平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

公募研究班

鍵と鍵穴に着目した有性生殖過程の核膜融合の分子機構と初期発生における意義の解明

細胞核の融合は、有性生殖における必須の過程のひとつである。被子植物の有性生殖では、重複受精における2回の精核融合と、雌性配偶体形成時の極核融合の、合計3回の核融合が観察される。これらの核融合は核膜崩壊と再構成を伴わず、核膜融合によって2つの核が融合する。われわれは、シロイヌナズナ雌性配偶体形成時の極核の核膜融合には、小胞体の分子シャペロンHsp70であるBiPとその制御因子が必要であることを明らかにした。核膜は小胞体膜の一部と考えられ、小胞体のHsp70は核膜局在の膜融合タンパク質の機能を調節することで核膜融合を制御していると予想される。われわれは、このような核膜融合タンパク質の候補の同定を進めてきた。
本研究では、ライブイメージング解析とタンパク質構造解析で領域内の共同研究を進めながら、核膜融合タンパク質候補に着目して有性生殖過程の核膜融合の分子機構の解析を計画している。具体的には、核膜融合タンパク質の構造と機能の解析や、相互作用する因子の特定によって、鍵と鍵穴による核膜融合の制御機構の解明を目指すとともに、被子植物ホモログの解析によってその機能の種特異性を検討する。また、受精後の発生過程の解析を行い、受精時の精核融合欠損が植物の初期発生に与える影響を検討する。本研究は、計画班が行う植物生殖過程の分子機構の研究を補完することで本領域の推進に貢献するものである。本研究によって、これまで未解明であった有性生殖過程の核膜融合の分子機構やその種特異性が明らかになると期待される。また、核膜崩壊を伴わない核融合が受精直後に完了することの意義も明らかにできる。本研究は、研究代表者の研究成果にもとづき、これを更に発展させる計画となっている。

メンバ―リスト
  • 西川 周一新潟大学 自然科学系
  • 丸山 大輔横浜市立大学 木原生物学研究所
  • 遠藤 斗志也京都産業大学 総合生命科学部
  • 河野 慎京都産業大学 総合生命科学部