また、温度は生育適温と比較すると全体的に低めであったと考えることができそうです。

次に、販売品と比較してみましょう。
IMG_5618 2.JPGやはり、栽培した個体の葉の色の濃さがかなり薄かったようです。
販売品について、種子が幾つ撒かれていたかは分かりませんが、個体の密度にも差がありました。栽培個体の方が密度が小さいです。
また、個体間の茎の長さの差は、栽培個体で顕著でした。全体的に栽培個体の方が茎の長さが長いです。

今回の栽培では、全体的に気温が低かったため、栽培日数が長くなったと考えられます。
一方で、光照射するタイミングはもう少し早くてもよかったと思われます。
置く場所も、できれば直射日光がしっかりとあたる場所の方がよかったと考えられます。葉の色が薄い理由の1つとして、室内の光の強さが不十分であったという可能性があるからです。
また、今回はプラスチック容器の底にスポンジを入れるのを忘れてしまいました。個体同士の安定性を与えるためにも、使用するべきであったと思います。

反省は以上です。ぜひ今回の栽培を次回に活かしたいと思いました。


3. ブロッコリースプラウトのその後‥

収穫を終えたブロッコリースプラウトのその後についてお伝えしましょう。

実は、ブロッコリースプラウトを食べるのは何気に初めてであることに気づきました。
そのまま食べてみると‥あまり味がしませんでした。かいわれ大根のような辛味はなく、微かに甘味があるように感じました。ブロッコリーらしい味がするような気もしましたが‥思い込みのような気もします。
市販のブロッコリースプラウトも食べてみました。
うーん、ブロッコリーらしい味が栽培個体よりは強い気がしますが、あまり印象に残る味ではありませんでした。

これでは、料理に使うと他の食材や味に負けてしまうのではないか‥
そんな心配をしながら作ったのは‥

IMG_5615.JPG

「ブロッコリースプラウトと納豆の包み焼き」です。
作り方は簡単。納豆とブロッコリースプラウトを混ぜて付属のタレで味付けをし、油揚げで包み、フライパンでこんがりと焼く。
味は‥やはりブロッコリースプラウトの存在感は無く、納豆の甘みと油揚げの香ばしさが口に広がりました。

ブロッコリースプラウトを活かした料理については、色々と模索が必要な気がします。
どんな食べ方がいいのだろう‥
けれど、とにかくまずは‥ご馳走様です‥!

今回の記事はここまでです。
それでは、よろしくお願いします。

コメント

柚原さんこんにちは

 最初の写真は、あの有名な田原坂ですか!! 思っていたよりも山深い感じがしますが、こういうところなんですね。掘ったら鉛玉でも出るでしょうか。

 さて、今回の投稿はスプラウト栽培の結末です。上手にまとめられています。結論から言えば、その通り日数がかかり過ぎました。もちろん、水を切らした等の不都合がない限り、温度が低かったせいですね。人間の快適温度は22℃ほどなのですが、室温がそれよりもだいぶ低め、柚原さんは寒がりではなさそうです。

 逆に言えば通常10日間ほどの栽培期間をよく27日間もたせました。水が腐る心配もさることながら、種子のエネルギーを使い果たして枯死する危険がありました。市販品と比較すると分かりますが、市販品はだいたい6cm程の長さでしょう。それよりも倍以上伸びる個体があったのは凄いことです。

 長さのばらつきについて、前回投稿のコメントに書いた通りです。やはり市販品はばらつきを極力少なくするノウハウの下で作られているようです。おそらく、そのノウハウの最大部分は播種密度だと想像します。

 緑化については考察の通りだと思います。緑化へのスイッチはそれほど強い光を必要とするものではないのですが、さすがに室内光では(どのくらいの照度かはわからないのですが)足らず、緑化が充分にはなりませんでした。もしかしたら緑化へのエネルギーがもう種子に残っていなかったのかもしれません。伸長よりもなお緑化にはエネルギーを使いますから(葉緑体の生成などを含む)。

 農学部の学生なら、ここで光感受タンパクのフィトクロムのことなどを知っておいたらいいですね。というか、最近では高校生物の教科書にもフィトクロムの可逆的な赤色光ー遠赤外光反応の話が出ているようです。ただ、やはりこうして実際の反応を現物として見るのは醍醐味があったかと思います。

 最後は食レポですね。

 正直、私としては栽培よりも食レポの方が楽しみだったりします。今回作られたのは納豆の包み焼という全く見たこともない料理でした。そこで、ブロッコリースプラウトの存在感が無いという...... まあ栄養にはなります。ここでハタと気付きましたが、実は私はブロッコリースプラウトを食べたことが無いのでした! ブロッコリーの味なのか、他アブラナ科植物のカイワレのような味なのか......うむむ。

 さあ、次は鉢植え栽培の投稿になるでしょう。期待してお待ちします! それと、他受講生へのコメントで徒長対策とか追肥のことなどを書く予定ですのでご覧下さい。

DSC_0487.JPG 晴れソーダ...... 晴れソーダ......

ラボスタッフ・オガタ