東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終報告     笹嶋由佳(農:笹嶋由佳)

2016年1月21日 (木)

とうとう、最終発表となりました。 農学部1年、笹嶋由佳です。この授業の開始当初は、農学部が2人しかいないことに驚き、初めての授業形式に衝撃をうけたことを覚えています。10月に小さな種と栽培に必要な道具をいただき、約三か月、野菜を栽培してきました。指に乗るほどの大きさの種が、発芽し、根を張り、大きく丈を伸ばして成長していく様子を観察するのはとても楽しかったです。自分一人では、枯らすことなくちゃんと育てることができるのか、不安もありましたが、なんとかここまでやってくることができてほっとしています。では、最終発表に移りたいと思います。渡辺教授からの課題に答える形で書いていこうと思います。

(1)植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

まず、想像より大変だったことについては、毎日毎日、植物たちのことを考え、天気をチェックし、元気かどうか確認することが欠かせなかったことです。慣れてきてからは、大体どのくらいの頻度で水をあげればいいのか分かって楽になったのですが、それがわかるようになるまでにはかなり時間がかかりました。水をやらなさすぎて、ある朝起きたら葉っぱがしなしなになってしまったことも何度もありました。

また、私の場合、どうしても朝810時ごろに家を出ると、帰りは1922時ごろになってしまうので、夜かなり寒くなっても外に出したまま22時過ぎまで室内に植物を取り込めなかったり、また外に出すには寒すぎるという日が続くと2~3日は室内に入れっぱなしだったりしました。植物をベランダにだしたり、また取り込んだりするのは結構大変でした。

次に、意外とうまくいったと思ったことは、すこしのうっかりなら、失敗は取り戻すことができたことです。その点で、葉が大きくなってからの白菜の管理はしやすかったです。水が足りなくなると、一番外側の大きな葉から順にしなしなしてくるので、一目で水が足りないことがわかりました。あわてて水をやると、その日の午後には外側の葉もシャキッとして、ほっとしたということが何度もあります。また、白菜を部屋の外のベランダに出した日に、夕方から雪が降り始めてしまったこともありました。用事があったため、帰宅が9時近くになってしまったのですが、それで枯れてしまうことはありませんでした。植物の生命力の強さに助けられました。

(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

一番の波及効果は、わからないことは自分で調べるという姿勢を持とうとするようになったことです。白菜も、春菊、豆苗も、まったく育てた経験のない私は、何もかもが手さぐりでした。発芽させるにはどうすればいいのか、発芽したらいつ土に植え替えたらいいのか、肥料はいつ、植物からどのくらいの距離に追加するのがいいのか、間引きはどのタイミングで行うのか、なにもかもが分かりませんでした。わからないので、自分で調べるしかないのですが、ネットを検索しても、情報量が多くて調べるのに時間がかかることもしばしばでした。できるだけ2つ以上のページを見て、なるべく自分の状況にあうような情報をえらぶようにしていました。調べることが面倒くさくて、つい怠ってしまった時もありましたが、枯らすわけにはいかない!、という責任感から、自分で調べるという習慣を続けてくることができた気がします。自らわからないことを調べるというのは、今後、実験やレポート作成、また日常生活においても、とても大切な姿勢だと思います。実際、このセメスターに受講していた自然科学総合実験では、実験の原理や、得られたデータの処理の仕方、実験によって明らかになったことが、実際の社会にどう応用できるか、など、毎回インターネットや本を使って調べることを欠かしませんでした。毎回徹夜してしまうほど、時間はかかり、大変でしたが、そうすることでより深く内容を理解できたと思います。これからも、わからないことは自分でインターネットや本を使って調べる、ということを続けていきたいと思います。

(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

毎日観察しなければ、異変が起こった時に素早く対処できないので、私が責任を持って私の白菜と春菊を育てなければ、という責任感と、おいしい白菜と春菊を育てて食べたい、という食欲で、野菜たちを育てていました。今では、どんなに遅刻しそうな朝でも、植物のことが頭に浮かばない日はありません。毎日観察するようにすれば、虫に食べられたり、病気にかかった時もすぐに気が付くことができるので、毎日の継続は大切だと思いました。水やりも、どのくらいの周期で行えばいいのかを知るためにカレンダーに水をやった日を書き込むようになったので、水不足で野菜たちをしなしなにしてしまうことも減りました。三日坊主の私が、毎朝の習慣になるまでこの栽培を続けてくることができたのは、大きな成長だと思います。このゼミを通して、継続する習慣が身についたと思います。また、自分の眼だけで観察するのではなく、長い時間軸で考えたときに比較するには写真があるといい、と気付いて、写真も多く撮るようにしました。2つの白菜を同時に写真に映すときには、なるべく同じ構図になるように配慮しました。どうすれば読み手にとってわかりやすいか、徐々に意識できるようになったのでは、と思います。

(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

もともと日記などを書く習慣はなかった私ですが、今回のゼミの文章を書くのは全くと言っていいほど苦痛ではありませんでした。理由の一つは、教授やメンターの方々からいただいたコメントやアドバイスがあったからだと思います。自分の書いた栽培の報告に対して、何かしらのコメントがもらえるというのは文章を書くモチベーションの向上におおいにつながりました。また、私と同じ野菜を育てている他のゼミ受講生の方たちの様子も知ることができたので、自分の野菜たちの生育状況と比較して栽培することができたことも大きかったと思います。ほかの授業のレポートとはうって変わって、毎回楽しく書くことができました。ただ、だれでも見ることができるものなので、はじめて見た人にも植物の生育状況が伝わるようにしたいと思い、写真はできるだけわかりやすく撮るようにしました。また、必ず文章の最後にはそれぞれの野菜の栽培日数を書くようにしました。授業で課されるレポートは、その講義の教授や講師の先生だけに向けて書けばいいですが、この授業はアドバイスしてくださるメンターの方や、ほかの受講生、さらには一般の方にも読まれるかもしれないものなので、多くの人の目に触れてもいいものにしようと文章を書く際に意識する姿勢が身についたと思います。

 

(5) 以上の(1)(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

このゼミで、植物を育てたことがほとんどない素人の私でも、野菜の栽培ができる自信がついたと思います。この経験を、農学部としては生かさないのはもったいないことだと思うので、これからも植物の栽培を続けていきたいです。今の白菜と春菊については、これからも収穫まで栽培を続けるのはもちろん、今年の春から夏にかけて、農学部のサークルでいろいろな野菜の栽培を行うので、様々な種類の野菜作りにどんどん挑戦したいと思います。暖かい時期ということで、このゼミで行なった栽培よりも気を遣わなくてはならないことが増えるとは思いますが、頑張りたいと思います。サークルの野菜作りは、完全に露地栽培で、かつその畑が雨宮にあるため、毎日様子を見に行くというわけにもいきません。その分、今回の私の白菜の栽培のように、3日水をやらなかったら萎れてきたから、あわてて水をやって、元通り、ということができないので、水をやる間隔を、天気も考慮してきちんと管理しなければならないと思います。何か起こってからの対処では失敗してしまうので、ゼミでの栽培にもまして下調べを徹底して行いたいと思います。

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私が今栽培している白菜と春菊は、まだ収穫はできないので、これからも栽培を継続していきたいと思います。春菊は写真のように、かなり密集して茂ってきたので、またすこし葉を収穫して食べようかと考えています。

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白菜に関しては、一度結球の兆しが見えていたものの、それ以来なかなか結球が進みません。経済学部の森さんも報告されていたように、私の白菜もやはり寒すぎることが原因ではないかと思います。大きい鉢のほうは中心部が少し巻いているのですが、小さい鉢に至っては結球の兆しも見えません。白菜として収穫して食べることができるのか、心配ではありますが、できるだけ粘って観察を続けていきたいと思います。また、以前にも書いたのですが、白菜はもともと植えていた鉢から移し替えたあと、移さなかった方(写真の上)と移した方(写真の下)で生育の差がはっきり出ました。もとの鉢に残った方(上)は大きく育ちましたが、移し替えた方(下)は、やはり土が原因なのか、大きい方の三分の二ほどです。前者はゼミの開始時に頂いた土、後者は移し替える際に買ってきた、腐葉土です。土の差でここまで大きな差が生まれることは、純粋に驚きました。野菜作りは土づくりが大事、という言葉を聞いたことがありますが、真実だ、と身をもって知ることができました。また、ほとんど土の違いのみでここまで大きく成長具合に差が出てくるとは正直思っていなかったので、対照実験が成功してよかったです。

長かったようであっという間の3か月でした。この展開ゼミを通して思ったことは、植物の成長の不思議です。指先にわずかに乗るほどの小さな種が、水を含んだだけで発芽し、ひとりでにぐんぐんと成長していく様子には感動しました。当たり前のような現象にも、よくよく考えてみると不思議な仕組みが備わっている、そのことを体感できたゼミでした。

最後となりましたが、お忙しい中、毎回の投稿に目を通し、コメントを下さった渡辺教授、アドバイスしてくださったメンターの方々、本当にありがとうございました。今後もこの授業で得たことを生かして、おいしい野菜を作ろうと思います。

 

 


コメント

農学部・笹嶋さん

 遺伝の渡辺でございます。さすが農学部ですね。ハクサイが結球してきているのは、感動ものです。毎日の観察は、農学という食糧に関わるものの生産においては、とても大事なことですから。これからの学部の講義が始まると、きっと、大きな意味を持ってくると思いますので。誰かの記事にもコメントしましたが、植物の生命力というか、可塑性はかなりなものがあります。動物とは比べものにならないものが。もちろん、生理的にはストレスがかかるので、あまりよくないことですが。。。でも、植物のその一端のわかってもらえたのは、他の受講生を含めて、よかったのではと。。。

 こちらは材料だけの提供で、自分たちで調べるというゼミでしたが、その時に、2つ以上pageでのやり方がこれというのを見つけた、これは、実験をやったときも、同じ結果が出ることが2回以上ないといけないことと同じで。反復実験の大事さもその一端を理解してもらえたと思います。

 実験をするときだけでなく、何をやっても責任感を持つというのは、大事なこと。それをこのゼミで実感してもらえたのは、このゼミで意図したことの1つです。また、文章を書くときにそれが誰に対するものか。将来、大学院などで、投稿論文を書くようになると、科学コミュニティとはいえ、多くの一般の方におもしろいと思ってもらえるようにすることの大切さは、ここで学んだとおりです。

 ということで、是非、最後の収穫まで、また、時間を見つけて、記事として投稿して下さい。楽しみにしております。

 わたなべしるす

 PS. 結球は、温度よりも肥料問題のような気がしていますが。今後、同じようになっている受講生の方の記事が上がれば、是非、比較してみて下さい。

旧展開ゼミ