平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

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植物新種誕生原理植物新種誕生原理

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研究経過

【プレスリリース】生殖過程の核融合の鍵となる、 進化的に保存された核膜タンパク質を同定(西川班、東山班、丸山班)

October 13, 2020 10:57 AM

Category:研究成果

main:丸山班, 東山班, 西川班

西川班は、丸山班および東山班との共同研究で、陸上植物の生殖過程に必須の現象である細胞核融合の鍵となるタンパク質であるシロイヌナズナGEX1を同定しました。

 

GEX1は有性生殖過程特異的に発現する核膜タンパク質であり、細胞核融合の中でも特に核膜融合に必須な役割を果たしています。また、GEX1の相同タンパク質が出芽酵母有性生殖過程の核膜融合でも機能しており、有性生殖過程の核膜融合のメカニズムが酵母から植物まで保存されており、真核生物に共通の仕組みであることが示唆されます。

 

本研究の成果を元に、生殖細胞で細胞核融合が効率良く行われるメカニズムが明らかになると期待されます。

 
本研究成果は、2020年10月12日に「Frontiers in Plant Science誌」に掲載されました。

 

図.雌性配偶体形成過程でのGEX1の機能

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雌性配偶体形成過程でのGEX1(緑色)の発現と局在の経時観察を行った。GEX1は極核(pn)が融合して二次核(scn)となる過程で極核に現れ、次いで卵細胞核(en)に出現した。細胞核の位置をマゼンタで示す。数字は撮影をおこなった時間(時:分)。
 
 


◆詳細はこちらをご覧ください→新潟大学プレスリリース

 
 
 
<発表論文>
論文タイトル:Arabidopsis GEX1 is a Nuclear Membrane Protein of Gametes Required for Nuclear Fusion During Reproduction
著者:Shuh-ichi Nishikawa1, Yuki Yamaguchi2, Chiharu Suzuki2, Ayaka Yabe2, Yuzuru Sato1, Daisuke Kurihara3,4, Yoshikatsu Sato4,5, Daichi Susaki6, Tetsuya Higasiyama4,5,7, and Daisuke Maruyama6(西川周一1、山口友輝2、鈴木千晴2、矢部あやか2、佐藤譲1、栗原大輔3,4、佐藤良勝4,5、須崎大地6、東山哲也4,5,7、丸山大輔6
1新潟大学理学部、2新潟大学大学院自然科学研究科、3JSTさきがけ、4名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所、5名古屋大学大学院理学研究科、6横浜市立大学木原生物学研究所、7東京大学大学院理学系研究科)
DOI:10.3389/fpls.2020.548032

【論文発表】フロリゲンによる茎頂メリステムのDNAメチル化制御に関する論文がNature Communicationsに発表されました!

September 12, 2020 6:40 PM

Category:研究成果

main:辻班

sub:辻班

イネ茎頂メリステムのDNAメチル化に関する論文がNature Communicationsに発表されました!茎頂メリステム、フロリゲン、生殖細胞を繋ぐ新しいエピゲノム制御を発見しました。筆頭著者の肥後さんの活躍、たくさんの共同研究者の皆さまに感謝です。ありがとうございました!


Higo, A., Saihara, N., Miura, F., Higashi, Y., Yamada, M., Tamaki, S., Ito, T., Tarutani, Y., Sakamoto, T., Fujiwara, M., Kurata, T., Fukao, Y., Moritoh, S., Terada, S., Kinoshita, T., Ito, T., Kakutani, T., Ko Shimamoto, K., Tsuji, H. (2020) DNA methylation is reconfigured at the onset of reproduction in rice shoot apical meristem. Nature Communications, 11, 4079

https://doi.org/10.1038/s41467-020-17963-2

プレスリリース

https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2020/202008tsuji_NC.html

ベトナムの野外圃場で栽培したキャッサバの時系列トランスクリプトーム解析の論文がPlant Molecular Biologyに発表されました。

September 12, 2020 6:38 PM

Category:研究成果

main:辻班

sub:辻班

理化学研究所、ベトナム農業遺伝学研究所等との国際共同研究により、東南アジアの野外圃場で栽培したキャッサバにおける時系列トランスクリプトーム解析の論文をPlant Molecular Biologyに発表しました。

キャッサバはデンプン原料として世界的に注目されている作物ですが、品種改良はそれほど進んでいません。キャッサバはタピオカや工業用デンプンの原料となる作物です。貧栄養環境でも旺盛な生産力を示すことから、気候変動に対応した持続的な作物生産や農家の経済的自立を助ける作物として世界的に注目されています。キャッサバの品種改良は非常に重要ですがこれまでうまく進めることが困難でした。交配によって品種改良するためには掛け合わせる植物同士が同時に花を咲かせる必要がありますが、キャッサバは花がいつ咲くのかを制御することが困難だからです。キャッサバが環境に応答してどのように花をつけるのかが理解されればこの問題の解決につながります。


本研究ではキャッサバをベトナムの野外圃場で栽培して栽培期間を通したサンプリングを行い、全遺伝子発現の時系列変動を解明しました。特にフロリゲン遺伝子が異なる野外環境でどのように発現変動しながら花芽形成に至るのかを初めて明らかにしました。本研究の知見は将来的にキャッサバの花の咲く時期を制御可能にすることにつながり、交配育種による優良品種育成に貢献できると期待しています。

技術補佐員の山口さんのBrAD-seq、特任助教の肥後さんがデータの情報解析で活躍しました!

Tokunaga, H., Quynh, D.T.N., Anh, N.H., Nhan, P.T., Matsui, A.,Takahashi, S., Tanaka, M., Anh, N.M., Van D.G., Ham, L.H., Higo, A., Hoa, T.M., Ishitani, M., Minh, N.B.N., Hy, N.H., Srean, P., Thu, V.A., Tung, N.B., Vu, N.A., Yamaguchi, K., Tsuji, H., Utsumi, Y., Seki, M. (2020) Field transcriptome analysis reveals a molecular mechanism for cassava-flowering in a mountainous environment in Southeast Asia. Plant Mol. Biol.Published Online https://doi.org/10.1007/s11103-020-01057-0

スイスアルプスの谷間の村で20世紀に誕生したタネツケバナ倍数体新種は、親種のいいとこ取りで生き延びたことを遺伝子発現パターンから示唆 (瀬々班)

September 7, 2020 10:14 AM

Category:研究成果

main:瀬々班

産業技術総合研究所 招聘研究員 瀬々潤(株式会社ヒューマノーム研究所 代表取締役兼任)、横浜市立大学 木原生物学研究所 清水健太郎 客員教授(チューリッヒ大学 教授兼任)、農研機構 孫建強 主任研究員らの研究グループは、東京大学およびドイツの研究機関との共同研究で、タネツケバナ倍数体新種の遺伝子発現パターンを解析し、二倍体の父親と母親の両方の特徴を併せ持つことで、新しい環境で生き残ったことを示唆しました。

 

この倍数体は、スイスアルプスのウルナーボーデン村で起きた森林伐採と牧草地への土地転用によって、二倍体親種の生息域が重なり、それらの自然交雑によって誕生しました。この新種は三倍体であり、C. insuetaと呼ばれています。C. insuetaは、水際に生息する父親C. amaraと比較的乾燥した場所を好む母親C. rivularisの中間的な生息地に広く分布しています。三倍体という有性生殖がほとんどのぞめない倍数性にも関わらず、葉面上の原基形成という珍しいタイプのクローン繁殖と、親種の中間的な水分環境への適応という性質により、これまでの150年間を生き延びてきました。さらに他の近縁種との交配により、五倍体、六倍体というさらに高次な倍数性を持つ新種の誕生にも貢献したことがわかっていました。

 

今回の研究で、この三倍体はクローン繁殖と水分環境への適応のために、親種からそれぞれ受け継いだ遺伝子セットを上手くコントロールしてこのような形質を可能にしていることがわかりました。倍数化による新種誕生と、それを可能にする新たな遺伝子発現パターンの解明は、進化を知る上で非常に重要視されています。この論文で使われた手法は今後の研究の進展にも大きく貢献すると期待されます。

 

本研究はFrontiers in Geneticsに掲載されました。

 

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Figure 1. Habitats and relations among the three Cardamine species. (A) C. insueta (triploid) was naturally formed by hybridization between C. amara (diploid) and C. rivularis (diploid) 100-150 years ago in their natural habitat in Swiss Alps. (B) Conceptual indication of the habitats of three species at Urnerboden: C. amara prefers wet habitats along waterside; C. rivularis prefers meadow; and allotriploid C. insueta can be found between them.

 

 

<発表論文>

A recently formed triploid Cardamine insueta inherits leaf vivipary and submergence tolerance traits of parents.

Jianqiang Sun†, Rie Shimizu-Inatsugi†, Hugo Hofhuis, Kentaro Shimizu, Angela Hay, Kentaro K. Shimizu* and Jun Sese* (†: equally contributed, * co-corresponding authors)

doi: 10.3389/fgene.2020.567262

共同研究の成果がNatureに掲載されました!

July 16, 2020 11:20 AM

Category:研究成果

main:辻班

sub:辻班

フロリゲンによる花芽分化の開始はいつも茎の伸長の開始と連動しています。名古屋大学の芦苅さん、永井さんらとの共同研究によりイネの茎の伸長が開始されるメカニズムを解明、Natureに論文発表されました。


植物の茎の伸長を制御することは農業上きわめて重要です。例えばイネでは、茎の伸長を大きく促進することは洪水を生き抜く「浮きイネ」を生み出し、一方で茎の伸長を程よく抑制することは「緑の革命」を成功に導きました。しかし茎の伸長がどのように開始されるのかは未解明でした。本研究では茎の伸長のアクセルとブレーキとなる2つの因子を発見し、茎の伸長開始が「アクセルを踏み、ブレーキを解除」することで始まることを解明しました。


私たちは、本領域で研究しているフロリゲンによる花の形成が、イネの茎の伸長と常に連動して開始することに着目して共同研究に参画しました。

研究室の修士2年の吉田綾さんが、精密なサンプリング技術を駆使して丁寧に遺伝子発現を解析し、メリステムにおける花成関連遺伝子と茎伸長関連遺伝子の発現を正確に解析する活躍をしました!

Nagai, K,, Mori, Y., Ishikawa, S., Furuta, T., Gamuyao, R., Niimi, Y., Hobo, T., Fukuda, M., Kojima, M., Takebayashi, Y., Fukushima, A., Himuro, Y., Kobayashi, M., Ackley, W., Hisano, H., Sato, K., Yoshida, A., Wu, J., Sakakibara, H., Sato, Y., Tsuji, H., Akagi, T., Ashikari, M. (2020) Antagonistic regulation of the gibberellic acid response during stem growth in rice. Nature, in press

https://doi.org/10.1038/s41586-020-2501-8

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