東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

13.十七日間の成果と今後の寒さ対策(農:佐々木美園)

2021年1月10日 (日)

こんにちは、農学部の佐々木美園です。今回は何の写真を載せようかな、と撮り溜めていた写真を見ていたら、一番小さいキビちゃんの写真が出てきたので選んでみました。この写真、実は子猫特有の目の色、キトンブルーが確認できる唯一の写真なんです!子猫は生後しばらくは光彩の色素が少なく、その少ない色素がレイリー散乱を起こすことでこのように青い色の光彩(通称、キトンブルー)になります。しかし生後六ヶ月ほどになると、色素が完璧に沈着するためこの青色の目は見られなくなってしまいます。なのでこの写真、結構貴重な一枚になります。

さて、植物の方はと言うとこちらは貴重な温室滞在期間が終了し、また極寒のベランダに戻ってきました。しかし今回は無策でこの寒さに挑むわけではありません。福島で得た知識と資材を利用して温室を自作してみました。なので今回は福島滞在の前と後の比較、仙台での温室作成について書いていこうと思います。


~目次~

1.福島滞在前後の比較

2.仙台での寒さ対策

3.まとめ


1.福島滞在前後の比較

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上:12月24日 8:25 気温4℃ 77日目

下:1月10日 8:55 ハウス内8℃ 気温-5℃ 94日目

 仙台滞在前後の白菜の様子を比較した写真が上の二枚になります。一枚目が上からの様子、二枚目が横からの様子です。大きさの関係上、同じ縮尺・同じ角度からの写真では無くなってしまいましたが、その違いは一目瞭然かと思われます。まず大きさから見ていくと、仙台にいた頃は鉢の縁が見える位の大きさしか無かったのですが、福島で17日間育てた結果、鉢からはみ出し、土も鉢もほとんど見えなくなりました。また、葉の枚数もかなり増え、仙台にいた頃は8枚(子葉含めず)でしたが、福島滞在後は11枚(子葉含めず)まで増加しました。さらに、一枚一枚の葉が大きくなり、仙台にいた頃は寒さでへなへなになっていた葉も大分回復して、葉の縁の方までピンと伸びる様になりました。

 二枚目の写真では葉が立ち上がってきている様子が分かると思います。前々回の記事で「結球の全長のようなものが見える」と書きましたが、その後さらに変化が顕著になりました。根元だけで無く、葉全体が立ち上がり縁が丸まってきています。

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上:12月24日 同上 44日目

下:1月10日 同上 61日目

 続いてホウレンソウの様子を比較した写真が上の写真です。こちらは白菜とは異なり、横からの見た目に特徴は見られないので上からの様子についての写真のみになります。こちらも大分変化がありました。その中でも最も変化が大きかったのはやはり葉の大きさかと思います。仙台にいた頃は、生育を始めるのが遅かったこともあり、ほとんど変化が見られず葉も小さいままでした。しかし福島で17日間育てた結果1,2枚目の本葉が倍近く大きくなり、3,4枚目の本葉も順調に出始めました。まだ普通のホウレンソウに比べたらかなり小さいですが、大分生長しています。

以上の比較で分かる通り、二つの作物とも17日間の福島滞在でかなり生長し、大分大きくなりました。当初は、福島のビニールハウスで寒さが防げたらいい、程度に考えていたのですが、予想外に生長にプラスの影響を与えてくれました。


2.仙台での寒さ対策

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1月10日 13:45 気温2℃

 さて、福島の温室で成長を促進し、アドバンテージを得たのは良かったのですがいつまでも福島で育てられるわけではありません。前回の記事にオガタさんからいただいたコメントにも書かれていたのですが、福島から仙台に戻ったときの気温差や寒波をどうにかしなければいけません。なので、前回学んだビニールハウス作り方を活かして仙台でも温室を作ることにしました。また、その旨を祖父に伝えたところビニールハウス用のビニールを分けてもらえました。そうして作成した簡易温室が写真のものです。まず、発泡スチロールに受け皿ごと鉢をいれ、その後発泡スチロールに、ホームセンターで買った鉄線杭を刺し、上からビニールをかけました。ビニールの裾は発泡スチロールの下に織り込み、洗濯ばさみで杭に固定してあります。前回、袋の袋を被せるだけの処置と異なり、今回は日照度、密閉性ともに向上しているはずです。

 しかしいくつか問題点もあります。今回はハウス内に作ったものとは異なり、風に煽られる可能性があるため、風の強い日には使うことが出来ません。また、そもそもベランダの日当たり自体があまり良くないため、日中にそこまで保温できない可能性もあります。やはり、本格的な温室とはかけ離れたものなので、今後は天気予報などをしっかりチェックし、室内への移動などもこまめに行いたいと思います。


3.まとめ

 福島での安心安全な温室栽培も終わり、ついに極寒の仙台に戻ってきてしまいました。福島にいた頃は、今までに無い怒濤の変化に喜びっぱなしでしたが、仙台ではそうはいきません。これからは、この温度差に植物が負けないように今まで以上に状態を気にかけていかなければならないため、前までの栽培より緊張感が増しています。温室も自作はしたものの、やはり安心感に欠けるため過信せず、今後は入念に気温管理をしていきたいと思います。

 また、そろそろこの展開ゼミも終わりに近づき、次の投稿は最終発表と言うことになるのでしょうか。はっきり言うと、収穫せずに育てられるだけ育ててみたいのですが、他の方の収穫報告を見ると、そうも行かないのでしょう。収穫と栽培の間で葛藤が生じ始めていますが、自分になりに納得できる終わり方を模索しつつ、残りの栽培も楽しんでいきたいと思います。(2,226字)

コメント

佐々木さんこんにちは

 キビちゃん写真いいですね! キトンブルーというのを初めて知りました。そういう理屈があって青くなっていたんですか。こっちのネコがどうだったか、あまり詳しく観察してなかったので見ませんでした。

 さて、福島の二重温室、効果は抜群ですね。9時くらいの時間でプラス13℃というのは驚きです。土の蓄熱作用と二重の保温作用が有効だったようです。

 それは植物の成長に如実に表れています。たった17日でも、明らかに成長しました。その時はむろん福島もまた仙台同様の寒波だったはずなのに。葉の枚数も増えました。葉の角度を見ると確かに結球の片鱗が見て取れます。まあ葉が11枚ではそのまま結球まで見るのは厳しいかと思うのですが、株には元気があります。葉の色が薄めなのは光の加減でしょうか。

 ホウレンソウもまた成長しました。ホウレンソウはハクサイよりスロースタートな植物ですが、このままいってほしいと思います。

 そして仙台での栽培に戻ります。植物にとっては移動のストレスがありますので丁寧な管理が求められます。作られた温室はいいものですね。先ずは下に発泡スチロールを使ったことで鉢と根の底冷えを防げます。ビニールも厚手の本格的なもので言うことありません。

 密封性を保持しましょう。というのは、密封し過ぎて昼間に温度が上がり過ぎたり、過湿になることをこちらは心配していたのですが、例年の受講生の温室を見ると逆に密封性が足りない方がよほど多いのです。結果、風よけ雪よけにはなっても肝心の温度が昼間も上がらないことが散見されました。なので、あえて隙間を設けず覆っていいのかと思います。ビニールに水滴がつくなどあればその時に考えましょう。本当は内外の温度差と日照や時間帯を比較すれば面白いのですが。

 空気の容量自体が小さいので温度変化が大きくなってしまうのは仕方ありません。なんとなればペットボトルに水を入れたものを温度緩衝材として設置すればいいのかと思います。そして強度は何かの付け加えが必要かもしれず、冬の仙台の風は福島より強いかもしれません。

 室内への移動は、寒波が過ぎれば必要ないでしょう。日照を確保しながら移動は難しく、また学生生活内でそれを行うのは大変です。

 さあ最終報告が近付いてきました。しかし最終報告というのは「収穫まで含む」ということは全然なく、あくまで自分なりのまとめということです。それはこれまでのデータや記録をベースにするものであり、逆にここで収穫せず、ずっと後で行っても構いません。例年だと植物が早く枯れてしまう人もいますが、逆に春まで栽培し続ける人もいます。まあ三月半ばの花芽形成が栽培のリミットになりますが...... そして報告についても最終報告以降も上げてくれる人が少ないながらもいます。15回の報告というのは、週一回のペースだと概ねその回数には達するという目安ということです。

 最終報告も期待してお待ちします。

 ラボスタッフ・オガタ

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