公募研究班
陸上植物における生殖細胞分化の鍵メカニズムの解明
陸上植物の生殖系列分化は、被子植物と基部植物で発生様式が大きく異なっているが、それを担う進化的に保存された中核的な分子メカニズムが存在するかは未だ明らかになっていない。代表者はこれまで、基部陸上植物である苔類ゼニゴケの雌雄生殖器形成は、マスター転写因子BONOBO (BNB)により一元的に制御されることを明らかにした。蛍光タンパク質ノックイン株の解析により、BNBはゼニゴケの生殖系列細胞で発現することを明らかにした。BNBの標的遺伝子をゲノムワイドに探索し、その中に被子植物の配偶体において発現・機能する分子のホモログがあることを見出した。分子系統解析により、BNBはほぼ全ての陸上植物で保存されている機能未知の転写因子ファミリーに属することを示した。シロイヌナズナのBNBホモログは配偶子形成に必要であるという示唆を得た。これらのことから、BNBファミリーは陸上植物の生殖系列分化の「鍵」因子である可能性が考えられる。
そこで本研究では、（1）BNBの発現制御機構を明らかにする、（2）BNBの「鍵穴」となる相互作用因子を同定し作用機序を明らかにする、（3）シロイヌナズナの配偶子形成におけるBNBホモログの機能を明らかにする、（4）ゼニゴケとシロイヌナズナのBNBファミリーの標的遺伝子を網羅的に解析・比較することによって、メカニズムの保存性と多様性を明らかにする、という4つの課題を遂行することで、陸上植物の生殖系列分化を担う「鍵」メカニズムを明らかにし、その進化的多様性が生み出された要因を探る。
本研究の成果は、論文として速やかに発表するとともに、国際学会発表・プレスリリースなどを通じて広く社会に発信する。
- メンバ―リスト
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- 山岡 尚平京都大学 大学院生命科学研究科
- 河内 孝之京都大学 大学院生命科学研究科